専属膝マクラーに私はなる!
膝枕回じゃー。
「あーダルい」
魔王になって数日……僕は魔王になった時の影響が原因の倦怠感に襲われている。
なんかこう、やる気が起きない。特に魔力を使う事に関しては。カルパスが言うには、僕に魔王の力が馴染んでる証拠だそうだ。色々とできることも増えるだろう。
だがまぁほんとクソダルいんだけどな!今も木に寄りかかって動きたくない。
一応母さんが心配するといけないから屋敷では普通に振る舞ってるんだよね。ダルいけど。おかげで精神年齢20歳の僕の学力はガタ落ちだ。
僕は膝の上にいるカルパスに尋ねる。
「カルパスー。これいつまで続くのー?」
「知らん。そもそも人間の魔王など前例のないことじゃからな。しかもベル坊はまだ子供。影響がこれだけとは断定できん」
「マジかー」
せめて数日で治ってほしいが……無理かなー。
木に寄りかかってカルパスのお腹をわしゃわしゃする。
「あーそこそこ」
気持ち良さそうだ。僕も気持ち良い。
しかしーー
目を閉じれば、そよ風が顔を撫で、小鳥が囀り、花の香りがする。
転生してからここまでのんびり過ごすのは初めてかもしれない。毎日あくせく動いていたからなー。
それが自分で望んでやった事に違いないけど、休養は必要……という事か。
図らずも一つ学んだね。ふふん。
「ベル様ー」
アイリスが屋敷からやってきた。敷物と鞄……お菓子とか入ってるのかな?
「クッキーを持ってきたのですが……食べます?」
「うーん……眠い」
ポカポカ陽気で僕はすでに寝るモードに入っている。瞼が重い。
「そうおっしゃるかと思い、膝掛けをお持ちしました」
「さっすがー」
「敷物を敷くので少々お待ちください」
バサァと敷物を広げその辺の石ころで飛んで行かないようにおもりを置き、手際良く準備していく。
「さぁ、どうぞベル様」
そして敷物の上で正座し、膝をぽんぽんと叩く。
……うん。なんとなく分かるけど一応聞いておこう。
「アイリス、それ、何?」
「?ここには枕がありませんから」
「そりゃそうだよ」
「ですので膝枕です。どうぞ」
「どうぞじゃなくてね……」
まだ10歳とはいえ、同い年の女の子に膝枕してもらうのは恥ずかしいものがあるんだけど……ましては僕中身大人だから若干犯罪臭が……
「……つべこべ言わずおやすみください……はっ!」
「おわっ!?」
僕はアイリスの豪腕に大胆に、それでい繊細に体をアイリスの方に寄せられ、頭はお膝の上に乗る。柔らかい太ももが僕の頭を優しく受け止める。
そうだった……単純な筋力とかはアイリスの方が格上だった……。
ていうか柔らか!太もも柔らか!なんか甘い良い香りする!
ま、まずい……恥ずかしくて頭おかしくなる……ここは離脱……
「とう!」
「がはっ!?」
な、何する、カルパス!お腹に乗られたら立ち上がれないじゃないか!
「カルパス!どいてよ!」
「ククク……良いではないか。アイリスのような女子を侍らせるのは魔王特権じゃぞ。むしろ嫌がる者を無理矢理従わせる方が魔王らしいぞ」
「僕の趣味じゃないから!」
「それに、今は休んだ方がいいだろう。とっとと眠れ。膝の上でな」
「その通りです。おやすみください」
「ぐぐぐ……」
寝れるかちくしょー!柔らかいやら良い匂いやらで緊張して眠れませんよ!
顔あっつっっ!!寝れねぇ!!
―――――――――――――――
「くかー……」
「あっさり寝よったぞコイツ」
「そうですね……」
膝に乗せてから5分ほどでおやすみになられました。よほど疲れていたのでしょう……ここまでとは思っていませんでした。
やはり私はベル様のことを知らなすぎる。メイド失格です。
「それにしても結構強引な手に出よったな〜。あれじゃろ?モナカが膝枕したのを知って自分もベル坊にしたくなったんじゃろ?」
「………」
「反論もしないとは図星か。まったく、自分もしたいのだったら素直にそう言えばよかったのに。可愛いやつじゃのぉ」
私は無言で腕を横薙ぎに降ります。ベル様に当たらないように注意を払って。
あの黒猫はあっさりと回避して木の上に飛び移ってしまいます。チッ、外した。
「おおこわやこわや。あとは若い二人に任せて年寄りの猫はどこかに行くとするかの。そうじゃ、ヨハンのやつから魚でも貰うか」
そう言ってカルパスさんは屋敷の方に行きます。いちいち一言余計なんですよ。
「へくちっ」
木陰にいると風のせいで寒く感じますね。
ベル様に膝掛けを被せ、私も上着を着ます。
「……ふふふ」
先程はついムキになってしまいましたが、ベル様の寝顔を独占していたモナカさんが羨ましいかったのは事実です。
普段はとても同い年には見えないのに、寝ている姿は年相応。こう言うのは不敬ですが……可愛い。
言ったら嫌がるでしょうね。なんせ、体は子供でも中身は大人なのですから。
「………」
先日のベル様の告白。ベル様が普通の子供ではないのは分かっていたつもりだった。だからあの時納得した。
でもここまで大きいものだとは思ってもいなかった。違う世界で生きていた記憶など、誰が想像できたでしょう。
そしてこんな秘密をベル様は10年も抱えていたのです。誰にも打ち上げられなかったんでしょう。私や、奥様にも。
正直、私にくらいなら話して欲しかったという気持ちはあります。ですが、それはわがままというもの…….。だって私が話してもらえるに値しなかったからなのだから。
だからこそ私は、ベル様に一番近い、理解者になりたい。あなたを支え、共に歩んでいける理解者に。
それがベル様に一番必要だと思いますし、私が目指したいですから。
だからこそ、まず最初の一歩は、
「膝枕なら私を呼んでいただけるようにしなくてはなりませんね」
待っていてくださいね、ベル様。私はきっとなってみせます。あなたの理解者に。
今日ファイナルギアについてツイートしたらめっちゃ
いいねもらえた。やはり小説よりいいね多いのは解せぬ。




