何かに呼ばれるやつ
ね、眠い……!
自己紹介はいったんおやすみ。
「よし、出来た」
僕は【黒鉄】を着たまま机の上に置いた仮面を手に取った。
かっこいいけど、たしかに不気味だな。のっぺら坊だし。
なので模様が出る機能を付けました。
『○』
一応できたな……この中に《可変式魔法陣》で至近距離から魔法ぶっ放せるようにしてるんだ。完璧。
ホントは顔文字が出るようにしたかったけど……こう、縦読み……書籍……出p、う、あ、頭が……。
「ニャぁぁ………」
僕がこうして仮面の調整をしているのに、カルパスは僕の肩の上であくびをしている。呑気だなぁ……。
ちなみに他のみんなはマギサの近くで集まってる。何してんだろ?
僕がみんなを呼ぼうとして声をかけようとした時、
「!?」『!?』
突然微かな頭痛と共に死霊からの通信が来た。
今死霊達はここに居ない。
壁でも何でも魔法的な結界以外なら通過できるので、地面に潜ってあるものを探させている。
それは鉱脈。
地下深くなら誰も使ってない鉱脈があるかなと思ってね。
そんな淡い希望と共に地下深くを潜らせていたのだが……何と言うことだろう。
地下深くに、結界があったのだ。
しかも相当強力なやつ。現に死霊が一体消滅した。思わず仮面も『!?』ってなったよ。
だが、それ以上に……
死霊越しに伝わってくる。
――来て
何だろう。この男とも女とも判別のつかない中性的な声は。
そして何故だろう。この声に、どうしようもなく惹きつけられるのは。
普通なら、この行為は異常だろう。少なくともみんなと相談してから決めるべきだ。
だが、それでも
――速く来て
行かなきゃ。
僕は靴底の《可変式魔法陣》の魔法を落とし穴を作る魔法に替えて穴を掘り始めた。
―――――――――――――――
ベル様の新しい装備の肩慣らし。
それを見た私、マギサの感想は、
嘘でしょ?
この一言に尽きる。
いやだってだって!あんな即座に魔法陣を糸で編んで描くなんて!
剣術だって相当なものだった。私が視力を強化しなかったら目で追えない程の速度。そして的確に急所を狙う突き技。
それに最後に使ったのは操糸術。あんなに簡単にマッド・ゴーレム二体を倒すなんて……。
ベル様はご自分を私達よりも弱いと思っていらっしゃる。
だけど全然そんなことはない。だって……
「難しい顔してどうしました?あなたにしては珍しいですね」
そう言ってやって来たのはアイリスさん。私の事を嫌ってくれている人だ。
「いえ、ベル様はすごいなぁと思いましてね」
「あなたでも人をほめるんですね。驚きました」
むっ、失礼な!
そう言いたいがダメだ。
私は、ここにいる素晴らしい人達と仲良くしてはいけない。それが私の為でもある。
「えぇ。あのような装備を作り出す発想力。それを実現する技術力。そして緻密な魔力操作に上限がまだ見えない剣術。どれをとっても規格外ですね。いやー将来が恐ろしい」
仮に目の前にいるアイリスさん、「カタカタカタカタ!」と言っているギロティナさんに『ピピピピピピピ!』と話す鎧武さんとベル様が戦っても、距離を取りながら戦われては詰む。どこからでも現れる魔法陣に見づらい鋼糸。戦いづらいことこの上ない。
かと言って私のような遠距離専門は逆に近づかれれば、あの剣技に対応し切れずに死ぬ。
唯一勝機があるのはオールラウンダーなレイちゃんと、多分吸血鬼で再生能力があるだろうモナカさんだけどそれですら互角、と言ったところ。
ベル様は、普通に強い。
そしてこれでもまだ成長途中だからホントに将来が恐ろしい。
「……まぁ、私も同意見ですよ」
そう言ってアイリスさんは、少しほっぺを膨らませて同意してくれた。
こういう可愛いところがベル様に気に入られるのだろう。
「カタカタカタカタカタカタカタカタ!!」
『ピッピッピピピピピピピピピピピピ!!』
「もう、うるさあぁぁぁぁぁぁああいっ!!どうしたんですか!?まったくもう!」
アイリスさんじゃなくてレイちゃんがキレた。
以外にレイちゃんってストレスとか溜め込んじゃう人だから、爆発するとすごい。
っていうか、あの2人…2人?……あの2体はどうしたんだろう?
見ると2体して同じところを指差している……
「あれ?そういえばベル様どこ行きました?」
先程までそこにいたベル様の姿はなく、代わりに大きな底の見えない穴がポツンとあった。
――――――――――――
落下中。冷静になって考えてみる。
僕結構、無鉄砲なことしてない?、と。
………………………………。
いや結構無鉄砲だよ!?何考えてんのあの時の僕!?
謎の声が聞こえた。それについて行った。ヤベェ思考のヤベェ奴だよ!「知らない人についていかない」なんて小学生でも分かることだよ!声しか知らないよ!
安全確認無しで、死霊消し飛ぶ程の強力な結界にまっしぐら。アホだよ僕!死ぬ気か!?
ど、どうしよう……!今からでも戻るか?でもなんか引力?みたいなのを感じるし、実際それに捕まったのか止まろうとしても止まらない。
「ニャニャァ」
しかも何故かカルパスもいる。肩に乗ってさ。現在進行形で落ちてるのに余裕そう……猫だよね?
あっ、今待機中だった死霊通り過ぎて……
――しゅぽんっ
そんな気の抜けた音と共に僕たちは穴から放り出された。
僕が仮面越しに見たのは……まるで都会のビル群のように密集した近代的な尖塔。高速道路のように張り巡らされた巨大な橋。
そして何より目に付くのは一際巨大な、城のようなモノ。
さらにそれを照らす月のような光。
とりあえず僕は、「なんだこの空間は?」とか「なんで地下なのに月光が?」みたいな疑問を全て飲み込んで
「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!」
とりあえず僕が思ったのは「死ぬかもしれない」だった。落下中だし。
Zzz…




