オッドアイは伊達じゃなかった!
更新が遅くなってすみません。
少し別の作品について考えてしまって……構想練ってるのが3作品あるんですよね。MMOものっていいですよね。
この作品を終わらせるつまりはありませんが、もしかしたら別の作品を始めるかもしれません。その時は笑って読んでくだされば幸いです。
マギサさんと会って5日経った。
今は彼女も隠し工房の住人になっていて、レイと仲良くなってる。
彼女は覚えている魔法を僕達に教えてくれた。その成果が……これだ!
「《並列詠唱》、“小炎”、“水球”、“風”、“雷の短剣”、“氷塊、“光球”、“闇”」
詠唱を唱え終わった時、僕の右手を中心に、種火、球状の水、風の塊、雷の短剣、氷の塊、光の球体、黒い靄が現れ、回り始める。
ふふふ。これぞ《並列詠唱》。複数の魔法を同時に使う詠唱法だ!
マギサさん曰く、僕はかなり筋が良い方らしい。同じ属性の並列詠唱ならできる者は多かったようだが、複数の属性はそれなりにセンスを問われるらしい。
僕なりのイメージとしてはピタ○ラスイッチみたいに複数の仕掛けが連動するようにイメージしたらできたんだけどね。
マギサさんの指導のおかげで僕の魔法技術は大幅に上昇した。これなら習得できる魔法がもっと増えるし、作業もはかどる。嬉しい事だらけだ。
そして……ふふふ、僕はこの5日の間に誕生日を迎えた。つまり8歳になった。
そしたら母さんがお小遣い制度を始めると言ったのだ!よっしゃ!
月鉄貨5枚。ちなみに一般的な平民の月収入は大体金貨1枚と銀貨5枚である。
まぁ、使う機会はあまりないだろう。あんまり大手振って屋敷の外に出入りできないからな〜……。解決策がない訳じゃないけど。
ーーコンコン
お、噂をすれば……。魔法は消しておこう。
「はい、どうぞ」
『失礼します』
入ってきたのは解決策、もといアイリスだ。今日は黒い眼帯に骸骨のマークが入った通称『パイレーツアイパッチ』を着けている。そういえばそろそろ午後のお茶の時間だな。
「お茶と茶菓子をお持ちいたしました」
「うん、ありがとう」
アイリスは一礼するといそいそとお茶の準備を始めた。この一年で彼女も随分と手慣れたものだ。
「アイリス、お茶の時間終わってからでいいから、ちょっとお使い頼める?」
「はい、もちろんですが、何をすれば良いのですか?」
「少し家庭菜園を、ね。野菜の種を買ってきてくれない?」
まず僕が一番欲しいのは、おもちゃでも本でもなく野菜の種だ。理由はもちろんレイとマギサさんの二人だ。
光球と水球があれば地下室での栽培も可能だし、薬草用の小部屋を使えばいい。肥料とかも錬金術でなんとか作れる。種からだからじゃがいもとかは難しいけど他の野菜なら問題ないだろう。我ながら完璧だな。
「かしこまりました。お任せください」
「ありがとう。あとこれは……」
ポケットの中から鉄貨を1枚取り出してアイリスに渡した。
「これで買ってくればいいのですね?」
「いや違う。これアイリスの給金」
「えっ⁉︎私のお給金は奥様からいただいております!」
「だから僕から」
確かに母さんから給金を貰っているらしいが、これは主人である僕からの分だ。使う機会もあまりなさそうだし、毎月鉄貨1枚あげても別にいいだろう。
「し、しかし……」
「いいからいいから、貰っときなさい。どうせ使い道なんて限られているし、母様があげてる分に比べたら微々たるものだし」
「……分かりました。ありがたく頂戴いたします」
「あとこれで足りると思うから、お使いよろしくね。お釣りはあげるよ」
「さ、さすがにそこまでは……」
「そう?別にいいんだけど……あ、そうだ。僕が部屋に居なかったら机の上にでも置いといて」
「はい、かしこまりました」
よしよし、これで肩の荷が下りたぞ〜。アイリスならしっかりとやってくれる筈だ。
さて、まだ夜じゃないが、そろそろ地下室に行くとするかね。例の話もあるし、早めに準備しておいて欲しい。
◇ ◇ ◇
ーーガラガラガラー
僕はいつもどおり自室から下の書庫に入って隠し工房への入り口を開けた。相変わらず粋な仕掛けだよねー。いずれこういった絡繰を自分で作りたいなー。ダンジョンみたいな罠も仕掛けたいなー。死ぬ前にちょっとだけダンジョン運営モノにハマったなー。機会があれば是非、挑戦したい。
初めてこの隠し階段を降りたときはまだ5歳だったから登り降りが大変だったなー。
ーーボッ…ボッ…ボッ…
いつも思うけど、この近づいたら灯りが付くのはいいなぁ。マギサさんがこの仕掛けの仕組みを解明してくれないかな〜。頼りすぎなのもダメだからね。自力でなんとかしないとな。
おっと、着いた着いた。ん?ドアがピカピカになってる?
なんとなく察しは付くが……レイかな?マギサさんかな?
「やっほー。来たよー」
「べ、ベル様⁉︎こんな時間に何故⁉︎」
入った瞬間レイがすぐに飛び出してきた。いやほんとにすぐだな!10秒も経ってないぞ!
「やあ、レイ。マギサさんは?」
「あ、マギサさんは通路の奥の部屋です。面白そうな本があるとか言って」
「ふーん。ちょっと話しておきたいことがあるから呼んできてくれる?」
「はい!お任せください!では」
そう言ってレイはマギサさんを呼びに行った。
5分後。
「あれ〜?ベルさんもう来てるんですか〜?私が本読んでる間にいつの間にか夜になってたんですね〜。という訳でこんばんは?」
「まだ夜じゃないし僕が早く来ただけですから。てか何故挨拶が疑問形?」
マギサさんも工房に来てからずっとこの調子だ。若干こっちが振り回されている気がする。
そうそう。マギサさんはあの長ったらしい髪を切ったのだが……ホントもうどういう風に髪を弄ったらそうなんだよって言いたくなる髪型をしている。
基本はボブ?(あれをボブと言うのだろうか?)でそこに何故か猫耳のような突起物が付いている。しかも不思議なことに水に濡らしても崩れない。ホントにどうなってるんだか。彼女のことだからオリジナルの魔法でも使っているんだろうか?
髪型ねぇ……。
レイは白髪をまっすぐに伸ばしたロングヘアー。アイリスは黒髪を頭頂に近い一部の髪を左右に束ねたツーサイドアップ。眼帯を渡す前は髪の毛で左目を隠していた。
……僕も髪型を気にするべきだろうか?キャラの髪型を選べるゲームをしていたときはロングにしていたが……こっちでもそうすべきかな?髪の色は白から黒にいつでも変えられるし。
ま、あとで考えることだなこれは。
「えーこほん。今日はみんなに話しておきたいことがあります」
「あ、マギサさんに会った日にしてた話し方です」
「そーなんですか。なんか可愛いですねー」
………無視だ無視。気にしても仕方ない。いつかカッコよくなるんだから、うん。
「………僕が話したいのは、ずばり、みんなでお引っ越ししようと思います。引っ越し先はマギサさんが封印されてたあの施設でーす」
「はぇ?」
「?」
レイは変な声を出しマギサさんはポカンとしている。無理もないかな?いきなりだし。
「もともとレイが来た時から考えてたんだけどね」
そもそもこの隠し工房は母さんも使用人たちも知らなかった様子だし、この地下室が見つかるだけでも大騒ぎしそうなのにその上レイ達まで見つかったら非常に面倒くさいことになる。
だから引っ越しは前々から行いたかったのだが、肝心の引っ越し先が見つからなかったため、今までできなかったのだが、マギサさんの封印されてた場所を見つけたので事情が変わった。
あそこならここよりは誰かに見つかる確率は下がる。ちなみにあの施設はきちんと外に出る扉もきちんと着いているし、《偽霊》を使うレイや魔法使いのマギサさんがいれば狩りができるだろう。しかも今はアイリスに野菜の種を買ってきてもらっている。まもなく届くだろう。
「まぁ無理にって訳じゃないんだけど……二人はどうしたい?」
「私はベル様がお決めになったことならなんでもいいです」
「んーと……私はどっちでもいいかな〜」
ぶっちゃけ二人の返事はある程度予想はついてたんだけどここまで予想通りとはねー。なんか僕が我儘言ったみたいになっちゃったな。
「てな訳で二人には荷物運び頼みたいんだよね」
「お任せください。まず何から運びましょうか?」
「とりあえず本かな。出来るだけ小部屋にある魔導書とかにしてね。あとは素材?これも貴重そうなやつからお願いね」
「はいは〜い。私もお手伝いしますので出来るだけ本から運んでいいですか?」
「う〜ん……さっきも言った通り魔導書とかからにしてくださいね」
「は〜い、分かりました」
「うーん……他は家具とかかな。やっぱないと困るよね、椅子とか机とかベッドとか」
「本を運ぶなら本棚もいりますよね、ベル様」
「あ、確かにそうだね。それから野菜の種を買ってきてもらってるからそれも―」
「ベル……様………?」
「「「⁉︎」」」
……どうしよう。今後ろ振り向くのがめちゃくちゃ怖い!
もうね、分かるよ?振り向くのかなくても!そして大体のアニメでこういう展開はよくないことが起こるって相場が決まっているだよ!
僕は意を決して後ろを振り向いた。そこには予想通り
「ア、アイリス………何故ここに……」
「べ、ベル様……私…」
―眼帯を着け、種の入った袋を持ったメイド―アイリスかたっていた。
―――――――――――――
遡ること1時間前―。
ベル様からお使いを頼まれた……。
この時、私ことアイリスは使命感に燃えました。
ベル様から頂いたこの鉄貨は使うのが勿体ないので宝箱に入れておきましょう。
さて、ここ最近ベル様はお部屋にいらっしゃらないことも多いですし、早めにお使いを済ませてしまいましょう!
◇ ◇ ◇
……とりあえずオーソドックスな種を数種類購入しましたが……ベル様がお気に召して頂くといいのですが……。
お釣りは貰ってもいいと言われましたが、そんなことできようはずがありません!きちんとお返ししなくては!
ベル様まだお部屋にいらっしゃるといいのですが……
「くっ、遅かったですか……」
一足遅かったですかね。屋敷の外にいらっしゃるのか、居ないことも多いんですよね。リザベラさんとルマリーさんに聞いても知らないと言ってるんですけど……。
「居なかったら机の上に置いといて」と言われましたが、やはり直接お渡しするのが筋というもの。屋敷を探してお渡ししましょう。
でも本当にどこに行っんでしょう?まったく見当たりません。
そろそろお茶のお時間になりますし、紅茶をお入れしないといけませんね。ヨハンさんが新しく『ちょこ』という材料を使ったお菓子を用意してくれていると言っていましたし、それに合う茶葉をご用意しなくてはいけません。
ベル様……。
ベル様………..!
ベル様ァァァァァァ!!
あとになって考えてみたらこの時の私はまあまあ正気じゃなかったと思います。
そのせいでしょうか……
「あれ?アイリスちゃん!そんな袋を持ってどうしました?」
「ちょっとリザベラ。これ倉庫に運ぶの頼まれたんでしょ。手伝ってよ!」
リザベラさんとルマリーさん。お二人が木箱が運んでいるのは何もおかしくないのですが……
お二人になんか靄みたいなものが見えるんですけど……。
「い、いえ。ベル様にお使いを頼まれたのですが……お部屋にいらっしゃらなくて…」
とりあえず靄に付いて触れないでおきます。
「あー最近いらっしゃらないことも多いですよね」
緑色の靄を醸し出すリザベラさんは言いますが、笑いながら言うことじゃないと思います。
「いつの間にか戻ってきますけど……心配ですね…」
青色の靄を醸し出しているルマリーさんが心配するように言いますが、お二人に付き合っていただく訳にもいきませんし……。
「頑張って探してみます」
「はい、頑張ってください」
「一応私達の方でも探しておきますね」
「はい、よろしくお願いします」
そう言ってお二人は倉庫の方に向かっていきました。
……結局あの靄はなんだったんでしょう?
ふと窓の外を覗くと、道を歩く人々からも靄が出ています。
……疲れているんですかね。思わず左目を押さえてしまいました。
するとどうでしょう。靄が見えなくなりました。
…… もしかしなくてもこの左目のせい?
………。
ポ、ポジティブに捉えましょう!そ、それにこの左目の力があればベル様を見つけられるかもしれません。
そう思ってベル様のお部屋に行くと……黒い。
所々に黒い靄が上がっています。これは……足跡?壁の方に向かって……消えた…。いや下の方…?
通気口ですね。そこから靄が出ています。
通気口に残った靄を辿ると、本棚の上に着きました。
ここは一階にあると聞いている書庫ですか?見た限り一個や二個ではない本棚がありますね。
靄から見るに、棚に足を乗せて下りたのですね。そこからは……また足跡が消えた?
……このタイトルの無い本に靄が付いてますね。引いても抜けません。押すのでしょうか?
――ガゴン!ギリギリ……
「⁉︎」
――ガラガラガラー
…どうやら当たりのようですね。それにしてもこんな仕掛けがあったとは。
足跡は下まで続いています。この先にベル様が……。
私は階段を下りていくと扉が見えました。
ゴクリ……。
私は意を決して扉を開けた。
その先には―
――――――――――――――
……アイリスから一通りの話を聞いた僕は思った。
オッドアイってスゲェ………と。
おそらく他人の魔力とか気とかオーラとかを可視化する能力かな?それにしてもすごい。
「ベ、ベル様………私……その……」
って僕のバカ!そんなことよりアイリスのフォロー優先に決まっているじゃん!
「えっとね、アイリス」
「はい」
「ここは僕も偶然見つけた隠し工房でね、お母様達も知らないと思う」
「はい」
「アイリスに言わなかったのは悪かったと思ってるんだ。でもどう切り出していいか分からなかったんだ」
「はい」
「我儘かもしれないけどアイリスにも秘密にして欲しいんだ」
「ベル様」
「どうしたの?」
「……後ろにいるお二人はどちら様でしょう?」
おっと。確かに自己紹介が先かな?
でも気のせいかな?どことなく怒ってるような?
……あっ、もしかして……知らない女の子と一緒に居たことを怒ってる?
「はじめまして。私、ベル様専属のメイドのアイリスと申します。以後お見知り置きを」
やっぱりぃぃぃぃぃぃ!ベル様専属の所強調してるし!
「……ご丁寧にどうも。私の名前はレイです」
「……あっ、私か!えーと今のところはマギサです。ベルさんに付けて頂いた名ですね!ところでお嬢さんなかなか素敵な眼帯をしてますね。ちょっと外してくれません?」
「……お断りします」
「と言っても大体あなたの目がなんなのか検討ついてるんですけどね。ふーむ……《神の左目》ですかね?」
「……っ!」
ア、アイリスが見たことない顔してる…!あんなに歯噛み締めて……。
ま、まずいな。全体的にこの二人相性が悪すぎる。
「マ、マギサさん、《神の左目》って?」
僕は、単純に気になったのと、話題を変えるのもあってマギサさんに尋ねた。
「えーとですね。《創世教》って宗教があるんですがね、そこの5人だか6人だかの選ばれた神子に神の体の一部が宿るとか言われますね。その内一人が《神の左目》です。神様の左目ですね」
「そうなんだ……。でもそれならどうしてアイリスは奴隷なんかに……歓迎されることでしょう?」
「一部別の地域では《創世教》は邪教と言われてましてですね、《創造神》を意味する《白》を宿すものは逆に『忌むべき』とされてるんですね。いや宗教というのは難しいですね〜」
いや笑い事じゃないよ。
「……ベル様、私この人嫌いです」
はっきり言っちゃったよ。
「えーと……アイリス。この人のこの性格については諦めなさい」
「はい」
「それでね、アイリス。さっきも言ったとおりアイリスにもこの場所については黙っていて欲しいんだ」
「……それがベル様の望むことなら、私はそれに従います」
「そう!?よかった〜」
「はい。それでは……」
アイリスは僕の手を取ると、
「これは私達だけの秘密ですね」
…どうやらこれはただでは済まないパターンだな……。
お昼に「魚フライ弁当」を買ったんですけど、入っていたフライがエビ、イカ、ホタテのフライでした。
魚入って無いじゃん!




