子供だと思ったのに……
今回は初めての戦闘描写ですが、随分とあっさりとした仕上がりになってしまいました。
やっと10話です。現時点では夢物語ですが、いつか人気投票とかしたいものです。
………あれは駄目だ。
限りなく《英雄》に匹敵する能力を持った骸骨だ。内包する魔力を余すことなく身体強化に回しているのが分かる。全力の私ならともかく、今の状態の私では勝てない。何もできずに殺される。
いや、全盛期の私でも怪しい。
私は基本的に自分の興味のない事はすぐに忘れてしまう。両親の顔も自分の名前すら忘れて、ただただ魔法のことと少しの他のことしか覚えてない。その他のことも、戦術や魔物などの使いどころがないものばかり。
でもそのほんの少しのことで覚えていることが一つ。
《英雄》は恐ろしい。
私も《英雄》の一人に数えられたから分かる。《英雄》の近くで見てきたからこそ分かる。
《英雄》の剣は恐ろしい。魔法を放つ前に私を切り裂くから。
《英雄》の槍は恐ろしい。魔法ごと私を貫くから。
《英雄》の盾は強固だ。小手先の魔法など弾かれる。
当時最強の魔法使いと言われた私でも、当時最強の騎士団長には敵わなかった。
あの時は駆け引きを優先していたし、相手は盾を使って防御したので、本気の殺り合いではなかった。
でも、今は違う。
相手は確実に私を殺す為に動くだろうし、魔法を放つ時間など与えてくれないだろう。そもそもさっき貰ったマナポーションで回復した量でも、あれを倒すには『詠唱』しなくては充分な威力を出せない。当然、そんな時間を取れるはずがない。
この子達も殺されるだろう。私なんかと出会ってしまったが故にこんな事になるだなんて……。
白い髪のエルフの子は何やら見慣れない精霊を使役していた。確か『1番ちゃん』とか言っていた。少し話をしてみたかった。将来は大物になるだろう。
あの黒髪の少年も只者ではなかったように見える。おそらくあのマナポーションを作ったのは彼だろう。既製品にしては少々荒いところがあったが、効能は確かだった。独学で錬金術を学んでいるのだろう。
そんな未来ある子供達を殺される訳には………!
せめて足止めだけでも………
「レイ!『1番ちゃん』を!」
「はい!『1番ちゃん』!」
「………!」
突然、エルフの子が精霊に突撃させる。ちょ、何してんの⁉︎
白い精霊は手に持った杖を骸骨に向けて振り抜き、骸骨は両手の処刑剣を交差させて防ぐ。
驚くべきことに、骸骨と精霊は互いに拮抗している。だが逆に杖の方が折れそうだ。じりじりと処刑剣が杖に喰い込み始めた。
骸骨と精霊が鍔迫り合いするその上で三本の試験管が宙を舞う。ちょうど落ちるかというタイミングで精霊は力を抜いて後ろに下がる。
多分あれはポーションだろう。アンデッドにとっては回復魔法やポーションは毒になる。
だが予想を裏切って、あの試験管の中身はどうも粘着性の高い液体が入っていた。かなり強い粘着性があり、足を動かすことができないらしく、今も拘束を解こうとしている。
そしてその骸骨の首がストンと落ちた。えっ……⁉︎
倒れる骸骨の後ろにはあの黒髪の少年がいた。手に持っている剣で切ったの……⁉︎えっ⁉︎
黒髪の少年は剣を鞘に収めた。
「ん?あ、しまった……刀拭くの忘れてた。『粘着剤』は凍らすと固まって取れるけど……ってうわ、抜けない!どうしよう」
「べ、ベル様、大丈夫ですか?」
な、何事もなかったかのように話しているわ……。
えっ、終わり?あの私の覚悟とかは……嘘でしょ?
錬金術が使える以外は子供だと思ったのに………
最近MMOモノラノベを読み始めまして……
いつかそう言ったジャンルにも手を出したいです。




