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第一章 開幕 『目覚め』
私は今、何をしているのだろう。重力のない空間で無限にさまよっている。
私は今、何処にいるのだろう。この世のどこでもない『どこか』にいる。
私は、誰なのだろう。そうだ、私の名は――。
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突如として目覚めの時が訪れる。
「う……こ、ここは……?」
目覚めたのは、硬い石の上だった。石は、とてつもなく広い草原に2メートルほど突き出て埋まっている。この状況で最初に思ったのは、どうやってここまで登ったのだろうという素朴な疑問だった。
まあ、考えても仕方がないのでとりあえず立ち上がる。そこから辺りを見渡すと、建物のようなものを見つけた。
『あれは……?』
少年は石から飛び降りて、その建物へ足を運んだ。
石からその建物を目指し二百メートルほど歩くと、その建物の麓には門のようなものがある。そして賑やかな声が聞こえてきた。 その門へと走りながら向かう。
門をくぐった先に在ったのは、大きな町だった。否、 町ではない。一つの大国だ。
あまりの大きさに、少年は息を呑んだ。