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死神冒険紀  作者:
2/4

死神ですが?

「お、お前誰だって聞いてんだよ!」


まだ膝が震えている。でも、精一杯の威嚇のために、声を張り上げた。

「あり?人だ」


今頃気づいたのか!....そうじゃなくて!

「あ、もしかして見られてた?」

「そ、それより....こいつ何とか....!」

「ああ、ちょっと待ってて」


そういうと彼は黒い影に近づき、頭らしき部分を掴んで........

「いただきまーす」

「........へ?」


く、食った!?う、うおぇ........。でも彼はとても美味そうに、手をもぎ、足をもぎ、胴体を噛みちぎり、全てペロリとたいらげた。


「う........な、何やってんだお前!」

「ん?あ!」


そういうと彼は急に何かを思い出したように、俺の前に座って両手を合わせた。

「た、頼む、今見たことは誰にも言わないでくれ!じゃないと俺捕まっちゃうんだよ!」


つ、捕まる?何のことだかさっぱりだ....

「頼む!な?命を助けたと思って!」

一生懸命に頼む姿に、折れないわけには行かなかった。

「い、いいですよ別に。話したところで誰も信じねぇし。そもそも話す相手いねーし...」

「ま、マジで!?よかった........」


しばらく無言が続いた後、彼は自己紹介を始めた。

「俺は死神。この世に強い執着を持つ死人しびとを倒すためにこっちに来てんだ。さっきのが死人だな」

「........は?死神?」

「そ。まぁでも現世に来たのは面白そうだから、ってのが本音なんだけどね」

「おい何だよ。一瞬スゲーと思っちゃったじゃねーかよ」

「で、何で襲われてたの?」

「いや知りませんよ!」

「何かしてたのか?」

「普通に家に....そうだ家に帰ってたんだ。もう帰っていいっすか?」


それを聞くと彼は、何言ってるんだとでもいうように、鼻で小さく笑った。

「帰すわけないじゃん。秘密とか知られたし」

「........え?」

「とりま一回地獄行こうねー」

「えええっ!何で『一回署に行こうねー』みたいに言うんですか!そんな軽々しく....!」

俺の抵抗もむなしく、彼は俺を引きずる手を止めない。

「気にしない気にしない、さ、行こ☆」

「い、

いやだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

さっき彼が出てきた穴に、徐々に引きずり込まれていく。俺の絶叫は、こだまとなって消えていった........


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