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呪術師とチョコレート。  作者: 雪麻呂
平成呪術師日常風景
4/46

世渡り上手は罰当たり 3

3.






 あまりに悲惨で、目も当てられない。

 小柄ではあるけれど、それなりに筋肉の付き始めた、中二男子の背中。この歳で既に世渡り上手、全方向に愛嬌を振りまく背中。後ろ姿でもアピールを怠らない、ちゃっかりした背中。人の気を惹こうと、いつだってピンと伸ばした、背中。

 こんなに小さかったかしら。

 力なく項垂れて、意気消沈。グシャグシャに乱れた髪を整えようともせず、輝きをなくした眼は、潤んで畳を凝視するのみだ。完膚なきまでに叩きのめされて、もう愚痴を吐き出す気力すら、ないらしい。

 誰がどう見ても、敗者以外の何者でもない。


 悔しかったんだろうな。

 世音先輩に、赤井君や足立君に、負けたこと。

 ううん。それ以上に、紫音さんの言葉が堪えたに違いない。

 紫音さんの気持ちは、なんとなく、わかる。彼だって、流音君のことが心配で、仕方がないのだ。だからこそ、いちばん痛いところを狙って、お灸を据えた。決して嫌味でも意地悪でもない。本心からの説諭、長男の愛に他ならない。

 とはいえ……なぁ。


 あぁ。これ以上、見ちゃおられん!


 意を決して、わたしは、リビングに走った。

 鞄の中からオレンジの包みを引っ掴み、居間へ取って返す。

 たぶん、余計なお世話だ。人様の家庭問題に首を突っ込むようで、図々しいことは承知している。あとで、紫音さんや先輩に苦情を頂くかもしれない。自己満足の出しゃばり女だ。わかってはいる。

 だけど、こんな流音君、放っておけないもの。

 いいやもう知らない。

 怒られたら、謝ればいいや。


「流音君。はい、これ」


 わたしは、流音君の正面に膝を付いて、両手で包みを差し出した。


「…………?」


 ちらり。流音君は、脱力感に満ちた視線で、わたしを一瞥する。

 この状況じゃ、そうだよね。

 わたしだって、忘れるとこだったし。


「これね、ハッピーバレンタイン! わたしから流音君へ」


 えっ、と小さく呟いて、流音君が面を上げた。


「チョコレート……?」

「うん。ちょっと変な形になっちゃったけど。ごめんね」

「瑠衣ねえちゃんが……作ったの?」

「まぁね」

「僕に?」

「うん」

「僕のために?」

「そう」

「……ウソ。どうせ、兄ちゃん達のが余ったんでしょ……?」

「違うんだなーそれが。四人とも別の味。流音君はね、フルーツ好きだから、一口サイズに切って入れてみたの。紫音さんのは極甘で、華音さんのはビターチョコ」

「ほんとに……僕だけの……ために?」

「もちろん!」


 とびっきりの笑顔で、わたしは、大きく頷いてみせた。

 呆気に取られた様子で固まっていた流音君だが、すん、と洟を啜った拍子に、涙がホロリ。瞬きを忘れた眼から、零れ落ちた。

 それが頬を伝い、顎を滴り、固く握り締めた拳へと落ちたとき、唇が戦慄いて、とうとう嗚咽が堰を切る。そうして困惑、驚愕、衝撃と、実に複雑な過程を経て、その童顔が、くしゃっと歪んだ。

 あ、泣いちゃうかな?

 思った次の瞬間。


「瑠衣ねえちゃん……!」


 流音君は、叫んで、わたしの胸に飛び込んできた。


「ちょ、ちょっと流音君!?」


 驚いて身を引くも、畳に膝立ちの体勢。ぺたんと尻を着いた格好で、わたしは、流音君を抱き止めていた。ちょうど、先程の紫音さんと同じ要領で。

 でも、違う。

 今度の流音君は、喚いたりしない。逆だ。なにも言わず、幼児が母親の膝でするように、わたしの胸に埋めた頭を左右に振り、押し殺した嗚咽を挙げている。制服の襟を濡らす感触は、偽りのない熱。止め処なく溢れる、涙だった。


「ねえ、流音君……?」

「…………」

「流音君?」

「…………」

「……大丈夫?」


 ビックリした。

 いつだって明るい、お調子者。自分を魅力的に見せるため、ときに聡明を、ときに愚鈍を装う。チャラチャラして、小生意気で、人を出し抜くのが得意で。利益にならない競走には、てんで興味がない。そんな流音君が。

 そんな流音君が、泣いてるんだもの。

 なにひとつ繕うこともなく、こんなに素直に。

 たった一箱の、チョコレートなんかで。


「……瑠衣、ねえちゃん」


 ひっく、と喉を鳴らしながら、流音君の額が、胸から離れた。

 あ、駄目。これ嫌な予感がする。まずいぞ。

 いかん!


「あり、がとう……」


 ドギュゥウウン。

 予感的中。

 そこはかとなく萌えキュンな上目遣いが、心臓を撃ち抜いた。

 糖度満点の、幼い顔立ち。長い睫は泣き濡れて、それでなくとも潤んだ眼をキラキラと、少女漫画さながらに際立たせている。困ったように寄せられた眉。への字に結ばれた唇。いずれも、母性本能を覚醒させるには、充分な威力である。

 くっそ、辛抱たまらん!

 沸き上がる庇護欲に、矢も楯もたまらず、わたしは流音君の和毛を撫で回した。存分に撫で回した。そりゃもう、剥げそうなくらい撫で回した。

 やばい可愛い。マジで可愛い。なんなの、この子。ヤバイんだけど。

 本当に、なんてタチの悪い子なんだろう。

 いつも、計算尽くの笑顔ばかり振り撒いてるくせに。

 無防備な涙の方が、よっぽど愛くるしいなんて。

 余計、始末に負えないじゃないか。


 なんだか照れ臭くて、わたしは、徒に視線を遊ばせる。

 と、流音君の脱ぎ捨てた学ランに、目が留まった。

 正しくは、その内ポケットにだ。ソファに放り出された学ランの、捲れた内側、几帳面に折り畳まれた紙片が、角を覗かせている。


「あれ? 手紙?」


 誰に言うともなく、わたしは呟いた。

 それが聞こえたらしい。華音さんがわたしの視線を追って、ソファに歩み寄る。

 学ランの内ポケットからスッと引き出したのは、やっぱり手紙だった。


「…………」


 ザッと目を通して、華音さんは、何故か驚いたように眉を上げた。


「流音、ちょっと」

「え?」

「おいで。これ」


 流音君は、訝しみつつ億劫な仕草で立ち上がり、華音さんに歩み寄る。

 気になって、わたしも彼に追従した。

 ほら、と広げられた手紙を、左右から覗き込む。

 そこには、なんとも少女らしい、可憐な丸文字で、こう書かれていた。




 仇志乃流音君へ。

 初めまして。ずっと、流音君が好きでした。

 プレゼントを用意したのですが、勇気がなくて渡せなかったんです。

 でも、どうしても、諦められない。この気持ちを伝えたい。

 良かったら、明日の午後三時、体育館の裏に来てください。

 待ってます。




「…………」


 キョトンとして瞬きを繰り返す、流音君。

 そして、わたし。


「――だってさ。どうする? 本命じゃないけど?」


 揶揄っぽく言ってみせる華音さんは、けれど、とても優しい眼をしている。

 流音君は、ちょっと恥ずかしそうに肩を竦めて、


「行くだけ……行ってみる」


 明後日の方を見ながら答えると、鼻の頭をポリポリ掻いた。


「……はぁ~あ」


 華音さんから受け取った手紙を丁寧に畳み、ズボンのポケットにしまう。

 大きく伸びて、深呼吸。

 そうして涙の跡を拭えば、あっけらかんとした笑顔は、スッキリ晴れ渡って。

 なんということでしょう。ものの数秒で、流音君は、しれっと再起動を果たしたのであった。

 さすが末っ子。

 切り替えも立ち直りも、早い早い。


「お腹空いた~! 華音兄ちゃん、ピザあっためといて。お風呂入ってくる!」

「オーライ。飲み物はコーラでいいかい?」

「あざっす」


 スクールバッグ、コート、学ラン。パタパタと無駄のない動線で荷物を回収し、流音君は、リビングのドアに手を伸ばした。

 その手が、はたと止まる。

 振り返った視線の先には、チョコレートの入った紙袋があった。

 流音君が、雑魚と断言して、床に放置していたものだ。


「……メンドいなぁ」


 なんてね。

 口調こそ小憎たらしいが、紙袋を抱える手付きは、この上なく柔らかかった。


「こっちはどーしよ。赤井と足立。明日、ロッカーに入れといてやるかなぁ」


 あ~メンドい。

 わざとらしくボヤきながら、流音君は、足早にリビングを出ていった。









「うちの母親が亡くなったとき、あの子は、まだ三歳だったのだよ」


 流音君の足音が消えた頃、紫音さんが、ぽつりと口にした。


「そう、なんですか?」


 見ると紫音さんは、華音さんに手を引かれて、ソファへ移動するところだった。

 頷いたのは華音さんで、それから身振りで、わたしに座れと促してきた。


「ビールをおくれ、華音」


 紫音さんは、ソファに腰を埋めて、深い溜息を吐く。

 わたしも、ダイニングチェアに掛けた。

 なんだろう。

 よくわからないけど、珍しく沈痛な面持ちの紫音さんが、気になった。


「父親は、その一年後に失踪してね。ずいぶんと苦労をしたものだよ」

「え!? そうだったんですか……?」


 なにそれ。ひどい。

 小さな流音君も含めて、四人の子供を置き去りにして消えるなんて……。


 うっかりドン引きしてしまって、わたしは、慌てて表情を取り繕った。

 それが無意味な行為だと気付くのは、いつも遅れて寸刻だ。

 繕うべきは声だったろう。彼の前では。

 不自然な間に、紫音さんは、ちょっと不思議そうだったけれど。

 些細なことと判断したらしい。話を続けた。


「その分、長男である私が親代わりを務めるべきだったのだけれど……私は、眼がこんなふうだから。情けないことに、逆に世話を掛ける形になってしまってね」


 受け取った缶ビールの栓を空け、中身を一口。

 紫音さんは、自嘲気味に唇を歪ませる。


「きっと、愛情に飢えているのだよ。金銭や物質に執着するのも、そのせいだろうと思う。けれど、そんなもので得られる満足など、たかが知れている。それでああやって人の気を惹こうとするのだろうね。また、これがなまじ上手くいってしまうものだから、味を占めてしまった。大人や世間の残酷さを軽く見ている節があるのだよ。己がまだまだ幼いということ、とんと自覚が足りぬと見える」


 両手で缶を握って、紫音さんは、小さく頭を振る。


「要領は良いのだけれど、詰めが甘いのだよ」


 わたしは、そんな紫音さんの指先をじっと、みつめている。


「いつか、酷い目に遭うのではないかと……心配でね」


 紫音さんは、そこで言葉を切って、思い出したようにビールを呷った。


 正直、戸惑った。

 なんでこんな話を、赤の他人の、わたしにするんだろうと。

 でも反面、妙に納得もしていた。

 紫音さんは、家長として、長男として、仇志乃家を背負う身だ。

 責任は重大だろう。人知れない苦労だってあるだろう。それでも、弟達に弱みを見せるわけには、いかないんだ。少なくとも、成人前の先輩や、流音君には。

 わたしは一人っ子だし女だし、他人だから、きちんと事情を理解してるとは言えないけれど。男の世界って、たぶん、そんな感じなんだろう。

 たまには無関係な人間に話を聞いてもらいたい。

 そんなときだって、あるのだ。


「大丈夫ですよ!」


 わたしは明るく言って、胸の前で拳を握った。


「流音君、お利口さんですから。本当に危ないときには、ちゃっかり逃げてきますって。それにほら、こんな優しくて素敵なお兄さん達がいるじゃないですか。なにがあったって、ヘッチャラです! 彼だって、仇志乃家の末っ子なんですよ?」


「…………」


 ありがとう。

 しばらくして、聞こえてきたのは、長男と次男。

 二人分の声だった。





                  †





 二月十五日。

 ちょうど翌日が土曜だったこともあり、わたしは結局、仇志乃家に一泊した。

 といって、別にアレやコレやムフフな事案が発生したわけではない。全然ない。悲しいくらいない。宛がわれた部屋で、普通に一人寂しく、寝て起きて、掃除やら洗濯やら手伝っただけである。

 なんということもなく過ごして、時刻は、午後五時半。

 華音さんは自室。わたしはリビングで読書。先輩は、夕飯の支度に取り掛かっている。メニューは、チーズインハンバーグのトマトソース煮込み。流音君の大好物だ。先輩なりの、励まし方なんだろう。

 紫音さんは、居間のコタツで、お気に入りの怪談動画を視聴していた。

 某怪談の巨匠が、怖いな~怖いな~と早口で喋りまくっている。


『で、そんときアタシね、ヒョイとね、見るとはなくドアを見たらば』


 ――イイィイ~イイイイ――……。


「ぎゃあッ!?」


 開いたんですよドアが! 人気もないのに!

 そして其処には、白いワンピースを着た長い黒髪の女が!


「……あれ?」


 ということはなく、立っていたのは、ダッフルコート姿の中学生。

 ただの流音君だった。

 なんだよもう、ビックリさせないでよ!

 そういえば、手紙の主に会いにいくとかって、外出してたんだっけ。


「流音君? おか、え、り……?」

「…………」


 おや?

 なんか変だぞ流音君。

 わたしが声を掛けても、返事はなし。それどころか、リビングに入ってくる気配すらなく、何故か無言で直立不動だ。髪は乱れ、顔は青ざめ、見開かれた眼は血走って、そのくせ何処も見ていない。

 それよりなにより、纏っているオーラが、尋常じゃなくドス黒い件。

 な、なにがあった?


「おいおい、すっぽかされたのか?」


 先輩が、エプロンで手を拭きながら、流音君に歩み寄った。

 事情は昨日のうちに聞いている。さすがに気の毒だと思ったのか、口元に浮かべているのは嘲笑ではなく、苦笑だ。


「ま、残念だったな。そーいうことも……」


 ポン。肩を叩かれた流音君は、気怠げに視線を先輩へ流した。

 視線だけを。


「……ふ、うふふ」

「?」

「うふふふふふふふふふふふ」

「お、おい流音?」

「あはははははははは」


 続いて響き渡った奇妙な高笑いに、わたしも先輩も絶句した。

 だって、流音君、眼が笑ってない。

 むしろ完全に据わってる!


「流音、お前どうしたんだよ!?」

「くくく……いた? いたかって? ちゃーんといたよ?」


 なんだ、いたんじゃないか。彼女。

 なにがそんなに、


「――次郎丸渡っていう、三年のゴリラがね!」


 ん?

 んん? え、はい? 渡? ワタル? ワタル……

 ……君?

 それってまさか……。




「柔道部の主将! ガチムチだよ! 男子だよ! 男だよ!」




 大事なことなので二回言いました。

 先輩の視線が、みるみる憐憫の色を帯びる。


「あーあーもう意味わかんない! なんなの!? なんでゴリラ来んの!? ていうか危うくカンチョーされるとこだったんだけど! お近づきの印!? 意味わかんないんだけど! なんでカンチョー!? 童貞の前に処女喪失するとこだったよ!」


 ちょ、ちょっと流音君……。


「ていうか愛情表現がカンチョーとかどうなってんの!? 受け取れるかボケェ! ていうか、なんなの? バレンタインの神は、僕になんか恨みでもあるの? バカなの死ぬの? そんなに僕に呪われたいの? 仏教徒ナメてんの!?」


 流音君、落ち着いて!


「そうかわかった呪ってやる。呪ってやるよチクショオオウ!」

「流音君!」

「呪ってやる呪ってやる! 神を! すべてを呪ってやるぅうううう!」


 発狂モード全開。髪を掻き毟り、地団駄を踏み、有らん限りの暴言を捲し立て、流音君は絶叫した。なにがあったのかは、推して知るべし。詳細を問い質すなんて惨い真似は、わたしには、とてもできない。というか知りたくもない。


 ひとしきり心の内を吐き出したのか、流音君の肩が、突然ガクッと落ちた。

 膝に両手を突き、前傾姿勢で、ぜえぜえと息を吐く。

 力尽きたか。思って、ぶっちゃけホッとした、そのときだ。

 すいと、流音君の顔が持ち上がった。


「――――!!」


 一見して、無表情の中学生である。

 だが、おわかり頂けただろうか。

 すべての感情を失ったかの如く、生気の失せた眼。貼り付いた眉。人の言葉などいっそ不要とばかりに結ばれ、そのくせ嗜虐の予感に微笑む唇。其処にいたのは、小さな五体に途方もない憎悪を秘めた、立派な少年呪術師なのであった。


「五寸釘……何処しまったっけ……」


 呟いて、流音君は、スタスタと本堂の方へ歩いていった。


「…………」

「…………」


 哀しみを背負った後ろ姿を見送り、わたしと先輩は、顔を見合わせる。


「ふふ、ふふふふ」


 出し抜けに、紫音さんが笑いだした。


「兄貴……ひょっとして、あれ、なんかした?」

「なに、私は眠っているあの子の耳元で囁いただけだよ」


 先輩の問い掛けに、紫音さんは、満面の笑みで答えた。


「今年のバレンタインは、少々痛い目に遭う。とね」


 先輩は眉間を絞り、低く呻いて、天井を仰ぐ。


「おや。お前が言っていたのではないかね、世音。傲慢にはバチが当たると」


 してやったりのドヤ顔で、紫音さんは、尚も可笑しげに笑い続ける。

 わたしは確信した。

 ……当てたのは、紫音さんですね。


 紫音さんは、言霊という方法での呪詛を得意としている。

 詳しくは長くなるので割愛するが、術者が発した言葉が強制力を持ち、対象は、その意思に関係なく、術者の言葉通りの状態に陥るのである。要するに、ハゲろと言ったら相手はハゲる。転べと言ったら相手は転ぶ。死ねと言ったら死ぬ。

 この人ってば。

 そんな身の毛もよだつ怖ろしい術を、よりにもよって実弟に……。

 きっと、わたしと先輩は、同じことを考えていただろう。

 この長男がいちばん、洒落にならない。


「命に関わるものではない、微弱な言霊とはいえ、身内の呪詛に気付かぬとはね。まったくあの子は……ふふふ。詰めが甘いのだから。ふふ、ふふふふ」


 それこそ、チョコレートのようにね。


 クツクツと喉を鳴らす紫音さんの背後。

 プギャーとほくそ笑む仏様が、見えたような、気がした。











     世渡り上手は罰当たり/了







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