東京 曇り時々晴れ
東京の空は青くない。高層ビルが建ち並び、車の排気ガスに塗れたこの街は、決して綺麗とは言えなかった。そんな昼の東京は、ただただ騒がしく、晴れ間は見えているのにどこか重く、福岡の田舎で育った僕には、この空気が耐えられなかった。いつもすぐそこにあった、あの場所が懐かしい。でも僕は、もう故郷には戻れない。仕方ないのだ。あんなことが起こったんじゃ。
僕の家は、普通の一軒家。お父さんもお母さんも普通な人で、お父さんもお母さんも働いている。お父さんは、サラリーマン。お母さんはパートとしてやっていた。僕も、少しくらい役に立とうとバイトをやっていた。本当に普通の幸せとも不幸とも言えない家庭だった。
そんな家庭にある悲劇が襲った。その日は、ジトっとしていて、ベタつく日だった。その日は、毎月ある家族で外食をする日だった。それだったのに、僕とお母さんは喧嘩をしてしまった。別にたいしたことない、本当にどこの家にでもあるただの口喧嘩。僕が、「最近買ったゲームで、友達とオンラインで遊ぶ約束してるから、行かない。」と言ったのだ。お母さんはそれに激怒。「家族の時間は大切でしょ?そんな馬鹿なことやってないで、さっさと用意しなさい。」と言われたのだ。僕も僕で、「馬鹿とはなんだよ。別にいいじゃないか。ご飯くらいいつでも行けるんだし、今日くらい、いいじゃないか。それに、タイムリーなゲームは、今やらないともったいないの!」と譲らず、結局は夫婦水入らずでご飯を食べに行くことになった。「じゃあ叶多。行ってくるよ。」「パパ!今日は奮発しましょう!叶多なんか知らないわ!」と言って出ていった。「気をつけてなー。」
これが最後の会話になった。