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誘惑②
・・・朝だな。
俺の一日はベッドの壁の不快なポスターを見てから始まる。
リビングで母と二人きり、朝食を食べていて、丁度テレビがコマーシャルに移った時、母が話しかけてきた。
「あたしねぇ、そろそろ家の炊飯器も古いから、買い換えようと思って。」
「ふぅーん、そうなんだ。」
「え?」
寝ぼけていたのか、やっと昨日のことを思い出した。
本当なのか!?
と思うと同時に、妙な罪悪感に襲われる。誰が机に置いてくれるのだろう。
むしろ、恐怖を覚えた。
朝食はまともに食べずに、学校へ行った。
なにやら自己紹介をしているようだが、頭の中はあの紙のことでいっぱい。恋愛感情が入らないくらい頭の仲が窮屈だ
俺にも彼女ができるのかぁ。勉強も上手く行って、いい大学に行って。
お母さん、喜んでくれるかなぁ。底辺だった俺がいきなり勉強できるようになって、みんなびっくりするのかなぁ。
色々要望はあったが、一番先に勉強を選んだ。もうテストは、やる気さえあれば解ける。怪しまれないように、2、3問間違える。
結局カンニングを疑われたが、先生はとても褒めてくれた。