表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/101

契約するようです。

いつの間にかユニークアクセスが20万を超えてたようで。ありがとうございます!

 まずはご飯から食べてみよう。お茶碗を持ってテカテカと光る一粒一粒を眺める。うん、やっぱどこからどう見ても米だな。ではいただきます。

「うまっ!」

 程よく炊き上がっていて、噛めば噛むほど甘みが出てくる。甘みが出尽くすまで噛んで、ゆっくりと飲み込んだ。

「はあ~……」

「どう? 日本のよりも美味しいでしょ? 空気中の魔素を吸収した分成長が速くなって、美味しくなってるのよ。

 みそ汁も飲んでみなさい」

 そう言われてみそ汁を口に含むと旨みがじわーっと口の中に広がった。豆腐もちゃんと味がついてる。上手く感想を言えないのが残念だな。

 そこからは、とにかく一心不乱に食べた。少しも残さず食べて、ご飯も3回おかわりした。あと、サバは何故かシャケの味がした。解せぬ。

「ふい~、ごちそうさま~」

「お兄ちゃんいっぱい食べましたね」

「久々の日本食だったからなー。めっちゃうまかったし」

「それに、美人が作ったものだしな」

「ふえっ!?」

 ダリアさんがお茶碗をさげようとしてたリーナさんを指さしながら言うと、一瞬で赤面しながら驚いた。

「ん? どうした?」

「今、私のこと美人って……」

「ああ、本当のことを言ったまでだ」

「はうう……」

 煙が出そうなほど顔を赤くしたリーナさんは、チャカチャカと急いで片づけて厨房に逃げ込んでしまった。

「あいつどうしたんだ? 風邪でも引いたのか?」

「リーナさんがかわいそうだ」

「ですね……」

 僕の呟きにセリアが同意すると、ダリアだんは首を傾げた。

「お兄様は女心は分かっていませんね」

「男に女心が分かってたまるか」

 堂々と言いのけたダリアさん。僕達は揃ってため息をついた。

「母上までどうしたんです?」

「いやあ、前途多難ってこういうことなんだろうなあって」

 だな。恋するしないの前に、ここまで鈍いとは思わなかった。称号に『鈍感野郎』ってつかないのが不思議だ。

「ゆきと~」

「はやくけいやく~」

「けいやくしようよ~」

「それもそうだね。

 じゃあ、僕は部屋に戻ります。精霊達がうるさいので」

 さっきから僕のコートをみんなで引っ張る精霊達が「わーい!」と一斉に両手をバンザイして喜ぶ。

「では私も行きます」

「にゃあ」

「じゃああたしもついて行っていいですか?」

「いいけど、ロクなことにならないわよ。リル、ちょっと耳を貸しなさい」

 リルの耳元でユリウスが何か言うと、リルは顔を真っ青にした。

「そ、それって大丈夫なんですか?」

「大丈夫よ。ユキトの場合は数が多いし、ちょっと存在が希薄になるけど、それも一時的なものだから」

「でも……」

「分かってないわね。これはユキトが進んでやることなのよ?」

「……はい」

 目に涙を溜めたリルは胸の辺りで拳をギュッと握った。

「お兄ちゃん、頑張ってくださいね!」

「お、おう」

 そのまま抱き着いてきたリルを宥めて椅子に座らせる。

「じゃ、行こっか」

「はい」

「にゃあ」

 セリアとクロネを連れて部屋に向かう。その途中で僕は考えた。すなわち、何が起きるんだろう、と。

 魂を分け与える……うるさい……他の客に迷惑……ロクなことにならない……あ。

「ねえセリア」

「はい、何でしょう?」

「契約って、すごい痛かったりする?」

「はい。魂、つまり生命の根源を分け与えるということは体をバラバラに引き裂くのと同じでうから」

「まじか……契約すんのやめよっかな……」

「「「「「やだ~!!!」」」」」

「ぶっ!」

 途端に飛びついてくる精霊達。こら、皮膚を引っ張るんじゃあない!

「ご、ごめんって! 冗談だよ!」

「「「「「ほんと~?」」」」」

「うん」

「「「「「いえ~い!」」」」」

 泣き目の精霊達はすぐに涙を引っ込めてハイタッチをした。ま、我慢すればいいよな。

 部屋についたらベッドに寝かされた。長時間かかるだろうから、体に負担がかからないように、とのことだ。

 クロネが僕をベッドに縛りつけて、セリアが壁や天井、床、ドアに『ハイド』っをかけたら準備万端だ。

「これでいつでもいいよ」

「じゃあわたしから~」

 1番近くにいた赤い精霊が手を上げる。その精霊が口を開けると、口の両端が裂けて、耳元まで口は開いた。口の中にはサメを彷彿とさせる鋭い歯がビッシリと生えていて、ギチギチと魂を喰らうのを喜ぶかのように音を立てている。

「いっただっきま~す!」

 口を思いっきり開いた精霊が左の上腕にかぶりついて、喰いちぎった。

「うぐう……」

 上腕だけでなく全身に走る激痛に耐えながらも、喰いちぎられた箇所を見てみた。そこは何事もなかったかのようにいつも通りだけど、まるでそこだけが存在しないかのように感覚がない。これが魂を分け与えるってことなんだろう。というか、喰われると言ったほうがいいかもしれん。

 さっき僕の魂を喰らった精霊を見ると、小さな口に戻っていて、モグモグと美味しそうに咀嚼して飲み込んだ。すると、その精霊と何らかのパスで繋がれたような感覚がした。これで契約完了か。

 すると、すぐに感覚が戻ってきて、精霊達がはしゃぎだした。

「すご~い」

「はやいね~」

「はやいはや~い」

「じゃあたっくさ~ん」

「たべれるネ~」

 最後に語尾のイントネーションが変な精霊が言うと、みんな一斉に口を開けた。どいつもさっきのように鋭い歯がビッシリと生えている。

「「「「「いっただっきま~す!」」」」」

「おい全部は喰うなよ……あああああああああああああああああああああああ!!!」

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い……

 僕はあまりの痛みに意識を手放した。最後に見たのは、僕の魂を貪る精霊達と、僕を心配そうに見つめるセリア。それに、見たことのない少女が微笑んでるところだった。




というわけで精霊パニックでした。誰か予想できたかな?


来週がテスト期間なので、次の2回の更新はお休みにします。申し訳ない。

その代わりに21日に2話連続投稿します。時間は0時で。


感想や質問、誤字・脱字の指摘お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ