風呂に入るようです。
登場人物紹介とssの続きを書く暇が体育大会が終わるまでなさそうです。申し訳ない。
後半はかなり眠いテンションで書いたから。ちょっとクオリティ落ちてるかも。
風呂と聞いて期待した諸君、残念だったな。男風呂と女風呂は分けてあるんだよ。僕達だけ入るのはダメな気がしたからな。というわけで、ムサいおっさん達と一緒に風呂である。暑苦しいことこの上ない。
僕は何故か質問攻めにあった。
「どこ出身なのかい?」
「とりあえず、この世界ではないどこか、とだけ言っておきます」
「あれ、東大陸と言ってなかった?」
「あれは嘘です、すいません。ああ言ったほうが信じてもらえるかな、と思ったので」
「心配せずとも、嘘だと見抜いていましたよ。商人が騙されるのは恥なのでね」
ありゃりゃ、バレてたか。なら本当のことを話しておくかな。
とりあえず、地球から来たことと、加護を得たことだけは話した。
「ふむふむ。ならば、ユキト君は『迷い人』と思ったがいいのかな?」
「『迷い人』?」
「迷い人とは、ユキト君のように別の世界から来た人の総称だよ。十数年から数十年に1人か2人現れるんだけどね」
ふーむ、なら今度から『迷い人』名乗ったほうがいいかもしれないな。そっちのほうが何かと面倒事は減りそうだし。
なんて考えてると、フレンドリーになって敬語を使わなくなったカシムさんが鋭いことを言った。
「ところで、まだ何か隠してるよね?」
あら、バレたか。
「あります。ただ、これは宗教上の問題なので、あまり言いたくないんですけど」
「この商団に特定の宗教に入ってる人はいないよ。心配しないでいいから、話してくれないかな?」
辺りを見回すと、みんな頷いた。うん、本当みたいだな。
「加護を受けたのは、数多の神々からです。これのせいで面倒事に巻き込まれやすくなったみたいです」
苦笑いして言うと、周りもつられて苦笑いした。
「けど、何でそれを隠していたの? 1人の神でも複数の神でも変わらなくないか?」
「一神教とか、信仰対象以外の神様は認めない、もしくは邪神だ! とか宣言してるのが多いじゃないですか。そういうのに知られたら絶対突っかかってきそうなんで」
と言うと、みんな納得顔になった。こういったトラブルはいつでも絶えないのだ。
ちなみに、ルミナス教は多数の神の存在を認めている。その上であのルミナスを信仰してるから大したものだと思う。
「そういうことだったら、黙っておくよ。いつの世も宗教というのはめんどくさいねえ」
「ですねえ」
男風呂がこんな世間話をしてる間、女風呂からはキャイキャイと楽しそうな声が聞こえてきた。少数だが、商団の中にも可愛い人はいる。
それを聞いて、誰かが言うだろうと思ったことを言い出した。
「……なあ、覗かないか?」
「おう、もちろんだとも。ユキトも当然覗くよな?」
「僕はやめとくよ。絶対ばれる」
「バレるもんかよ。行きたい奴は手を上げろー!」
僕と変わらない年齢のリュカが後半を小さな声で叫ぶと、ほとんどが手を上げた。お前らマジかい。
「ほら、ユキトも行くぞ」
「はあ……、分かったよ。けどどうすんの? あっちまでは離れてるし、風呂を囲む壁の上にはゴーレムが乗ってるよ?」
「ゴーレムなんてあるもんか」
「それがあるんだよ。僕の奴隷のセリアが『氷魔法』と『自己再生』のスキルを持ってる。いくつか作って見張らせてると思うよ」
「そこはほら、ユキトの魔法でブッ壊せば」
「壊れたら信号がいくようになってる」
みんなの顔が少し暗くなる。
「な、なら地中を掘って行けば……」
「爆発型の魔法をいくつか地中に埋めてるのを見た」
もっと暗くなる。
「飛んでいけば……」
「飛行型の魔獣に襲われるか、探索系の魔法を使える人に見つかる」
はい、詰んだ。覗きなど無理なのだよ。
「いっそこうなったら、堂々と正面から穴を開けてしまえばっ……!」
「それこそ、魔法の良い的だ」
「それでも、覗きをしないでいられるか!」
ババーン! と効果音がつきそうな感じでリュカが腕を振り上げる。それに合わせてみんなも「そうだそうだ!」と声を上げていた。
「楽しそうなことを話してますね。私も混ぜてくれませんか?」
いつの間にか、壁の上には数十発の『アイスランス』が浮かんでいた。壁の向こうから聞こえた声の主はセリアだ。一気にみんな静かになる。
「穴を開けてもかまいませんが、そうしたら穴を塞ぐのに『アイスランス』の制御が上手くいかずに、落っこちるかもしれませんね」
「すいませんでしたっ!」
リュカが土下座をすると、セリアの笑う声が遠のいていった。あいつ、あんなに怖いオーラを出せるんだな。
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