後日談 帝国に行く話。Part5
この回で後日談は終わりになります。
あと、活動報告にクロネのssを載せています。お待たせしました。
(やあ。僕らからのプレゼントはどうかな?)
あまりの加護の多さにびっくりしてると、ゼウスから通信が入った。いつもはゼウスの声しか聞こえないのに、今回はザワザワと後ろから声が聞こえてくる。「よっしゃー!」だとか、「ちぇー」とか老若男女の喜怒哀楽様々だ。
(そりゃあ、びっくりしたよ。普通神の加護を得るのって何か特殊な条件があったはずだよね? 僕にあるとは思えないんだけど?)
(もちろんあるよ。ステータスを確認してごらん)
言われるままに確認すると、称号が1つ加わっていた。『神々の観察対象』だ。
これは『慧眼』を得てから知ったんだけど、称号には隠し効果がある。『氷雷』なら氷と雷属性の消費魔力減少と効果のアップだし、リルの『巫女』は魔法系、特に回復等の支援系魔法スキルが上がりやすくなる。そして、この『神々の観察対象』は、病気にかかりにくくなるのと、厄介後に巻き込まれやすくなるというものだ。ふざけんな。
(幸人よ、よくやったのだ! これであと100年は働かずに済むのだ!)
(仕事しろフレイヤ。つーか何してんの?)
(お主が加護にいつ気付くのかで賭けをしていたのだ。勝ったやつは自分の仕事を他人に押し付けることができたのだ。私は40番目に勝ったからドベのフレイに押し付けたのだ)
フレイって確かフレイヤのお兄さんだよね? そんなことしていいんだ。
(まあそういうことだから。頑張ってね〜)
あっ、ちょっ、あいつ言いたいことだけ言って通信切りやがった。
『そんな顔してどうした?』
「え、いや、加護の数に驚いたからね。どうも神達は加護を隠してたみたいなんだ。それでいつ僕がそれに気付くかを賭けてたらしいんだ」
『それはまた災難だな……
ともかく、隠していたのなら、今までのそれは氷山の一角にすぎなかったのだろう。表に出てきたということは、訓練して慣らしていくしかあるまい』
「努力するよ。それじゃ、帰ろう」
『ああ。だがその前に、我の卵に手を出した輩には罰を与えねばならん』
と言ったシェン○ンは、大量の息を吸い込み始めた。それに合わせて魔力が喉に集まり、口から風が吹き出した。おい、まさか、ブレスを放つおつもりで?。
「ちょっと待てええええええ!!!」
「キュ〜♪」
どうにか遠ざかったところで、シェン○ンはブレスを放った。それは細長い竜巻となり、帝都の真ん中にある城にぶつかり、粉々に打ち砕いた。ブレスを放った後、城があった場所には底が見えない巨大な穴が空いているだけだった。
『人間共、次に我の子に手を出せば命はないと思え!』
標的じゃない僕ですら震えるような声で叫ぶと、フゥとため息をついて僕を見た。
『では帰るとしよう。乗るがよい』
「う、うん」
返事をすると、ルドラが僕の体に巻きついてきた。胸の辺りからグルグルと巻きつき、短い前脚で僕の髪の毛を掴んで固定。まるで拘束具のようだ。
『すっかり懐いたようだな。では行くぞ』
来た道を今度はゆっくりとルドラに見せるように戻っていき、巣に到着した。
「キュー」
巣を初めて見たルドラはまず目についた骨の山に入っていった。適当に積んであるからなのか、中には空洞ができているようで、蛇のようにニョロニョロと動き回っているのが見える。
「キュー!」
『そうか、楽しいか。ゴミも存外役に立つようだな』
骨の山はルドラにとってアスレチックのようなものらしい。シェン○ンも目を細めて我が子を愛おしそうに見ている。
『さて、ユキト殿には大きな借りができたな。ここはお礼をせねばなるまい。その破れたコートとポケットに入っている吸魔石を我に貸してはくれまいか?』
「いいけど、何に使うの?」
渡しながら聞いてみると、シェン○ンは答えずに自分の爪と牙の先を折り、鱗を1枚とって両手でそれらを握った。
『ぬぅん!』
短い気合と共に両手に魔力を集め、握った物を握り潰した。何してんの!?
『……できたぞ』
シェン○ンが両手を開くと、そこには新しいコートだけがあった。ゼストの一撃で破れた箇所はすっかり治り、背中についたエメラルドグリーンの丸から同色の線が腕や脚を這うように伸びている。
-----------------------------------------------------
コート・オブ・ストームドラゴン
HP:25,000/25,000
VIT:12,500/12,500
『装備者AGI+20%』『装備者風魔法Lv.+4』『風属性被ダメージ半減』『自動修復』『環境調整』『成長』『完全隠蔽』
-----------------------------------------------------
……こいつらって自重という言葉を知らないのかな?と疑いたくなるような効果だ。
「キュ?」
「なんでもないよ。シェン○ン、ありがとね」
いつの間にか近くに来ていた首を傾げるルドラを誤魔化してシェン○ンにお礼を言う。いくら自重がなかったとはいえ、コートを強化してくれたからには礼は言わないとね。
『礼を言うのはこちらだ。ユキト殿には到底返しきれない恩ができた』
「んな大げさな」
『大げさではない。我々竜種は数が少ない故に、子供はとても貴重なのだ』
「まさに子は宝ってわけだね。大事に育てなよ」
『無論、そのつもりだ』
その後はルドラと遊んだり、シェン○ンと話したりした。ゼストに会ったのは驚かれて、一撃をくらって生きていたのはもっと驚かれた。そして、日が沈むころになったから帰ろうとしたら……
「ねえルドラ、離してくれない?」
「キュッ!」
ルドラが僕の脚に絡みついて帰らせてくれないのだ。このまま強引に帰ってもいいけど、それじゃ解決しないからな。
『ルドラ、離してやれ』
「キュッ!」
ブンブンと首を横に振る。どうやらまだ遊び足りないらしい。
『いい加減にしろ』
「キュ!?」
シェン○ンが魔力をルドラに放ちながら言うと、ルドラはすっかりビビってしまい、すぐさま僕から離れた。
「キュ〜……」
「そんなにしょげなくても、また今度遊びに来るからね」
「キュ、キュッ!」
「うん、約束だよ。それじゃあね。【飛行】」
『またいつでも来い』
「キュー!」
暴風龍の親子に見送られながら巣を飛び出て街の近くに降り立つ。門に着くとすぐにギルドに連れて行かれた。
「帝国までとはご苦労じゃったな。戻ってきてすぐで悪いが、説明してもらえると助かる」
「分かった」
帝国であったことをかいつまんで説明した。少し時間はかかったけど、納得はしてくれたようだ。
「ふむ、モンスターの移植をしていたとはな…… 戦った感想はどうじゃった?」
「3人、いや、2人しか相手をしていないので詳しくは分からないけど、最低でもBランクはあったと思う。でも、心配する必要はないよ。量産されてるとは思えなかったし、何より、シェン○ンが城を消し去ったからね」
「それはそれで問題じゃ。今後の帝国を見極めなならんのでな。
ご苦労じゃった。もう戻ってよいぞ」
「失礼しました」
ギルドを出て宿に戻ると、リルがいた。あれ、神殿でバタバタしてるって聞いたんだけど?
「神託がありました。お兄ちゃん達が近々街を出るから、ついて行くようにと」
あんにゃろう……どうせ、そっちのほうが面白そうとかそういう理由だろうな。
「あと、夜のほうも頑張るようにと……」
と言って頬を赤く染めるリル。
こっちの世界はモンスターがいるのとそんなに医療技術が発達してないせいか死亡率は高めだから、子供を作ることには非常にルーズだ。母と子の年齢が2桁に満たないことなんてザラにある。まあ僕は流石にそれはないけど。
「待て、僕はヤりたくてヤってるわけじゃないからな。セリアとユリウスに襲われてる側だからね」
「ですが……」
「ですがもこうもない。リル、最低でも12歳になってからだ」
「ご主人様……」
「ユキト……」
2人とも睨まないで! 僕のせいじゃないからね!
スキルの説明をしときます。
『自動修復』…破けて一切れでも残っていたらそこから次の日には元通りになる。複数に破れたからといってスライムみたいに増えるわけではない。
『環境調整』…装備者に合わせてサイズが変わったり、装備者の周囲の温度や湿度を一定に保つ。
『成長』…装備者や周囲の魔素を少しずつ取り込んでステータスが上昇する。
『完全隠蔽』…装備者の気配や匂いを全て外部に漏れ出さなくなる。
まあこんなとこですね。
1週間ほど、ストックを書くのに時間をください。次回の更新は4月25日になります。
感想や質問、誤字・脱字の指摘お待ちしています。




