後日談 帝国に行く話。Part1
いとことお花見に行ってきました。楽しかったです。ただ少し暖かかったので、マスクしてると苦しかったです。
真っ暗な空間に1人立っている。何かを踏んでる感覚はないから浮いているといったが正しいのかもしれない。
ああ、またこの夢か。こんなに意識がはっきりしてる夢を見るのは珍しい。
「……ドコダ」
僕を呼ぶ声がする。どこから聞こえてるのかは分からない。言うとしたら、この空間区域全部からだ。
ロックリザードの討伐に行った日からこれだ。何でこんな夢を見るのかはさっぱりだ。けど、誰かが僕を探しているのは確かだ。
「ドコダ」
不意に、目の前に大きな口が現れる。鋭利な歯がズラリと並び、人間をすっぽりと丸呑みしてしまいそうな大きな口。その口は次第に近づいてきて、そしてーー
「……っはあっ! はあっ、はあっ」
バッと体を起こす。荒くなった息を整えて、周りを見渡す。
左右には幸悦の表情でセリアとユリウスが眠っており、少し離れたところでクロネとレオが互いに身を寄せ合って眠っている。リルはいない。なんでも、この前の事件のせいで色々と忙しいらしい。正式な巫女になったから、ルミナスの神託を聞いたりして支持を与えているとか。あいつも大変だ。
ふと窓を見ると、太陽が昇ってきているところだった。伸びた前髪が目に入る。
「髪切ろうかな……」
*
すっかり日も昇り、住民が起き始めるころ、街は騒然としていた。近くの山に棲んでいるSランクオーバーの竜種、暴風龍が街に接近しているとのことだ。
暴風龍は気性は大人しく、むしろ人には優しいそうで、山で死にかけた冒険者が暴風龍に助けられたなんてことも度々あるとか。
そんな暴風龍が街に接近してきているのだから、大騒ぎである。曰く、誰かが山で何かやらかしただの、吸血種事件の延長線だの、根も葉もない噂が飛び交っている。そんな中、ここ冒険者ギルドの2階だけはシーンとしていた。
「……もう1度言ってもらえますか?」
「暴風龍は僕を探しにきたんだと思う」
「こんな時に冗談はやめてください。怒りますからね」
頬を膨らませてふくれっ面な女性ギルド職員。背中に男性冒険者からの視線がグッサグサ。
「いや、本当だって。こんな時に冗談を言うほど僕は馬鹿じゃないよ」
「それこそ信じられませんよ。もういいですか? これ以上冗談を言うなら「待てい、そやつの言っておることは本当じゃ」ギルドマスター!?」
急に周りがざわめきだす。声のしたほうを見てみると、ヒゲをたっぷりと生やしたおじいちゃんが僕を見ていた。
「ほ、本当ですか? 暴風龍がこの子供を探しているというのは」
「それはどうか知らんが、少なくともこやつは嘘は言っておらん。少年よ、子供と言われたからって、憤るではない」
「っ、どうして分かったんですか?」
「ほっほ、無理に敬語を使わんでもええぞい。おっと、答えてやらんとな。
簡単じゃよ、儂も『心眼』を持っておるからじゃよ」
そういうことか。じゃあ夢のことも分かってるのね。
「あの、ギルドマスター、つまり、どういうことですか?」
「なんじゃ、お主も鈍いのう。こやつが暴風龍の目的で間違いないじゃろうして、それを言うためにここまで来たわけじゃないじゃろう?」
ニヤリとこっちを見て笑うギルドマスター。
「ああ。街から出られないから、あんたに一筆いただきたくてね」
現在、街は変に暴風龍に刺激を与えるといけないから封鎖中だ。
「そうかいそうかい。ちっと待っておれ、なんとかしてやろうぞ」
と言って、階段を上っていった。すぐにガヤガヤしだす冒険者達。奇異の目が僕に集中する。早く戻ってきてくれ…… と思っていると、1枚の紙を持って戻ってきた。ピタッと止む声。お前らすげえな。
「ほれ、これで通れるじゃろう。儂直々の書状じゃ」
「ありがとう。行ってきます」
書状を受け取ってギルドを出ようとすると、いつの間にか集まっていた野次馬が避けていく。モーセになった気分だ。
無事に外に出ると、セリア達が待っていた。
「どうでした?」
「ギルドマスター直々の書状をもらえたよ」
「良かったわね。じゃあ行きましょうか」
「は~い!」
みんなで門に向かう。門番兵に書状を見せると、驚いたがすぐに真剣な表情になった。
「分かった。通っていいぞ。だが、これにはお前だけを通すようにと書いてある。その妖精はともかく、他の者は通すことはできない」
「じゃあこの奴隷だけでも連れて行っていいかな? こいつには暴風龍が来た理由を伝えさせるからさ」
セリアの首に触れると、鎖状の紋様がぼんやりと光った。これは触れた人の奴隷であることを示すものだ。
「ふむ、まあそれならいいだろう。では門を空けるから少し待っていてくれ」
と言って、横についていた扉の中に入っていった。
「あーあ、やっぱりお留守番か。まあ分かってたことだけどね」
「今回ばかりは仕方ないよ。大人しく待ってるんだよ」
「にゃあ」
「がう」
「ご主人様、門が開くようですよ」
門が開いて草原が見える。
「では行ってきます。風よ、我が身を運べ【エアコーティング】」
セリアは『エアコーティング』を使って走り出し、それに合わせて僕も走る。10分ぐらい走ったがろうか、暴風龍が見えてきた。
西洋風の脚が太くて背中に翼が生えた竜ではなく、東洋風の蛇に短い手足がついた龍だ。全身にビッシリとある鱗は緑で、後頭部から背中、尻尾にかけてこれまた緑の毛が生えている。目が赤。それはまるでーー
「シェン◯ン!?」
というわけで7つの珠を集めると願いを叶えてくれる龍の登場です。これを出したくて暴風龍を考えました。反論は受け付けません。
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