侵入するようです。
これで連続投稿は終わり!また月曜日からいつも通りになるよん。
こちら幸人。現在神殿を囲む鉄柵の前にいる。応答を求む。
……なんてやってみたいがあいにく相手はいない。自分で言って悲しくなってきた。
「リルはどこにいるのかな?【反響定位】」
頭の中に僕を中心とした3次元のマップが出来る。神殿はなかなか立派な建物のようで、5階まである。3階から上は、ただの住居スペースみたいだけどね。1階は大広間で、2階に礼拝堂らしきものがある。そして、地下には牢屋が連なっていた。牢屋の中にいるのはどいつもむさ苦しい男ばかりで、女の子はいない。
「もっと奥かなーーん?」
牢屋の奥の扉に『反響定位』が届いた瞬間、打ち消された。頭の中のマップがその扉の奥だけをブラックボックスにして、完成した。
どうなってるのかは分からないけど、おそらく、その扉の向こうにリルはいる。マップの中には捕まっている女の子はいないから。
「とりあえず、そこまで行ってみるか。【フローティング】、【ハイド】」
足跡を残さないように浮いて、音を消す。あとは『隠密Lv.9』を使えば準備完了。行きますか。柵を飛び越え、庭を走り、神殿の大きな扉の前に着く。扉の向こうには人がいるな。窓から入るか。
「【マイクロブラックホール】」
直径1μmの極小さいブラックホールで、窓の閂を消し去る。これ使えるようになってて良かったなあ。
音を立てないように開けて侵入。廊下を走り、壁を伝い、天井を這い、地下に通じる扉の前まで辿り着いた。
さて、ここで問題。地下には捕まってる人がいます。脱走しようとする人もいるだろうし、僕みたいに侵入して脱走の手助けをしようとする人もいるでしょう。その対策としてどうするか?答えは、
「衛兵邪魔だなあ……」
入り口に衛兵を配置する、でした。
うーん、どうしよ?いるのは見えてる2人だけだし、すぐに凍らせたら大丈夫かな。
「氷よ、凍らせたまえ【フリーズ】」
瞬時に凍って、物言わぬ氷像と化した。これでよし。地下に入るか。
「ん、鍵が掛かってるな」
どうやらこの衛兵達が持ってるようだ。解凍したら騒がれそうだし、扉を溶かすか。
「熱よ、その身をもって溶かしたまえ【メルト】」
本来なら侵入・脱走をする者を阻む扉が溶けて道を開けた。階段を下りて、地下に着いた。中は暗く、牢屋の中はよく見えない。
音を立てずに奥の扉まで歩く。牢屋からは呻き声やブツブツと何かを呟く声が聞こえてくる。それらを全部無視して『反響定位』を打ち消された扉の前に着いた。
魔力眼を使って扉を見てみると、扉が周囲の魔力を吸収していた。解析してみるか。
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吸魔の扉
HP:1500/1500
VIT:350/350
『効果』
「魔力吸収」
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なるほど。どうやら、打ち消すではなく、吸収するだったのか。素材は気になるけど、物理攻撃で壊すしかないか。
力を入れて一発パンチ。扉は大きな音を立てて粉々に砕け散った。そして、破片の中に1つ拳大のダイヤモンドのような宝石があった。解析してみると、吸魔石とでた。多分、これを扉の中心にでも使ってたんだろうな。貰っとこ。
吸魔石をポケットに突っ込んで、中に入る。そこに牢屋はなく、代わりに1人の女の子が鎖で部屋に繋がれていた。
「君がリルだね?」
女の子は痩せこけた顔をゆっくりと上げて、空色の瞳で僕を見つめて、口をパクパクさせた。
「喋れないの?」
「……」コクン
「そっか。僕は幸人。いつもは冒険者で、ルミナスから君の救助を頼まれた」
「……」
知ってたみたいな顔をしてる。ルミナスから聞いてたんだろう。
「それじゃあ、さっさとこんな陰気臭いとこから出よう。ちょっと待ってね」
鎖を千切って、リルの手足を自由にした。手首と足首に痣が残ってる。
「立てる?」
「……」フルフル
「そっか。じゃあ、背中に乗って……と言いたいとこだけど、誰だ」
リルを背中におぶさろうとすると、不意マップに1人の反応があった。どうやってここまで近づいた?
「その子は置いていってもらおうか。それと、君に名乗ったところで意味はないな。」
目の前に現れたのは、法衣を着た50代のおっさんだ。皺を刻んだ顔を醜く歪ませて笑っている。
「そりゃそうか。アンタは今ここで死ぬんだからな、ニスエルタスさん。いや、新生魔王軍27柱の1人、吸血種の始祖ニスエルタスさんと言ったがいいのかな?」
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