瓶の中身
中身なんてありませんよ
開ければ中は空っぽですよ
同じラベルに同じ包装を施せば
外から区別なんてつかないでしょう?
僕らは所詮量産品
真っ黒な服に身を包み
貴方に手に取ってほしくて
裏の説明書きに嘘を書き綴る
説明書きはこんな感じ
甘くて美味しいとか
健康で体にいいとか
一度食べたら病みつきとか
ただし、説明書きはちゃんと読んで欲しい
生憎返品は受け付けていないので
隣のあの子は真っ赤でどろどろのイチゴジャム
向かいのあの子は舌が痺れるぐらいの甘い劇物
斜向かいのあの子は真っ白な…ふぅん?これは何だろう
とにかくみんな、同じ服恰好しちゃえば中身なんてわからないのさ
お求めの子はどの子ですか
外見だけで見わけてくださいね
おや、お兄さん 秤をお使いに?
賢明といえば賢明
ただし、それが貴方の求めるものとは限らないわけですが
中身なんてない
ただの空き瓶の僕が売れるのはさて
いったい、いつ頃の話でしょう?