第一日目の終了
王位継承の儀式戦争、その第一日目は海賊王側の優勢で終わりを告げた。
ヘカトンケイルにより崩された前線の影響が強いだろう。
あの後何とか持ち直したのだが、大きく前線の後退を許してしまった。
それだけ、本陣が危険に晒される可能性が示唆される。
本陣に戻るとすぐに、ヴィルヘルム先輩が出迎えてくれた。
「…セシリアさん、よく来てくれたな。まさか間に合うとは思っていなかったよ。」
「もちろん可愛いヴィルヘルム君が呼んでるんなら、すぐにでも駆けつけますからね。」
「ふっ、その言い方はよして欲しいが………、それより後神、無理をさせたな。明日はもう参加しなくていいから、傷の手当をしてからゆっくり休んでくれ。」
「……………はい……、」
「…まさか門番の族の悪魔が相手側に居るなんて想定外だった、これは完全にこちらのミスだ。……すまない。」
「…いえ、」
ヴィルヘルム先輩が悪いのではない、僕の無力さ、弱さが原因である。
何が悪魔を一瞬で殺せる力だ。
この力は、他人事ではない。
僕が弱ければ、本末転倒である。
「ーで、もう一人の新人ちゃんはどこに居るのかしら?それとフィリーちゃんは?」
「…あぁ、テティは今、本陣の会議室にいる。フィリーは、…多分何か食ってんじゃねぇかな。」
「わかったわ、じゃあまた後でね。…あー、後神くん、」
すると、突然セシリアさんが僕に向かって振り返った。
「……………はい、」
「…もう、そんなにしょげることはないわよ!君は十分よくやってました、あの圧倒的な戦力差でよく戦えたものよ、ていうか後神くん一人に無理させ過ぎだっかな、作戦に非があるわ。」
……しばらく談笑を交わして、セシリアさんは一人で本陣に入って行った。
「ヴィルヘルム先輩、質問してもいいですか?」
「…なんだ?」
「ウシロガミの力を使っている時は、僕にはその『人』に宿っている悪魔や神の魂が見えるんですが、」
「………ほう、」
「…彼女、セシリアさんの身体には二つの魂が見えました。…まさか、彼女は……。」
「…あぁ、セシリアさんは、全神任で唯一、二人の任神をその身に宿す人だ。…おそらくあの人以上に任神の扱いに長けている人は居ない。」
「………、」
任神一人だけでもとんでもない負担だと言うのに……、とても考えられないな。
「…さて、今日はお前やフィリーに頼り切った戦いだったが、明日は俺と、俺の一族の戦いだ。」
ヴィルヘルム先輩は振り返らずに歩いて行く、
「…必ず勝つ、」
そう言ってヴィルヘルム先輩もまた、本陣へと消えた。




