特級選抜クラス
「……京くん、起きてください。京くんッ、」
「………………、はぃ、」
「……もぅ……、起きるの遅過ぎです。今日から普通に学校なんですよ?早く着替えて下さい。」
時計は午前八時を指している。
間取りのカーテンは完全に開けられており、ベットの脇のテティが僕の服を抱えてこちらを見下ろしていた。
まったく、昨日ウェベラールから帰ってきたばかりだと言うのに……。
「………学校か……、」
そう思いながらも、僕は重い腰を上げた。
僕らは急いで、ローライトの校舎(ほとんど城だが)に向かった。
ローライト法術学校の門内に生徒達の宿舎があるので、そう遠くない道のりである。
すぐに、テティと初めて出会った長い階段に辿り着いた。
「…そういえばさ、ウェベラールに行った時は持ってなかったけど、あのライフル銃はどうしたんだ?」
例の異常に重い代物だ。
「スコーピオンM80-10ですか、丁度今メンテナンスに出しています。ドイツの技術士の一点物なので構造が物凄く複雑なようでして……すぐには返えってこないでしょうね。」
なるほど、
「私も思ったんですけど、京くんの任神の力。とんでもないですね、悪魔に触れるだけで殺してしまうなんて聞いた事がないです。」
…確かにウシロガミの力は絶大だ、それだけに昔から力の制御には苦労している。
時には器、媒体である人間を殺してしまうこともあるらしいのだからな。
……などど、会話しているうちに始業の鐘が遠くから鳴り響いた。
「………………遅刻、ですね……。」
登校初日に、遅刻の烙印が押されてしまった。
今年のローライトには、四百人弱の生徒が集まった。
もちろん複数のクラスに分かれてこれからの学校生活を送るのだが、クラス分けの基準は初期審査の結果の良し悪しで選抜するらしい。
「私たちは同じクラスですよ、特級選抜クラスという特殊なところです。」
特級選抜クラス……?
「着きましたね、案内図によるとこの部屋です。」
「……遅かったじゃないか、お二人さん。」
大きな扉を開けると、広く明るい教室に四人の生徒と、教師と思われる眼鏡をかけた男性が居た。
生徒の中には、初期審査の後、僕らと共に呼び出された面々も居る。
「テティ・アイリス・ミルモット君と、…えー、後神京君だね。ようこそ特級選抜クラス、またの名をローライズへ!!僕は君たちを歓迎するよ。」
ローライズ…、生徒数はぼくらを合わせてたったの六人なのか?
「好きなところに座りたまえ、君たちのためにもう一度このクラスについて説明しよう。」
よくある教壇に向かって段々になっている教室で、中央の長机の端に二人で座った。
「…………よう、あんたらが審査S評価通過組か。俺の名前はロウ・アレフミニ、よろしくな!」
すると、偶然近くに座っていたロウという名の少年が小声で話しかけて来た。
金髪で少し派手な奴だが、気さくで明るそうな雰囲気をした青年だ。
「………ロウさん、ですね。よろしくお願いします、ファミリーネームでも何でも好きに呼んでいただいてかまいません。」
「僕は後神京、普通に京でいいよ。」
案の定、僕の名前を物珍しそうにしているのが、表情から見て取れた。
「おがみ、みやこ?聞いた事ねぇ名前だな…。」
「おーいそこの三人、私語は謹んでくれたまえよ。今来た二人以外はみんな知っていると思うが、このクラスは普通のクラスとはかなり異なる。何が違うかと具体的に言えば、活動内容だ。……ここには、初期審査をAαで通過した者の中でも選ばれた少数と、Sを叩き出した三人だけで構成されている。よって、一般のクラスに比べてよりハードで高度な内容の授業を展開するつもりだ。……あー、」
突然、男性教師は何かを思いついたように一瞬僕らに目をやった。
「いいことを思いついた、メンバーも全員揃った訳だし、腕試しとしてロウ君と後神君で一刀流剣技の一本勝負をしてみないか?」
「いいッスよ!望むところ!」
ロウはすぐに立ち上がって目を輝かせていた。




