#4
「しかし今日はご足労頂いて感謝しているよ」
「いや、仕事なんで、それじゃあまた」
港に見送られ、タカトは1人でエレベーターに乗り込んだ。
ミッドタウンで何を購入しようかと考えている間に、一階に到着する。
「あんた、ゲイなんだ」
「うっわぁっ!!??」
エレベーターから降りた瞬間、突如脇から声をかけられて、タカトは情けない悲鳴を上げて尻餅をつく。
声がした先を見上げると、そこには仁王立ちする海の姿があった。
「おまえなぁ、もうこんなとこで待ち伏せるなんてストーカーの領域だぞ」
ため息混じりにタカトが言うと、海はふと目を伏せる。
「あんたがスキなんだよ。スキすぎて、死にそうなんだよ」
彼は蚊が鳴くような声を漏らし、膝を折ってタカトの視線に合わたかと思うと、突然腕をのばして抱きついてくる。
「うわっ!!??おい、離れろよ」
「嫌だ。じゃああの男の愛人なんてやめて俺と付き合って」
海はむぎゅっとタカトの顎をつまむと強引にキスを奪った。
「んぅ!?」
タカトは暴れるが、まったくもって太刀打ち出来ない。
歴然とする力の差に情けなくなるが、それよりも深くなってしまったキスに喘ぐ。
奪われる息に、酸欠になる。
絡む粘液を押し出せず、タカトは快感を受け入れながらぼんやりと海を見上げた。
「はっ……」
長いキスが終わり、唾液が唇と唇の間に橋を架ける。
海の欲望がちらつく瞳に、タカトはぶるっと身震いした。
「んふっ……ぅ……っ」
「エロ……あんたマジやばい」
彼はタカトの首筋をべろんとなめると、洋服の裾から手を入れて乳首を摘んだ。
「あっ……こんな所で、やめぇっ」
「あんたが付き合ってくれるなら、やめる」
「そんな、ひどいっ……」
快感によって弛緩した身体はタカトの言うことを全く聞かず、ただ海の猥褻行為を受け入れることしか出来ない。
首もとまで服をたくし上げられ、海の厚い唇が赤く熟れたタカトの突起を包み込む。
「はっ……マジ…あんっあっ…殺す……」
ちゅうっと吸われると、目蓋の裏がチカチカと点滅する。
「あっ…ち、ちくびは、だ、めっ
「胸、弱いんだ。かわいい」
「ああっだ、め、だめっ」
指で強く弱く揉み込まれ、舌の上を転がされ、タカトの下半身は限界まで張り詰める。
「あんた、胸だけでイクの?とんだ淫乱なんだな」
「言わな……いで……」
海の膝がタカトの股間に圧力を加える。
ぎゅっと突起の先端を歯で噛むと、タカトの身体が大きく波打った。
「あああっ」
くたりと海の腕の中に沈んだタカトは、激しく息をする。
「本当に、胸だけでイったんだ」
「…………最悪だ……」
そうつぶやくタカトを、海は軽々しく持ち上げるとエレベーターに乗り込んだ。
「へ?おまっなんで降ろせよっ!!てかなんでエレベーター乗るんだよっ!」
「三階が俺の家だから」
「はぁ!?」
「あんたが、俺と付き合うって言うまで監禁する」
「はぁあ!?」
とんでもない海の発言に、タカトは青ざめた。
「おっ降ろせっ!!」
タカトはバタバタと足をばたつかせ、意地でも降りようと暴れた。
しかし海は取り乱すわけでもなく、冷静にタカトのズボンに手を掛けるとずりおろした。
「えっ」
驚くひまもなく、タカトの分身を握り込まれ固まる。
海はタカトのそれを激しく扱いた。
「あっあっあっイッたばっかなのに……あっさわったら…っひぃ…」
「暴れるな」
タカトが泣き喚いているうちにエレベーターは三階に到着し、降りるとすぐに扉がった。
慣れた手つきで海はカードキーをスライドさせると自動でドアが開いた。
「ワンフロア俺の部屋だから」
「なっ……」
「泣いても叫んでも誰も来ない」
海は寝室のドアを開けると、キングサイズのベッドの上にタカトを投げた。
一体、初対面のときのうぶい海はどこへ消えたのだろうか、とタカトは思いながら、目の前にいる彼を怯える目で見上げる。
海はタカトをベッドに押し倒すと言う。
「あんたがスキだよ」
「スキだったら何してもいいのかよ!」
「いいと教わった」
海はタカトの服を一瞬で脱がすとその服でタカトの腕を縛った。
「なっ……」
「俺と付き合って」