スポーツマンぽい婚約破棄
掲載日:2026/10/13
「みんな揃ったか」
陛下が重々しい声で言った。
王宮の接見室。人払いをして関係者が部屋の中央に集まっている。
関係者とは、この国の国王である陛下と、王妃様。
私の婚約者である第一王子殿下。
私と、その両親である公爵夫妻。
全員が「はい」と声をそろえると、殿下が緊張した面持ちで
「ではお願いします」
と言って、手のひらを下に向けて右手を差し出した。
円を描くように立っていた私たちは、それぞれ右手をのばして、殿下の出した手の甲の上に重ねるように乗せていく。
全員が乗せ終わると、陛下がゆっくりと全員を見回して
「婚約ゥ~~~」
と掛け声をかけ、全員で
「破棄ィ!」
と声をそろえ、重ねた手を上に突き上げた。
綺麗に決まったので
「オー!」
「イェー!」
と歓声が上がった。
お父様と陛下が固い握手を交わしている。
お母様と王妃様が手を取り合ってうなずいている。
私も思わず元婚約者である殿下とハイタッチした。
円満な婚約破棄だった。




