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第8話-ちょっと[私達]の大学回想シーンに付き合って?![2]

静寂なサークル部室内に、カタカタと、二人のPCのキーボード音が響き渡っている。



それと呼応するように、壁時計も刻々と時を刻んでいく。


長谷川がやる気を出し初めてから、もう3時間以上経っていた。


部室の外から覗いていた、多田潤の姉、多田遊は、もう居なくなっていた。


もう窓の外は、夕陽に染まりつつある。


その静寂を打ち破るように、長谷川が話しはじめる。


[どうですかな?!里奈殿?同人誌作成は順調ですかな?吾輩の方はかなり良い出来になりそうですぞー!]


アキバオタクが、何か言っている。


[................]


話を振られた、サークル長である小松里奈は、終始、PCとにらめっこし、またもガン無視だ。


[いやいや!そこは流石に反応してくださいよ!里奈殿?一緒に頑張りしょうぞ!向かう方向性は一緒な気がしますぞ!]


[............]


まだ無視を続ける。


[お願いしますから、何か話してくださいなー!?]


やっと気がついたのか、長谷川に向かって小松里奈が話しはじめる。


[ニャ?あー、長谷川ちゃんかー。PCに(かじ)りつき過ぎて、気づかんかったにゃー。

許してちょ?]


サークル長がズレた眼鏡をクイッと上げながら、そう言い放つ。


[ま、まあ良いです!それで?!どうですかな?里奈殿?吾輩のこのビラの出来は?まだ完成とはいえないが、自分でも中々の出来だと自負しているんですがねー。]


130kgの巨体を揺らしながら、アニオタ兼電子機器オタクの彼は言う。


彼は、こう見えて、パソコンにも詳しい。


自分自身で自作PCを作るくらいだから、素人とは比べものにならないだろう。


[ほえー!?パワポで作ったニャ?長谷川っち?素人から見ればそれなりに映るかもにゃー、でも写真が添付されてないにゃ?]


先程よりは、多少会話が続いてるような気がする。


[そんな事分かってますとも!里奈殿!吾輩を誰だと思っているのですか!?]


[あー、いやただのアキバオタクとしか思ってないニャ?]


低いトーンで小松里奈は話す。


[何でですか!?もう二年も同じサークルでやってきた仲でしょうに!大体の性格、趣味とかは似通っている筈ですぞ!?]


デブオタクが、ツッコミを入れていく。


[確かに、アニメ好きとか、同人誌好きとかは、似ているけど、ウチのBL物否定した罪は、万死に値するにゃー。]


サークル長が反論していく。


[それは、確かに悪いと反省していますとも!?でも、それは吾輩が萌えアニメやら、萌えラノベを好きと公言したとき、キモっ!と小声で聞こえたの知ってますからね?お互い様ではないかな?気づかなかったと思ってたのですか?!]


かなりの強い口調で、長谷川は話す。


[あー、もういいにゃー、じゃあお互い様っちゅー事で解決にゃ。やっぱり、腐女子とオタクも少し相容れない部分があるにゃ]


[な、何をー!]


勝手に憤慨している長谷川(デブオタク)を横目に、またPCに齧りつく[小松里奈]サークル長だった。


それに感化されたのか、言われた当の本人のデブオタク(長谷川)は、負けじと、PCに張り付き続けたのだった。


その二人の作業は、夜まで続いた。


翌朝、サークル長兼(腐女子)である、小松里奈が、サークル部室に顔を出すと、長谷川と、もう一人、見慣れない顔があった。


[多田遊]であった。彼女は、昨日の一連の光景を目にした後、自分に手伝える事は無いかなと家に帰った後も、模索していたのだ。


その[多田遊]が、部室に来た[小松里奈]に気づき、話しかけ始めた。


[ちーっす!はじめまして、私[多田遊]って言うんだ。アンタの名前は?]



[あ、え、えーっと.......]


先程までのデブオタ(長谷川)と話す会話とは、訳が違う。


元々、[小松里奈]は、男女関係なく、陽キャが苦手だと自分でも理解しているようだ。


色々と考えている内に、デブオタが口を挟む。


[あー、えーっとですねー、多田遊殿でしたっけ?こちらは、サークル長の小松里奈姫でございます。]


ツッコミどころが、一箇所程あったが他の二人は気にしていないようだ。


[そっかー、小松里奈っていうんだー。じゃあ、今日から、里奈っちって呼ぶわ!]


[...........っ]


サークル長は、言葉が出てこない。


そして、すかさずデブオタ(長谷川)がフォローに入る。


[まあ、なんですかな!里奈姫は、こう見えて陰キャ気質なんですなー、ですから、吾輩と初めて会った時も、陰キャラ+コミュ障発動!みたいな感じでしたからなー。少し慣れるのに時間を要するかもしれませんなー。はっはっは]


デブオタ(長谷川)に続き、遊が話す。


[そっかー、それじゃ仕方ないか。まあデブオタは置いとくとして、里奈っちとは仲良しこよしになりたいなーなんて思っちゃった]


[ちょっとー!!待って下さいよ!なんて暴言を初対面の吾輩に言うのですか!あなたは?吾輩がフォローしなかったら、二人の会話が続かなかったのではないですかな!?]


すかさず、今度はツッコミに回るデブオタ(長谷川)である。


付け加えると、長谷川自身確かに世間一般で言うキモオタではあるのだが、小松里奈と違う点がある。それは、コミュ障やら、陰キャ気質とは無縁という点だ。


[あー、はいはい分かりましたよ。アンタの言葉も心の片隅にでもしまっておくよ。]


本心から嫌いな訳では無いのだろう。恐らく。


適当なトーンで、遊はデブオタ(長谷川)に告げる。


[もう、吾輩もツッコミを入れるのは疲れましたぞ!それより、本題に入りましょうぞ。]


[あー、そうだったー!えーっと、里奈っちサークル長?私もこのサークルに入れてくんない?ビラ配りとかやっからさ?PCは分かんないから無理だけど、スマホはかなり詳しいからさ]


そう言って、サークル長である小松里奈に話しかける。


[あ、ああよろしくですにゃ....]


語尾は、相変わらずだが、言葉に覇気がないのがキモオタの時と違う。


[何で猫口調なの?]


一番気になるであろう疑問をぶつけてきた遊である。


[こ、これはですなー、小松里奈姫自身のキャラといいますか、まあ元々レイヤーやってた事もありまして、そのキャラの名残みたいなものなんですよー、はっはっはっ!]


キモオタ(長谷川) が口を挟む。その痛Tシャツは、もう汗でビショビショだ。


[あー、アンタには聞いてないから、安心して。私は里奈っちサークル長に話があんの、しっしっしっ]


遊が、長谷川に向かって掌を返すような仕草をする。


[オタクでも、私の弟の潤の方がまだマシだわ、アンタより。色んな意味で。]


[兄弟については、触れませんが、[色んな意味]とは、一体何なんですかー!?]


長谷川が、大声で叫ぶ。


それを横目に、遊が小松里奈サークル長に話しかける。


[じゃあ、改めてよろしくねっ!小松里奈サークル長?私も一生懸命働くからさ。スマホから大学のSNSで呼びかけてもいいし。]


[ちょっとー!?無視しないで頂きたいのですが!]



そんな声も関係なしに、遊は、片手でポチポチ、スマホを操作し始めた。


[あ、ああよろしくニャ. .. 一応目標としては、3人程集客したいニャ...]


まだ言葉が辿々しいが、何とか会話にはなっているようだ。


[じゃあ、これから2人でサークル大きくしていこう!つっても私も3年だから、後1年間しか在籍できないけどねっ?]


先程のデブオタ(長谷川)とは打って変わってハイテンションになっている遊であった。


[ちょっとーー!?吾輩を忘れておられるのではないか!2人ではなく3人でしょうが!失礼極まりない、おなごですなー]


体重130kg超えの巨漢が、大汗をかきながら、話す。おなごなんて言葉いつの時代の人間が使っていた言語だろうか。


[あんまり、近寄んないでくんない?臭いからさー、デブ特有の匂いみたいな?笑]


[何が!デブ特有の臭いですか!吾輩はこれでも毎朝シャワー浴びて、汗拭きシートも持参しているのですぞー。]


[あっそ。まあ、いいやじゃあこのサークルを二人と+オマケ一人で大きくしよっか里奈っち?]


[そ、そうだね..頑張ろっか..]


動揺すると、語尾が変わり始めるのも小松里奈サークル長の特徴だ。


[そ、そこはツッコむところですぞー!里奈サークル長殿ー!]


キモオタ(長谷川)の大声は、構内全体まで響き渡っていた。


次回へ続くにゃ!


















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