第5話-[俺]が魔王討伐ってマジ?!
はあ?何でお前みたいな電波女に俺の第二の人生決めつけられなきゃいけないんだよ?]
[自分自身で職業は決めたいんだけど?]
[つーか、まず名乗れよな?何でお前が俺の名前知ってて、俺がお前の名前知らないままなんだよ?それもおかしい話じゃん?]
正当なのかよく分からない論を立ててまくし立てる彼を見つめて、その彼女は口を開く。
[確かに、お前の言い分も一理ある。分かった。私もお前に名乗ろう。私の名は[ウィン]
だ。これで満足か?]
[なーんか、お前の口調が気に食わねーんだよなー、なにが満足か?だよ?上から目線でマジ腹立つわー]
[つーか、俺のスマホどこだよ?ねーんだけど?まさかお前がどこかにやったとか?]
彼女は、そこまで潤の言い分を聞きおわると、こう言い放った。
[まず1つ目の口調についてだが、これは私の口癖見たいなものなんだよ。目を瞑ってくれ。そして2 つ目の携帯に関してだが、これもこの空間に来てしまった限り諦めてくれ。]
[次の人生では、必要ないものだからね。]
潤は、内心でこいつとは、心底相性が悪いなと自分自身に言い聞かせた。
[あーもーいいよ!じゃあその勇者になる人生?ってもん教えろよ。]
半ば諦めに近い考えで潤は、話を続ける。
[了解した。では順を追って説明するから聞いてくれ。まず1つ目に、君がこの世界とは別の次元に飛ばされる事を了承してくれ。]
[2つ目に、その飛ばされた次元では、死という概念がないという事も心に留めておくこと]
[そして...]
ウィンが3つ目の言葉を紡ぐ前に潤の静止の声がかかる。
[ちょい待ちーーっ]
[はあ?意味分かんねーよ?何死なないって?無敵じゃん?そんなんなら魔王ガチ余裕っしょ!いいの?そんなんで?]
ウィンは呆れたようにため息をつく。
[まあ、現実世界とはかけ離れた空間とでも言い表せばいいだろう。その異世界では、世間一般の常識や概念は覆えされる。お前が言う様に、不死身の体を手に入れる事が出来る。]
[まあ、簡単に言い表わすとRPGの主人公になったようなものだな。モンスターに殺されても、宿屋で回復出来るようにそういった世界観が、あちらにはある。]
潤は、そこまで聞いてなんとなくだが、理解出来たような気がした。
[じゃああれか?例えばドラクエみたいにLevelupとかの概念とかもあんの?]
[もちろんだ]
ウィンは短く、端的に答える。
[マジかーそれが本当なら俺は、Level1の雑魚勇者からスタートかよー。まさか、自分が現実にゲームの主人公やると思わなかったー]
潤は、喜び半分落胆半分といったような声のトーンで言葉を紡ぐ。
[まあ、その辺は俺のゲーム知識をフル活用する所っしょ]
ウィンは、潤のその言葉を聞いてこう返した。
[まあ、不死身といっても自分自身がその勇者になるのとキャラクターを動かすのでは少し勝手が違うがな。]
潤は、心の中でウィンに対して舌打ちをした。
[まあ、でも何とかやってやるよ。]
潤は、ウィンに対しての多少の怒りともとれるような反発心からこう返した。
[では、そこまで理解してくれた上で先程の3 つ目を話すぞ。]
ウィンは、冷静に話を続けていく。
[お前の他に、後4人程その異世界に飛ばされてくる人間達がいる。]
[そして、その者達も潤と同じ様な境遇の人間だ]
潤は考える。そして合点がいったのか、こう返答する。
[じゃあ、あれか?そいつら4人も死んだやつらって事か?]
[まあ、そういう事になるな。亡くなった原因、経緯等は、全く異なるがな]
潤は、1つの疑問を口にする。
[じゃあ、そいつらも不死身って事だろ?]
[ まあ、そうなるな。]
潤は、また考える。そしてこう切り出した。
[じゃあ、そいつらと魔王討伐した後はどうなるんだ?めでたくハッピーエンドって感じか?]
ウィンは首を振る。
[ そんな都合の良い出来事がある訳無いだろう。]
ウィンはこう続けていく。
[魔王を討伐した後については、お前が異世界に到着してから話すよ。]
潤は、また疑問が浮かぶ。
[ お前も付いてくんの?]
潤は、ウィン自身を嫌っているのを悟られないよう、平常心を保ちながら、告げる。
[違う。お前には付いては行かない。その代わりに私には、多様な能力がある。
一つ目に、異なる次元であっても念じた他者の脳内に入り込み、脳内会話をして意思疎通を図る事が出来る。]
[簡単に言えば、テレパシーみたいなもんだろ?]
ウィンは頷く。
[であるからして、お前について行かずとも、今いるこの真っ白な空間から思念を飛ばして、潤の脳内に侵入し、異世界に到着した後もサポート出来るという訳だ]
潤は、こう返答する。
[でも、あれじゃね?どうやって会話すんの?お前からは一方的に俺の脳内に入り込むのが可能かもしれないけど、俺は不可能じゃん?ただの一般人だよ?俺?何の突出した能力もないよ?]
ウィンは、そこまで聞いた上でこう返答した。
[安心しろ。その点に関しては心配無用だ。私の能力は、他者にも影響を及ぼす。 ]
[簡単に言えば、私が思念を飛ばした相手も同じように脳内で会話する事が可能だ]
[ちなみに一度でも、この能力を私が使い、他者に働きかけた場合、その対象もこの能力を半永久的に使えるようになる。私が死亡しない限りはな。]
[なる程なー!なんとなく理解出来た気がするよーなしないよーな]
潤は、素っ頓狂な声でそう答えた。
[であるからして、他の勇者御一行である仲間4人には、私と潤の会話が気づかれる可能性は皆無に等しい]
[ちょい待ち?何で脳内会話が他の仲間にバレたらまずいんだ?]
ウィンはこう言葉を発する。
[それも、また後で話そう。]
ウィンは、そう言葉を綴った。
[分かったよ。そこはまた後で聞くわ。]
潤は、ウィンの話を素直に受けいれた。
[では、二つ目の能力を説明する。それは、お前のような現実世界で他界し、異なる次元や、異世界に飛ばされてきた人物の趣味、嗜好、価値観等、全てではないがある程度までは把握できる]
潤は、この能力を聞いた時点で先程のウィン自身と対峙した時のあの双眸に心を見透かされていると感じていたあの感覚は気のせいでは無かったのだと実感した。
[なので、潤だけでなく異世界でお前と旅をするであろう勇者御一行の他4人の素性等も、ある程度までは私は把握している。]
[なので、以上の理由から潤自身が他の4人と衝突しないように最大限サポートはするつもりだ]
潤はまたも疑問を口にする。
[何でそんなに俺に優しいんだ?]
[そんな理由なら、別に俺だけじゃなくて他にも居るだろ?サポートするべき奴が]
[何で俺限定なんだ?]
ウィンは、何故か少し戸惑っている。その心の動揺を隠すように、口を開く。
[お、お前が気にする事ではない!]
明らかに、先程までの冷静沈着を保っていたウィン自身とは、打って変わって口調が荒くなっていく。
[まあ、いいや、そこに関しては。また後で聞くから。]
潤自身もそういった女性の[感情]に疎い為、先程までの一連のやり取りが何を示していたか等、知る由もなかった。




