第3話 -ニートの[俺]が轢かれて死ぬってマジ!?
そして、潤の手元に残ったものは、福澤諭吉が5枚と、スマホのみだった。
[ふざけんな!クソ親父!開けろよ!]
先程の楽な状況と一変したのが、ようやく理解できたのか、潤は大声で叫んだ。
その声は、虚しくこだまし、マンション一帯に反響する。
だが、その扉が開く事は、二度とない。
[クソ親父。なにもそこまでしなくてもいいじゃねえかよ]
潤は、まだ父親が心変わりしてくれるかもという希望的観測にしがみついてみるが、現実は虚しく、やはり扉は開かない。
[仕方ねえか。そんなに嫌いなら、一人で生きていきますよーっと]
もはや、潤は開きなおったのか、諦めたのか分からないが、そう言葉を紡ぐ。
[バイトすんのもだりーけど、このまま野宿って訳にもいかねーしなー]
そして、潤の頭の中に、1つの考えが思いつく。
[そうだ!ネカフェ暮らしでよくね?]
そう考えを巡らすが、住む所はあってもお金を稼ぎようがないと踏みとどまる。
[ ネカフェ住みながら、バイト探すしかねーか。]
半ば諦めに近い考えだが、それしか無いと心に決め、歩みだす。
東京の都心の一等地に住んでいる彼は、幼い頃からこの大都会の喧騒に慣れているせいか、地方から上京してくる人間に比べて、これと言って、他人の視線や重圧に飲まれることがない。
というより、鈍感というのに近かった。
それを自分でも自覚しているのか分からないが、歩いているときも気にせずスマホに夢中だ。
そして、それのせいで横断歩道が赤なのも気にせず、そのまま歩き出す。
瞬間、キキーッという自動車のブレーキ音と共に、潤の体は前方数メートル前に吹き飛んだ。
[ 痛っ…]
[の体からは、血が滲みでて足と腕が折れてしまったのか、もう息絶える寸前だった。
薄れゆく意識の中で最後に見えたものは、家族との思い出だった。
[このまま死ぬんだろうな、俺、、]
そう言い残すと、彼は息を引き取った。




