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8回目の訪問

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8回目の訪問とは書いてあるが、訪問はしません。


あれ数日が立ち本日は、現実世界の休日だったので、家でのんびり過ごしていた。

ワンルームの小さな部屋ではあるが、自分のお城ではあった。


いつもの通勤用のカバンを手入れし、カバンの中身の整理をしていた。

金貨は、一応、家の押し入れに半分隠し、異世界で使うように金貨はカバンにも入れて置いた。


一応、カバンは、水牛皮の黒くブラックな光沢のあるもの。

入社してから少し給料を貯めて奮発して買ったいいもののはずだ。

もう既に10年以上も使っているから、相棒と言えるカバンだ。

結構なんでも入り、会社の書類も楽々入る。休日は、良くカバンの手入れをしているからか、かなり綺麗だ。

年季も入り新品とはまた違う妖艶な輝きを放ついいカバンに仕上がっていると思う。

そんなカバンを手入れしていると、この間入手した魔石がまだカバンの底に残っていた。


「時空間魔法を怪しく思われないように、カバン経由で出したから残っていたのか」

そんなことをぼやきながら、魔石を眺めている。


「それにしても、綺麗だな。」

宝石好きのカケルは、見とれている。

魔石の大きさは、直径10cm程度の星型をしている。何も加工していないのに、薄緑色で光に透かすと光の屈折が綺麗に起こりキラキラ光る。

そして、角度なども変えなくても不思議と自然にキラキラ光の揺らぎが起こりなんとも神秘的な石だ。


魔石の中には、不思議な文字のようなものも浮かび上がるが、その影響で透明感が失われるわけでもない、現実世界では存在しないような不思議な石だった。

心なしか手に持っているだけで、力が沸いてくるような感じもするし、揺らぎの光からか心の安息も感じられた。妙に精神が落ち着く感じがした。


「会社で扱っている宝石とは、全然違う輝きだ。ましてや、欠片とも全然違うな」

カケルは独り言をいいながら、魔石をころころ転がしたり、光に透かして見たりと呆然と繰り返しリラックスしていた。


「魔石と言ったら、杖だよな。魔法使いと言ったら杖だよな。杖しかないよな。折角の休日だから杖でも作ってみるか!」

魔石を見ているうちに、何を思ったのか突然杖を作ろうと思ったようだった。


杖と言っても、短い片手で持てるような、タクトのようなものを考えていた。

宝石が好きだったこともあって、昔からゲームなどの杖に興味があり調べていた時もあった。

なので、何となくではあるが、杖の作り方は知っていた。知っているだけで、作ったことは一度もなかった。


早速、近くのホームセンターに行き、木材売り場へ足を運ぶ。

綺麗にカットされた木の板などはたくさん売っていたが、杖になるようなものは、見当たらなかった。

だからか、木材売り場をうろうろ色々見て回っていた。


すると、なんか年季の入った流木が売っているコーナーが目に飛び込んできた。

黒く硬めの木だった。カケルは一目で気に入り購入して帰った。


帰り道でも

「ここをこうして、あーして、ここを削って魔石をハメる場所を作って、穴をあけて・・・」

ぶつぶつ独り言を言いながら、家に帰った。


帰ると早速、流木をナイフで粗削りし、やすりで粗さを無くして、手に持って見たりと色々試行錯誤しながら、一日かけて杖を完成させた。

中学生以来の工作になるだろう。完成品は、決して上手い物でもなく不格好で、でも、何となく趣もあり味もある形に仕上がった。

不格好な杖に似つかない魔石の美しい輝きがアンバランスで、絶妙な不自然さが逆にいい雰囲気を出していた。


「もう暗くなっているのか、自分では満足な仕上がりだ。プロじゃないんだし

この杖は、バックにでも仕込んでおこう。」

カケルはできないなりに自分の満足がいく仕上がりとなって達成感に満ちていた。


「もう夜だし、お腹空いたな。何か買い物でも行くか」

相変わらず、独り者だから独り言を言って一人で買い物に出かける。


近所のスーパーに着くと早速飴のコーナ―に立ち寄る。

今まで配っていた飴はどれも好評だったので、栄養ドリンク味とミルク味の飴を買い物かごに入れた。

そして、ハチミツの飴も気になったので、買い物かごに入れた。

きっとカバンの中を会社の同僚に見られたら何しに会社に来ているんだと怒られそうだ。と思いながら買い物かごに入れる。

もう、飴配りおじさん化している。

飴のついでに夕食のお弁当も買い物かごに入れ、会計をすます。


現実世界では、何事も無くいつもの道で家に帰り、夕食を済ませた。


「今度は、いつ異世界に行けるのかな、少し楽しみだな・・・」

作った杖を眺め、魔石も眺めながら、異世界の事を思い床に就くのだった。

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