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2回目の訪問

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1回目の訪問から、一週間が立ったころまた同じ場所に電車が停車していた。

通勤は、いつも通りのルートで通っている。特に時間も変えてはいない。

毎日迷い込むわけでもなく、何に起因しているのか不明だった。

だが、二回目でもあるし、あまり気にしていなかった。


ばっ!(突然、空中から人?なのか何なのか。ピエロ風の何かが現れる)

「おめでとうございます。異世界へようこそ。あなたは、100万人の中の1人に選ばれたラッキーな方です。」


カケルは、全てをしゃべられる前に大きな声で話を遮り、このピエロに話かける。


「あの~おおーーーい。ピエロさん??もしもーし」

目の前で手を振っては見るもののほとんど気にしていない様子。


ちらっとこちらを見た感じがあったかな程度だった。


「この異世界で1時間、自由にお過ごしください。この間であれば何をしても自由、どこに行っても自由でございます。

ただし!!1時間を過ぎないように気を付けてください。この場所に必ず戻ってきてください。では、お楽しみタイムスタート!!」

ばっ!!


止まったと言えるかわからない程度、一瞬間はあったが、そのまま話し始めていた。

このピエロからは、なんの情報も得られないのだろうとカケルは思った。


手の甲を確認し、時間を確認する。

「まだ、55分あるな。よし、2回目だしこの駅の周辺を探索してみるか」

独りでぼやきながら、電車から降り少し離れることにした。

すると、少し離れた場所に結界のようなものが張られているのか、空間が歪む場所があった。


「この境界線を過ぎるといよいよ本当の異世界なのかもしれない。」

カケルは、少し気取って探偵風に一人でつぶやく。


一応、前回の体験を踏まえ、一応武器になりそうなサバイバルナイフを携帯してきた。

それ以上の武器となると現代社会では購入が難しくなるが、何も持ってこないよりかは、心の支えになると思い購入した物だ。

こんな武器では、あの大きさの魔物には勝てないのはわかってはいる。


空間が歪んだ場所を過ぎると車内からはあまりよくわからなかったが、小さな村のような場所に降り立てた。

村とは表現しているが、本当に建物が数件ある程度で、人影もない。

車内から見た景色が少し具体的になった程度の変更でさほど変わっていない。

荒野のわりに、気温は熱くはなく寒くも無い。風もさほど吹いていない。2回ほど来ているが、どちらも晴天だった。


後ろを見たカケルは

「もしかして、電車がある場所は、この結界があって見えなかったのかも!?」

カケルには、何故かなんとなく位置はわかるが、結界のせいかモヤがかかって見える。異世界人は、もっと見えないのかもしれないと考えたのだ。

車内から見た風景と降り立った風景とは、少しのズレのようなものが感じられたので、魔物にも見つからなかったのだと謎が少し解けた気がした。


少し村を見て歩く。

といっても、建物も数件そんなに離れた場所にあるわけではない。

ふらふら近づくと、泣いている一人の少年がいた。


頭には、長い耳。手足は白い毛で覆われていてふわふわな感じだ。

人間のように2足歩行できそうな感じでしゃがんでいるが、人間ではない。簡素な服を着てその場に泣いてうずくまっていた。

分かりやすくいうなら、兎人間といったところだろう。


カケルは、異世界初の人間らしい生き物と対話が可能なのか気になりつつも、急に襲われる可能性もあり、片手にはナイフを隠し警戒しつつ普通に日本語(それしか話せません)で話しかけた。


「あの?僕??どうして泣いているの?迷子?お父さんは?お母さんは?」


少年は突然話しかけられたことにかなり驚き、飛び上がった。

2mは飛び上がったのだろうか、すぐに地上に降り立った。


「お兄ちゃんは誰?この辺りでは見かけない種族、人族かな?」


驚いてはいたものの襲ってくる気配もなく話してくれた。

カケルもまた、少年の声を聞いて話している内容が理解できるものだとわかり、嬉しかった。


「よかった。言葉が通じた。

初めまして、僕は、カケル。ハザマカケルというんだ。カケルって呼んでくれ。

キミはどうして泣いていたの?」


「僕はぁ、ぼくかな。兎人族っていうんだ。この長い耳がトレードマークなの本気を出せば、数10㌔先の音まで聞こえるんだよ。

僕はぁ、強くなりたいんだ。お父さんとお母さんに冒険者になりたいって話したら、猛反対されちゃって、でてきちゃった。

強くなりたいな。冒険者になりたいな。」


「強くなりたいのか。そういえば、名前は?」


「ナマエ?何それ?美味しいの?あると強くなれる?」

名前を初めて聞いたのか、不思議そうに首をかしげる。


この世界には名前がないのかわからないが、この少年には理解できないようだった。


「名前ないのか。そうなんだ。じゃさ、僕が付けてもいいかな。みんなとちょっと違って強く感じるかもよ」


特別感を理由に名前を付ける提案をしてみた。


「え!付けて付けて。ナマエってやつを付けると強くなれるなら、カケル付けてよ。」


カケルは、少年を呼ぶとき名前があったほうが良いと思い悩んだ。


「君は、そうだな。白い兎さんみたいだから、白兎・・・そのままか、雪みたいに白いから雪兎でユキトっていうのは、どうかな?」


名前を決めて、ユキトに教えた途端、ユキトの体は光を放ち何か変化があったように思えたが本人にはなにも気にしていなかった。

それよりも名前を付けられたことに大変喜んでいた。


「わーい。ぼくはぁ、ユキトっていうんだね。今度からそう言うね。」


「後は、強くなる方法か・・・

ユキトくん、おにいちゃんね、この間大きい青い魔物を見たんだけど、そんなやつを倒したいのかな?

あんなやつとは、戦わないほうがいいよ。おにいちゃんが出会ったら即逃げたいよ。」


「あ~トロールかな。あいつは、僕より強いけど、普通の冒険者は倒せるよ。

昔、僕もあのトロールに襲われることがあったんだけどね。

必死に逃げたけど、しつこく追いかけてきて死ぬところだったんだ。

だけど、近くにいた冒険者が助けてくれたんだ。あの時の冒険者がとってもかっこよく、そして強かった。

だから、僕も冒険者になりたいって思ったんだ。弱い人を助けてあげたいって」


ユキトは、昔を思い出し目を輝かせながら語っていた。



「あの生き物は、トロールというのか。ファンタジーの世界そのものだな。

あんな魔物を倒せる者がいるのか、この世界は!そのうちドラゴンにもお目にかかるかもしれない。」


カケルは、独り言のようにぼやき、とても驚きと同時にもっと強い魔物や人もいることがわかり、恐怖も感じだ。


その後も、カケルとユキとは強さについて語り合い、この世界の事が少し学べた気がした。

そして、この世界はやはり魔法が存在し、ユキトは魔法適正があまりない事も教えてくれた。


色々話しているうちに、手の甲をちらっと見ると残り時間あと5分となっていた。


「ユキトくん。そろそろお兄ちゃんは帰らないとダメなんだ。また会ったら話そうね。」


「うん。でも、この町は遠くてあまりこないからどうだろう。

でもでも、少し話してやる気も出てきたから強くなる努力をして、またここに来るね。

筋力を上げるには、腕立てだっけ?毎日やってみるね。」


ユキトは、カケルと話して強くなる方法を少し学び、やる気も出たようだった。

帰る時には、笑顔になっていた。


「そうだ、ユキトくん。今日は色々ありがとう。おにいちゃんも勉強になったよ。お礼にこれをあげる。」

カケルは、持っていたバックに手を入れてなにやらゴソゴソ探して、栄養ドリンク味の飴玉を一つユキトにあげた。


「これ??な~に?」

ユキトは見たことも無い丸物体を不思議そうにじっと見つめる。


「これは、飴っていうんだ。食べ物だよ。とっても甘いよ。」

「甘いものって、とーっても高いんじゃないの?ほとんど食べたことないや。でも、ありがとう。

おうちに帰ったら食べるね。こおから、3時間は走らないといけないから、ぼくも帰るよ。」


ユキトと別れ、カケルも目の前のえきに向かい電車に乗る。

「これから、仕事か・・・なんか疲れたな」


ユキトの事を思い出しながら、栄養ドリンク味の飴を頬張り会社に出社するのであった。

更新はランダムになります。目標は10話で完結予定。

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