初仕事の祝勝会
カーマッセル討伐に乱入してきた二匹のジャンキ・ルトバーを撃破して半日後、クラミオとレオラは拠点へ帰還してツジツへ報告していた。
「成程……本来、東の密林に生息している筈のジャンキ・ルトバーが現れた、と。それも二匹も……」
その報告を聞いた後、ツジツは少しの間険しい表情で考え込んでいたが、すぐにニカッと笑って二人に言葉をかける。
「ウムッ! レオラ、そしてクラミオ殿、よくぞ無事で帰って来てくれた。まずは二人共、ゆっくり休んで英気を養ってほしい」
「はいっ」
「んっ」
クラミオ、レオラと別れた後、ツジツはガランデアに生息するモンスターの生態を解析する【生態研究所】へ向かいながら独り考え事をしていた。
(本来、ジャンキ・ルトバーが生息している東の密林には、"ダチョコウ車"を使っても拠点から一日と半日かかる距離である筈……)
【ダチョコウ車】とは、全長2mの温厚な鳥型モンスター【ダチョコウ】に人間や荷物を乗せた客車を引かせる、所謂"馬車"の様なモノである。
「むっ、考え事をしていたらあっという間だったな」
そうこうしている内に、生態研究所に到着したツジツはそのまま研究所所長の元へ、今回の異変を話すべく足を運んだ。
「んむっ……んむっ……」
解散した後にクラミオが訪れたのは、やはりというべきか食事処だった。肉厚ステーキ一枚を丸ごと一口で食べる等の豪快な食べ方で、既に十数枚の皿が重ねられている。
「本当によく食べますね……」
「んむっ……んむっ……んっ」
「隣に座っても?」
「んっ、いーよ」
そこへレオラも訪れ、クラミオと同じ席について注文をとる。
「んむっ……んむっ……」
「……あの、クラミオさん」
「んぐっ……ん? なに?」
「お疲れ様でした、大変な初仕事でしたね」
「んっ、そーだね……んぁーっ」
「あの時はすみませんでした。二匹目に動揺するあまり、攻撃への反応が遅れてしまい……」
「んっ、いーよ気にしなくて。それよりご飯食べよ」
「……そうですね、あまり気にし過ぎてもアレですものね」
「ご注文のワインニャー! お待たせニャー!」
そんな話をしている内に、レオラが注文したモノが出された。
「クラミオさん、乾杯しませんか?」
「んっ、水でいーなら」
「では、乾杯」
「カンパーイ」
二人はグラスとジョッキを合わせて乾杯する。
「また明日からよろしくお願い致します、クラミオさん」
「んっ、よろしくね、レオラさん」
「げふぅっ……」
「だからなんでそんなに肥るんですかっ!?」