オープニング
「齢20、まだまだこれからと言えばそうなのだが、自分の限界はとっくに知っているくらいの年齢。君はあれだよ、絶望と解説策を的確に判断して、さえたやり方を選んだのだから...そんな君には神様として、救いを与えなければいけない、そう思うんだ。
とは言っても大したことはできないんだけどね。おっと、そろそろお別れだ、最低限はこっちで処理しておくから、じゃあ、また」
_____________________________________________________________________________________________________
そして起きたら、洞窟の中、目の前には銀世界どうしたことか、これはおかしい、無茶苦茶寒いと嘆いてみたら急な頭痛に襲われる。
それと同時に魔法やらなんやらわけのわからん情報が頭に流れてきた。
物は試しとやってやるぜと反転魔法というのを使ってみたら、なんて不思議なことでしょう、あんなに寒かった洞窟がサハラ砂漠に早変わり。
サハラ砂漠には行ったことがないんだけれど。
景色は洞窟のままである
しかし暑い
ふと、見ると目の前には雪。
「いや、目の前に雪があるじゃん、飛び込めばいいじゃん、俺って天才かもしれない」
ひゃっはー、と飛び込む
アッツ、熱い、熱い
慌てて抜け出す
「ああ、何てことだ、雪が熱い、俺なんかやったかなあ」
はい、やりました、自分の胸に聞くまでもなく反転魔法なるものを使ったせいですね。
全くなんてことをしてくれたんだ。
解除は出来ないのかね、出来ないのな
魔法の知識が頭に入っている、反転魔法は一週間解除できないらしい
しかし暑いな、と服を脱ぐ。
さらに暑くなった
なんでや
「とりあえず、周辺の確認だな…俺は、一体どうしてここにいるのか、魔法、知識…俺が死んだこと」
多分、さっきの高いテンションはショックを緩和するものなのだろう。
誰がやったんだろうねー
周りを見る、スーツケース、これは自分のものだ、服やら薬やらが入っているいたって普通の旅行カバンとも言える。
鞄、これは…知らない人のだ
箱、段ボール箱だ、空けると乾パンや栄養剤が入っていた、食料だろうな
椅子、玉座とも言えるだろうか
杖、上に丸い玉?が付いている
雪、白い…触ると熱い
反転魔法のせいだろう
そもそも反転魔法とはなんぞや
いや、もうすでに脳が混乱している
一旦考えるのはやめよう
こんなところに来たのだから食料、水は必要だ、救助が来るまでは…いや、来るのか?
衣食住は大丈夫だ
昔、サバイバル好きの親が言っていたこと、火、水、食料、空気、あとはナイフ
これさえあれば人は生きてられると言っていた
火、スーツケースの中にライターとマッチがある筈だ
水、雪がある、雪が俺には熱いと感じるけれど世の理が変わったわけではないから水として使えるだろう
食料、食料in段ボール箱があったので大丈夫だろう
空気、これは大丈夫だ…多分
洞窟の中から怪しげなガスが出て来てはいないと思う
ナイフ、そんなものは存在しな…い?
いや、ちょっと待てよ
知らない人の鞄、の中に入ってる筈
入ってた、血が付いている
これって誰の血だと思う?
まあこれで、1ヶ月程度なら簡単に生きられるだろう
火については、少ない気がするがな
メタルマッチなどというものは持っていない
さて、スーツケースを開ける、防寒着を着る。
おお、少し涼しくなった
良きことなり
雪を直接触ったところが痛い、多分、火傷だろう
雪をライターで熱する、溶けた
うん、俺が熱いと感じ、実際火傷もするが、物理法則が変わるわけではないということだな
それに変わっていないものも多い、重力は-1Gになっていないし、暗いものは暗いまま
黒は白になっていないし、薬を飲んでも毒にはならない
変わっては辛いもので変わったものは温度だけとも言える、確認できる範囲では…
例えば左右が、反転したとしても自分では確認できないからな、あとは、髪が白く、長くなった
これについては実害がないので保留
他には強いて言えば、服が大きいような気がする、なんでだろ
いや、手が小さいような気がする
んー?
「そもそも声がおかしい」
知り合いに異空間と称されたスーツケースの中から、鏡を取り出す
見る
「誰だお前⁉︎」
なんだか少女が写っていたけど…
それも美がつくタイプ。
目を擦る、誰だお前
「ナイフを突きつけられても動じなかった俺だが、叫んでもしようがないと思う、なんだかドラゴンとかそんな知識が頭に入って来てるから、叫んではいけないなと思ってるけど、こればっかりは仕方がない、今までのパニック分を全部吐き出しても良いと思う、俺にはその権利がある」
息を吸う
「ふざけんなあああああ!」
洞窟で木霊して、雪で反射して、音が飛び交い、俺はただただ混乱し続けた
ここまで見てくださった方、ありがとうございます。
次回からが本編となります。
よろしければお付き合いください。