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異界仙遊記  作者: 玖雅月
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譚之弐:仙人火竜に挑む1

「火山?ですか?」


 冒険者ギルド受付嬢マリアの問い返しにムガイが頷き返す。


「そうなんじゃよ。久々に鍛冶をしようと思うたら三昧真火(サンマイシンカ)をうっかりきらしておってな。」


「その…サンマイシンカ?というのはそんなに特別なんですか?」


「炎の芯みたいなものじゃのう悪用すれば大抵のものは灰になる」


「それ大丈夫なんです?」


「自在に操れるとなれば、かの牛魔王(ギュウマオウ)が寵児、紅孩児(コウガイジ)くらいかのう?」


「魔王?!地獄の火とかそういうのですか?」


「違うのう煉獄火は陰気が混じるから使いにくいんじゃよ。」


「はぁ?まあ火山ですと西に一ヶ月程馬で行ったフェイの町の傍に在りますけど…行くんですか?」


「なんぞ歯切れが悪いの?」


「山頂にですね…ドラゴン(・・・・)が出るんですよ」


()じゃと?」


「ええ、山頂周辺が火竜(レッドドラゴン)のねぐらになってるんです」


「ふむ、赤龍(セキリュウ)か…まあ、南海赤龍王 敖欽(ごうきん)殿くらい骨があると戦い(やり)甲斐があるんじゃが…」


「えええええ!戦う気なんですか!」


「こそこそするのは性に合わんでのう。そも龍は力関係に従順なものじゃ上下関係は叩き込むもんじゃろ?」


「ソロで倒しちゃったらそれこそ英雄物ですよ。フェイの町からは常時討伐依頼は出てますけどこの百年未達成なんですよ?」


そんなやり取りの後ドラゴン討伐依頼を請け負ったムガイは街の外で懐から羅盤を取り出し方角を確認する。


「ふむ、こっちかの?」

 

 懐から乗騎である藍い羽根を取り出すと投げ上げる、見る間にサーフボードぐらいの大きさになった羽根に飛び乗ると上空の風を捉え飛び立つのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 さて馬車で一月とはいえ馬を使い潰す訳でもなく昼夜駆けさせるでも無い。


 当然、整備された直線道路を征く訳でも無く要所要所、村々を周り当然深い森等の難所はできる限り回避する旅路での一ヶ月の旅程、


 延べ1500キロ程にもなる旅程は空路を直線で進むムガイからすれば大した距離ではない。


 半日程の飛行で眼前に噴煙を上げる大山を認めると麓のフェイの町に立ち寄ることもせず、火口へと降りていくのであった。

 

三昧真火サンマイシンカ:五行術の火行における真髄である火で凡水(通常の水)で消すことは出来ず、却って勢いを増す性質を持っている。


牛魔王ギュウマオウ:西遊記に登場するラスボス的魔王。かつて孫悟空と義兄弟の約束を交わし天界の軍隊と一戦交えた、平天大聖と自称しており術とか関係なく素で強い。


紅孩児コウガイジ:紅孩児は、西遊記に登場する牛魔王実子である。(母親は諸説あるため割愛する)作中では聖嬰大王とも名乗っていた。西遊記では後に観世音菩薩に嵌められて(偽装した刃物の台に座って罠カード発動されたうえで、孫悟空が頭に嵌められて苦しんだ金箍という金輪を頭、両手、両足に嵌められ強制的に)観世音菩薩の弟子となり、善財童子となったとされる。(観世音菩薩容赦なさすぎである)


・南海赤龍王 敖欽(なんかいせきりゅうおう ごうきん):四海竜王の一人。竜王は、雨を降らせたり、海を管理したり、世の中の水に関係するものを引き受けている。川や湖などにも存在している。それらの元締となっているのは、四つの海を支配している四海竜王、「東海竜王」「南海竜王」「西海竜王」「北海竜王」である。中国の昔の人々は、大陸を四つの海が囲んでいると考えており五行思想においては、赤は南を象徴する為、赤龍を朱雀と同様、『南方の海を守護する神聖な龍』としている説がある。因みに水を司る龍王であるが普通に火を吐く。今回、言語翻訳術の違訳により火を吐くドラゴン(火竜)が赤龍と翻訳されています。

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