譚之壱:その男仙人につき8
「ふむ?この水晶玉に手をのせればよいのかの?」
「はい!そうすることで魔力量を量ることができるんです。ムガイさんは変わった魔術を使われるようなので魔力はそれなりにあると思いますよ?水晶が何色に光るかで量が量れるんです。因みに弱いほうから赤、オレンジ、黄、緑、青、紫、白、黒です」
なるほどとムガイが水晶玉に手をのせるが水晶は光もしない。
「え?あれ?おかしいですね?戦士の方でも最低赤表示は出るはずですし…壊れてる?」
小首をかしげ受付嬢が自分の手をのせると水晶はオレンジにほんのり光る。
「ほうほう、練気の流れに近いものを感じたのう。少しやり方を変えてみるとするか」
ムガイは再び水晶玉に手をのせると気を練り始める。すると水晶玉は赤く光り始めると赤から黒まで廻るましく光り輝き…。
「あっ…」
「…すまんの」
水晶玉にはヒビが入っていた。
「内気を練るのでなく外気を取り込んだらどうなるかと思ってやってみたんじゃが…なんか、すまんの…」
ムガイの行った行為はこの世界で言えば大気中に漂っているマナを次々に取り込んでいる状態に近い。つまりは世界中の魔力全てを一個の判定具などで測れるはずはなかったのであった。
「次は壊さないでくださいよ?コレ、高いんですから」
三度手をのせ内気を練ると水晶は黒く輝く。
「凄い!黒なんて国内でも宮廷魔術師長様ぐらいですよ!」
(ふむ、これ以上練ると多分また割れる…じゃろなぁ)
「ふむ、ついでにハクも量って貰うかの」
「え?ハクちゃんもですか?」
「うむ、そのうち人化も出来るじゃろうしそうすれば冒険者登録も出来るじゃろ?」
「ええ、まぁ…」
「というわけじゃ、ハク。練りすぎるなよ多分割れる」
「だから!壊しちゃダメですってば!」
ちなみにハクはおっかなびっくり量ったところ白く輝くのだった。