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夕焼け空の日

ポケーッ、と、しながら家に帰る。

高校はみんなバラバラだから、俺は1人で帰るんだ。

まことは俺の帰る道の途中にある高校へ。

彼女の華奈(かな)は私立高校だ。




そういえば、華奈に告白したのも、こんな日だった。



中学2年の秋。

体育祭、合唱コンクールが終わって何の変哲も無い日常が帰ってきた頃。

些細な出来事に一喜一憂してた頃。

そして、同じクラスの華奈が気になってた頃。


体育祭での一生懸命な姿。合唱練習に真剣に取り組む姿。

周りの誰かを気遣う姿。

どんな姿も可愛いと思っていた。




何の変哲も無い金曜日。

部活が休みで、委員会もない。

家に帰っても弟の鋼牙こうがが友達を連れてきているだろうから、ゆっくり休むこともできない。

だから教室でウダウダしてた。

その内、先生が来て、

砂槍さやり、すまないが他のところに移ってくれないか。今から進路相談で使うんだ」と言われて、俺は屋上へ向かった。


キィ、という錆びた音を立て、俺はドアを開けた。

冬に近づいていることもあって、吹きすさぶ風が冷たかった。

でも、寒さを忘れさせるくらい美しい風景がそこにはあった。

近くの住宅街がオレンジに染まる。影とのコントラスト。

赤に色づいた木々がよりいっそう美しくみえた。

そして周りの風景を美しく見せていた、輝く夕暮れの太陽。

持っていたカバンを置くのも忘れてそれを見ていた俺の背中に声がかかる。

「あれ?砂槍君、どうしたの?」

……水上みなかみ 華奈かな

俺の好きな子。

「あ、もしかして、ここの風景好き?」

「……いや、今日初めて見た。

いつもは部活とか委員会で忙しくてここにはこないからな」

「そっかぁ」


いそいそと彼女は給水塔がある場所に上って、俺に言った。

「砂槍君もおいでよ。ここのほうがよく見えるんだよ」

俺を見下ろして笑う。その笑顔にドキッとした。


俺も上って彼女の隣に座る。

…………会話が無い。

「ね、砂槍君。好きな人、いるの?」

いきなり話しかけられる。

「あ、あぁ。いる」

「……そうなんだ、頑張ってね」

水上は悲しそうな顔をしてうつむいた。

「なあ水上。俺、お前が好きだ」

思わず言ってしまった。我慢ができなかった。

あんな顔を見てしまったら耐えられない。

「えっ嘘でしょ?砂槍君が好きなの、私じゃないでしょ?」

驚いた、という顔で俺を見る。……可愛い。

「嘘なんかじゃない。嘘でこんなこと言うか?言わないだろ?」

水上の目を見ていった。

「俺は、水上、いや。華奈。俺はお前が好きだ」


次の瞬間。

華奈は俺の手に触れていた。

「……私でいいなら」











あの時と同じような夕焼けを見ると、いつでも思い出す。

少し恥ずかしいけど、幸せな夕焼けを。

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