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初チーム戦と突撃

苦手な戦闘描写です。

 第一回戦が問題なく終わり、とうとう私たちの班の試合がきた。バスケットの試合のように左右に分かれ、教師の二人がその間に立つ。


「それでは、予選第二試合目を始める。再度ルールの確認をするぞ。時間制限なしのチーム戦だ。敵チームの全員を戦闘不能か、もしくはギブアップさせれば勝ちとする。戦闘領域はBコートだけだぞ。Bコートの担当保健医は、第二保健室の鏡原(かがみはら)麻彩(まあや)保健医だ」


「は~い。よろしくね~」


 輝く緑色のセミロングの髪をなびかせ、身長140センチ代の女性(?)がウィンクしながら手をヒラヒラと振る。ちっさ!


 鏡原。言わずと知れた十二家の一角で、今では治療系の魔法に特化している家系だ。その治療魔法には右に出る者は居らず、一部では鏡原の秘術とも噂されている。


「武器は持ち込みありだが、殺傷能力の高いものは禁止とする。各班、持ち込んでいる武器を提示してくれ」


 それぞれが武器を自分の前に突き出した。私のは魔力でコーティングされている木刀とエアガンだ。木刀は耐久力がそこらの金属より上で、エアガンは弾の代わりに超圧縮された風の弾丸が出る仕組みだ。昨日、慌てて紅色さんの所に駆け込んで作ってもらった。


 桜は黄金に輝く手甲と脛当てで、双子はスタンダードなロッドだ。真鍋さんは……何の行動もせずに、暇そうに少し斜め上を眺めている。


「真鍋は、今回も武器はなしか」


「はい」


 淡々と返事をする彼女に少し期限を害したのか、教師が僅かに顔をしかめた。エリート教師が多いこの学園では、変なプライドを持っている教師が少なくない。この教師もそういう類のものだろう。


「真鍋さんって、いつも武器持ってないの?」


「まぁ……そうだな。少なくとも、オレは見たことがない」


 桜は少し考えるように首を傾げると、私の問いに答えてくれた。何か今日は桜に聞いてばっかりの気がする。ちょっと、私のプライドが――――――


「……かなりムカつくことを考えてんじゃねぇよな?」


「かんがえてませーん」


 武器というのは、私はともかく普通の魔法使いにとって重要なものとなる。構造は解らないが、一般的に魔力の効率や威力が良くなるという。それに武器を持っていることで魔法構成スピードが上がり、魔法が出しやすいとか。一流の魔法使いならともかく、生徒たちにとっては必要なアイテムとも言える。


「では、互いに開始位置まで下がってくれ」


 詠唱を唱えるための余裕を出すためだろう。開始位置は相手とかなりの距離がある。目測で80メートル前後だろうか。


「おっしゃ!腕が鳴るぜ!!」


「ふあっ……ねむい」


「ロッドの持ち方は……あ、あれ?こうじゃなかったっけ?」


「火の魔法は火力重視じゃなくて……あ、あれ?じゃぁ、何を重視すれば」


 無茶苦茶に不安な言葉を言いながら、私たちは開始位置に到着した。対面を見ると、相手も調度開始位置についたようだ。


 私は不安から眼帯をそっと撫でる。前に眼帯で私のことがバレたので、今はピンク色の眼帯を付けていた。


「それでは、今から試合を開始する」


 私たちを確認した教師が手を振り上げた。そして、試合が開始される。


「始め!」


「一番槍は貰ったぁぁぁーーーーー!!」


 教師の声と共に、桜は相手に向かって走り出した。身体強化をしているのか、そのスピードは目を見張るものがある。しかし、身体強化と言っても、所詮は常識の範囲内でしかない。漫画やアニメみたいに一瞬で距離が詰められるわけがないのだ。このままでは、桜が集中攻撃を受けてしまう。


「あの、馬鹿」


 無謀に突撃して行った桜を追うため、私も走り出す。


「我、体は何より強く、何より早く、何より見える」


 桜は無詠唱だったみたいだが、私はそんな器用な真似は出来ない。少し詠唱は早口だったが、問題なく魔法は発動した。しかし、桜との距離は随分ひらいた。他の三人に援護を頼みたいが、ちらりと後ろを見るとその考えはなくなる。真鍋さんは相変わらず気だるそうゆっくりと歩いており、双子に至っては挙動不審に動いているだけだ。


 そうこうしている内に、相手の詠唱が終わったのだろう。バスケットボール大の火の玉が二つ、鋭い水の弾丸が無数に桜に襲い掛かった。


「ははっ!そうそう、やっぱ戦闘はこうでなくちゃなぁぁぁぁ!!」


 心のそこから愉快そうに笑った桜は、敵の攻撃を最小限の動きで避け、時には殴って蹴ったりして相殺していく。しかし、それを待っている相手ではない。桜が全ての攻撃を耐え抜いたとき、左右から敵が襲いかかってきた。とっさにその二人に向かって発砲する。見事に直撃したが、相手は少し吹き飛んだだけで対したダメージはないようだ。


 相手が距離をとった所で、桜と合流する。


「おう!遅かったな」


「いやいや、勝手に突っ込んで行かないでよ!こうなる事は予想できる範囲でしょ!?」


「戦闘がそこにあるんだぞ。早く戦いたいじゃないか」


「こ、このバトルジャンキーがっ」


 ちなみにこんな会話をしている中でも、相手の三人は詠唱いていて、残りの二人は前衛なのかじりじりと距離を詰めてくる。私たち二人に一斉攻撃をするつもりなのか。まぁ、こちらの三人はまるで役に立たない。一人はまだ半分も歩いていないし、残り二人は相変わらずパニックを起こしている。


 ぷつん。


 自分がブチ切れた音がした。

感想・誤字の指摘など待っています。


色々未熟な点がありますが、読んでくださってありがとうございます。

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