リアルツンデレとリアルシスコン
お久しぶりです。
私生活が忙しくて更新できませんでした。本当にすみません。
二人を部屋に招き入れた私は、座布団を出してその上に座らせた。
昨日の夜作って置いた麦茶があったので、コップを二つ出して中に注ぐ。来客用のお茶菓子も買い置きしているので、それと一緒にコップをテーブルに置いた。
「あ、ありがとうございます」
「……ふん」
男の子は申し訳なさそうに頭を下げ、女の子は拗ねた様に顔ごと横に視線を逸らした。ツンデレですね、わかります。
私の専用座布団(税込み1980円)を引っ張って来て、私も座布団に座った。
「じゃ、最初は定番に自己紹介しようか。私は黒沼奏」
「べ、紅色蒼助です」
「……紅色朱音」
「紅色、ね」
薄々分かっていたことだったが、やっぱり紅色さんの子供だった。二人の言動から予想は出来ていたし、どちらも何処となく両親の面影がある。
私は出来るだけ二人の緊張を解くために、少し微笑みながら話を進めることにした。
「それで、何をしに私の部屋に来たの?」
「そ、それは……」
蒼助くんがどもりながら朱音ちゃんを見る。まるで子犬が主人に叱られている様なつぶらな瞳だ。そのような視線を向けられた朱音ちゃんは、不機嫌な態度を変えずに閉じた口を開いた。
「アタシたちは護衛の仕事をしているんだけど、春休みの時にお父さんから以来を斡旋してもらったの。アタシたちの仕事だと思っていたのに、昨日お父さんからアンタの指示を聞くように言われたわ。だから、アンタがどんな奴か見に来たのよ」
ふん、と朱音ちゃんがツンとする。そんな彼女を視界に収めた私は-―――――
「うーん、可愛い!!」
テーブルを飛び越し、朱音ちゃんの華奢な体を抱きしめていた。
「ぎゃあああああああああああああっ!?な、なにしてんのよアンタはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
私の体重は朱音ちゃんには支えきれないと思うから、左手でその細い腰を抱き、右手は床につけて体重を預ける。
「これがリアルツンデレね。漫画しかない属性って思っていたけど、まさか本当に存在しているなんて」
「何言ってんのっ!?ア・タ・シはツンデレなんかじゃない!デレてないじゃない!」
「私じゃなくても、他の人にはデレているんでしょ?」
「だ・れ・に・もデレてない!離れろぉぉぉぉ!!」
本気で朱音ちゃんが嫌がって暴れだしたので、私はゆっくりと解放してやった。朱音ちゃんはさっと私から距離を取って、ビシッとこちらに向けて指を向ける。
「ア、アタシはアンタなんか認めないんだからね!」
そう言い捨てた彼女は、脱兎の如く部屋を出て行った。玄関からゴシャ!!と聞こえたが、ドアの安否は大丈夫だろうか。
「ちょ、お姉ちゃん!」
慌てて蒼助くんが部屋を出て行こうとする。と、こちらを振り返った。その顔は満面の笑みを浮かべ、しかし目が笑っていない。
「お姉ちゃんに手を出したら、許しませんから」
そして、彼も部屋を退出していく。可愛い顔して怖いことを言う。ただからかっただけのに、どうやら本気にしてしまったみたいだ。二人とも。
ちなみに、あんなことをしたのは理由がある。朱音ちゃんが私から離れる時の動作は一級レベルだったし、その姉が部屋を出て行った時の蒼助くんの行動は速かった。精神的には二人とも未熟だったが、戦力としては十分だろう。これで中等部の心配はなくなった。
大学部と小等部も問題ない。大学部は言わずもがな、優秀で専門的な講師が多く、生徒たちの力もほぼ成熟している。相手もそう簡単には手は出せない。小等部は先生が半端なく強い。これはまだ魔法の力を理解していない生徒を守るためだ。小さい時は魔法の制御が出来ない子や、その殺傷力を解っていない子供が多い。なので、倫理的にも実力的にも問題ない先生が多く勤務している。
で、問題は
「やっぱり高等部か~」
意図せずに声が漏れた。
はっきり言って、高等部の護衛は手が足りていない。あらゆる場所に監視カメラや盗聴器を仕掛け、怪しい人物と護衛対象には発信機をつけ、紅色さんのサポートを受けている。しかし、全てを一人でカバーすることは不可能だ。もし、敵が複数の護衛対象を同時に襲撃したら、それでThe End。私の体は一つだ。唯一の救いは、護衛人数を敵は把握していないことだろうか。先日の殺し屋から考えて間違いはないはず。でも、それもいつまで続くか分からない。
どうしたものかと頭をかく。入学する前から考えてはいたが、未だに良い案は浮かばない。一番簡単な対策は人海戦術なのだが、裏の仕事をしている者たちは姑息だ。信用出来るかはずがない。知り合いなら信頼出来るのだが、私の知り合いは裏の世界では有名だ。ほとんどの人たちが国際指名手配になっている。そんな人物が学園にいたら、もはや護衛どころではなくなる。
思考を打ち切り、私はおもむろに立ち上がった。
とりあえず、今は『食堂で何を食べるか』を主に考えることにしよう。
バレンタインですよ。うははははははは!
チョコなんて小学生の時しか貰ったことないです。
義理でもいいんで誰かください。(泣)
感想・誤字の指摘など待っています。
久しぶりの更新なのに、読んで下さってありがとうございます。