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紅色さんと奥さん

明けまして、おめでとうございます。


今年もよろしくお願いします。


お正月から投稿です。

「紅色さーーーーーーんっ!!」


 今日、全ての授業が終了した私は、校長室のドアをノックもせずに開けた。勢い良くドアを開けたにも関わらず、紅色さんは特に反応もしないで書類に目を通している。絵になるな~。


 紅色さんは以前していなかった眼鏡をかけており、ますます中身と外見のギャップが激しい気がした。


「そんなに急いでどうしたの?廊下を走る音が聞こえてたわよ」


 微笑みながら私を上目遣いで見てくる。カッコイイ~……じゃなくて。


 私は緩みそうになった顔を引き締め、ペラリと書類を捲っている紅色さんに詰め寄る。


「なんですか皇祭って!?私、何も聞いてないんですけど!って言うか、色々調べていたのにそういう情報がなかったんですけど!!」


「当たり前よ。私と格が意図的に隠していたから」


 切羽詰っている私に、さらりと言ってのける男の娘。ん、使い方が違うかも。


 まぁ、この二人が情報を操作していることは予想通りだった。が、


「どうしてこんなことをしてんですか?護衛は情報が命なんですよ!」


「面白いから」


「……一言かっ!!」


 思わず紅色さんのディスクを叩いてしまったが、目の前の女性はニヤニヤと笑っている。


「結構大変だったのよ?資料の改竄とか、ネットのアクセスとかね。いつバレないか冷や冷やしたわ」


「い、いやいや!護衛とかどうするんですか!?問題があるでしょう!!三十人も守らないといけないのに、皇祭にも出るとか無理ですよ!!」


「大丈夫大丈夫。中学校には私の娘と息子がいるから」


「……は?」


 またしても驚愕の新事実。私、この一日で何回驚いているんだろう。


 私の呆然としている表情が面白いのか、紅色さんはこちらを指差してゲラゲラ笑っている。いっらー☆。


「あははははははっ!な、なにそのかお……ちょっ、こっち向かないでっ!ぶっ!や、やばい。腹痛いっ」


「……殴って良いっスか?」


「ご、ごめんごめん……ちょっと待って。ぷぷっ」


 青筋浮かべながら拳を握り締める私を見て、爆笑していた校長は呼吸を整えるために深呼吸をする。


「すー、はー。すー、はー。すー、はー……オッケー。くっ、で何?」


「オッケーっぽくないんですが……子供いたんですか?」


「いるよー。十四歳の娘と十二歳の息子が。」


 えぇー、その容姿で子持ちですか。しかも二児の。


「でも、まだ子供ですよね?護衛ができるんですか?」


 そう、十二と十四の年齢は精神的にも不安定で未熟だ。私みたいな境遇ならともかく、才能があってもこの仕事はきつい。


 私の不安そうな言葉に、紅色さんは外国人みたいに大袈裟に肩をすくめた。


「私の奥さんの教育方針なの。小さい頃から色んな経験させろってさ。裏の仕事も何回かやっているから、大丈夫と思うわよ」


「裏の仕事、ですか……」


 小さい頃から社会の裏側を見ていると言うことか。確かに人生価値観は大きく変わるだろうが、それはすでに教育とは言えない。


「裏と言っても、比較的簡単な仕事よ。要人の護衛だったり、麻薬の運送だったりね。まぁ、それでも戦闘は避けられなかったけど」


 私の苦い表情を視界に入れた紅色さんは、フォローをするように言葉を紡いだが、言っている本人も少し悲しげに笑う。それは、きっと当たり前の反応だろう。自分の子供を愛しているならば、あんな世界に進んで放りこもうとはしないだろう。


「紅色さんの奥さんって、一体どういう人なんですか?」


 少なくとも、普通の人ではないだろう。人生的にも精神的にも。しかし、その話題を振った瞬間、紅色さんの顔色が変わった。


「聞く?聞く?聞いちゃう?しょうがないなぁ~、言っちゃおう。綺麗で、強くて、優しくて、もう~完っ璧なの!家事は何でも出来ちゃうし、敵は何でも倒しちゃうし、最高って感じ!それに隠密行動にも得意でね。まだ付き合う前のことなんだけど――――――」


「は、はい」


 瞳をキラキラさせながら喋り出す紅色さん。その姿は、まるで恋する乙女のようだ。中身は男何だけど。


 っと言うか、前半は良いとして後半は奥さんとしてどうなんだろう。特に隠密行動。


「それでね、二百人いるテロ組織を次々殺していって、それで笑ってるの!!もう興奮した~!!!!」


「へ、へぇ~。すごいんですね……」


「ち・な・み・に♪奏ちゃんも知っている人よ」


「……」


 そんなちょっと可愛い女の子みたいに話しかけられても、全然キュンとしない。だって男だもん。


「もう解んないの?んもう~。だったら、教えてあげる☆」


 私は何も答えてないのに、目の前女男はさっさと語り出す。


「わ・た・しの奥さんは~……“レム”っていうの」


 …………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………へ?


「えぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


 私の今日一番の叫び声が、夕日が射す校長室に響き渡った。

今年の抱負は『もっと文章力をつける』ですね。

自分で読み返して、かなり落ち込みます。


こんな未熟なモノを読んで頂き、本当にありがとうございます。

よろしかったら、これかも読んで頂いたらとても嬉しいです。


感想・誤字などの指摘を待っています。

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