転校生と恋? ~月上緋乃夜~
今回は一段と短いです。
すいません(汗)!!
――――――――side 月上緋乃夜
「止まってください!!」
いつもと変わらないと思っていたその日、私は綺麗な少女と出会った。そんなに良い出会いとは言えなかったけど。
無造作に首の後ろで束ねられた黒髪は、それでも光沢の輝きを放ち、眼帯と意思の強そうな瞳は、何とも言えない魅力を感じた。
少女は必死に「いやいや、転校生だから!!」と叫んでいたが、数十年に1人ぐらいしか転校生はいないので、私が信じられなかったのも無理はないと思う。
少女を侵入者と勘違いした私に対して、彼女は苦笑しながら手をひらひらさせながら言った。
「あ~……大丈夫だから、あんまり気にしないで」
その絵になる姿に、一瞬目を奪われた。
――――――カッコいい……。
自然とそう思っていた。はっきり言って、私が見てきたどの男性よりも魅力的に見えたのだ。
勘違いをしてしまったお詫びに高校区間を案内し、女子寮の少女に宛がわれた部屋の前まで来る。
318号室。うん、覚えた。
「あっ、そういえば名前を聞いてなかったね」
「は、はい。えっと、月上緋乃夜です」
「月上、ね。私は黒沼奏。よろしくね」
黒沼さんはそう言うと、にっこり笑って手を差し出してきた。その笑顔にまた見惚れてしまったが、何とか自我を保ってその手を握る。
「はい。よろしくお願いします」
(あれ?)
私は黒沼さんの掌の感触に違和感を覚えた。てっきりスベスベした綺麗な掌かと思ったら、少しゴツゴツしていのだ。何か、部活などやっていたのだろうか。
「じゃあね、月上。今日はありがとう」
「い、いえ。こちらこそ……」
その日の夜。
私はベットの中で丸まっていた。
「……寝れない」
時刻は深夜2時。
それでも私の目は最高に冴えていた。何度瞼を閉じても、その裏に映るのはニッコリと微笑む黒沼さんの笑顔だ。
「~~~~~~っ!!」
思わず熱くなった顔を、ピンクを基調とした枕に押し付ける。
自分はどうなってしまったのだろうか。黒沼さんの顔が脳裏から離れず、今日一日の会話が頭の中でリピートされている。心臓は早い鼓動を絶えず打ち続け、たびたび赤くなる頬は湯気が出るかと思うほど熱かった。
(こ、これってもしかして……恋、とか?)
私は恋愛には疎いが、恋を知らないと言うわけではない。初恋だって小学生の時にはしていたし、中学生の時には、数週間だが付き合っていた男性もいた。まぁ、手を繋ぐ段階までしかしていないが。
その今までの経験から言って、この胸の高鳴りは恋した時と非常に似ている。しかし、今までにない高鳴りは、どういうことなのだろうか。それに、
「あ、相手は黒沼さん。同性なんだから……。私は普通なの、普通」
私は空が白んでくるまで、ぶつぶつと呟いていた。
それから入学式まで黒沼さんと毎日会っていたが、嬉しいと同時に、少し赤くなった顔をさりげなく隠していたのは、私だけの秘密にしておこう。
月上って付き合っていた経験あるんだぁ~、と自分で思いました。
あれぇ~?なんでこうなった……。
感想・誤字の指摘など待ってます。
こんな短くてすいません。
これに懲りず、また次回も見て頂けたら嬉しいです。