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傷とお粥

今回はお話はあまり進みません。

しかも、久しぶりの更新です。

さらに少し短いです。


申し訳ありません(汗)

「……しまった」


 名前も知らない男の死体を処理した私は、熱いシャワーを頭から浴びながら頭を抱えていた。刀で切った時の返り血がお湯と共に体を滑り、無機質なタイルを赤く染める。


 何で殺したんだろ。


 その血を見ながら私は後悔していた。別に人殺しに罪悪感を感じている訳じゃない。男を殺したことで、情報が手に入らなかったのを後悔しているのだ。


 魔法も十分に使えない私は、30人の護衛対象を同時に守らないといけない。それには情報が不可欠だ。相手が誰を狙い、誰を無視しているのか見極めないと、監視しなくていい対象まで監視してしまう。それでは労力の無駄になり、護衛が手薄になってしまう場合がある。複数人数でバラバラに狙われたら終わりだ。


 それと懸念がある。


 今日殺した男は魔法が使えなかった。と言うことは、あの男は魔法使いの家の出身である可能性は低い。おそらく、黒幕が解らないように外部の者に依頼したのだろう。尻尾をつかむのは困難になった。それに、今度は魔法が使える殺し屋がくるはずだ。


 正直に言って、私は魔法使いに対しては一気に弱くなる。相性が悪いのどうのではなく、この世界では魔法が絶対的に強いのだ。


 一般的に魔法使いを魔法を使用せずに倒すのは、不意打ちが一番だとされている。魔法を使うにはイメージが必要不可欠なので、これは確かに有効な攻撃方法だ。しかし、一流の魔法使いを倒すには、あまり意味のない行動となる。なぜなら、事前に防御魔法を自身にかければいいだけの話だからだ。防御魔法は魔力を多く消費するが、一流となれば数時間は展開させ続けることが出来る。それに索敵魔法を使えば、こちらの位置は簡単に認識されるのだ。偽装魔法でも使えればいいのだが、生憎私はそんな高等魔法は使えない。


 これからのことを考えて憂鬱になった私は、シャワーを止めてその場を後にする。体の水気をバスタオルで拭きながら、洗面台の鏡に映る自分の体を見た。無数の傷が体中にあり、お世辞にも綺麗とは言えない裸体だ。特に酷いのが、左肩から右の脇腹に向かって走る大きな切り傷と、背中いっぱいに広がっている火傷の痕か。救いは、腕や足など露出しやすい場所には傷はないことだけだろう。


 あまりの醜さに顔をしかめる。やはり、何度見ても慣れるものではない。


 コンコン。


 と、玄関のドアが叩かれる音がした。急いで服を着て、トコトコと玄関に向かう。


 ガチャリとドアを開けると、そこには天使――――――じゃなくて月上がいた。なんかデジャブ。唯一違うのは、彼女が心配そうに私を見ていることだ。


「あの黒沼さん。体調は大丈夫ですか?」


 月上がこう言うのは理由がある。


 始業式と入学式に私が欠席していた建前は、体調不良だったからだ。きっと彼女はそれを誰かから聞いて、心配して見に来てくれたのだろう。純粋に嬉しい。


「うん、大丈夫。少し寝てたら治ったよ」


 私が無意識にニッコリと笑ってしまうと、月上は目に見えて安堵の表情に変えていく。


「良かった……これ、お粥作ったので食べてください」


「えっ、本当!?ありがとう!!」


 私は月上が取り出した大きめのタッパを受け取る。


「では、私はこれで失礼します。今日はしっかりと寝てください。きっと慣れない環境で疲れたんですよ」


 良い娘~。


 玄関先で別れた私は、さっそく部屋に戻ってタッパを開ける。閉じ込めらていた湯気がムワッと上がった。お粥には溶き卵が入っていて、真中には梅干しが陣取っている。


 スプーンをキッチンから持ってきて、さっそく一口食べてみた。


「……おいしい!」


 久しぶりに人に作ってもらった料理は、予想を遥かに上回っていた味だった。月上の実力もあるのだろうが、今日のこの料理は特別に美味しいと思う。


 私も料理の腕には少し自信がある(母さんが家事全般出来ないため、必然と家のことは私がやっていた)。しかし、自分で作った料理というのは、自分で食べてもそれほど美味しいとは思えない。母さんが美味しいそうに食べるのは好きだけど。


 やっぱり自分とは違う誰かが、私のために作ったくれた事に意味があると思うのだ。


 お茶碗3杯分あったが、私はそれをペロリと食べきった。

よく小説などで傷を気にする女性はいますが、個人的には傷がある女性は好きですね。

ちょっと惹かれるものがあります。あぁ、苦労してそれでも生きてきたんだな~、と。


感想・誤字の指摘など待っています。


こんな稚拙な文を読んでくださり、ありがとうございます。

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