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どこにでもいる、悪

どこにでもいる、悪


 ……嫌なヤツってのは、どこにでもいるものだ。どいつもこいつも揃いも揃って、なんて思ったことがあるヤツもいるだろう。呆れるほどにみんな似たようなことをして、程度が低いと来たものだ。なんでどこに行っても変わらないんだ、なんて思ったことはあるか?変わらないのは当然だ。嫌なヤツってのは、全員同じヤツなんだ。


 悪人とは何だろうか。悪人ってのは、ある行動パターンに陥ったヤツのことを指す。どんなって、特に言うほどのこともない。嘘つくし、乱暴だし、威張るし。どこにでもいるような悪いヤツだ。一度くらいはそんなのを見たことがあるだろう。一度でも見たことがあれば、そいつだと思えばそれでいい。悪人の行動パターンは、一つ。どの悪人も、大して変わりはしないんだ。


 このパターンにハマったやつは、どんな顔のどんな立場のやつであろうと、同じ。無茶言って他人に押し付けて楽をして、自分は立派だと思い込む。驚くくらい低レベルだが、まあどこにでもいるっちゃいる。見たことのある無茶なヤツが、違う顔をしていると思っても大差はない。ツラが違えば立場は違う、やることは同じだから低レベル。どこにでもこんなヤツいるよな、なんて言うヤツは、まだわかっていない。そいつらは、同じなんだよ。


 これは人間が構造上持ち合わせる自壊構造とでもいうもの、これにハマったやつは仕組みだけで動いているから行動パターンも考えることも同じ。人間の体から個人の概念を抜き取った絡繰人形とでも思えば話が早いか。がちゃがちゃ動くだけの枠組みにどの皮を被せようが、皮が違うというだけのこと。違うのは見た目だけ。同じ。そして恐ろしいのは、見てもわからないってことだ。


 ツラが違えば立場が違う、できることも多少は違う。こいつらが共有しているのは行動パターンだけだから、ツラが違って立場が違えば微妙に違う「ように見える」。実際には同じパターンにハマっていて、違うことなど一つもない。そいつらは群れてコロニーを作り、集まると威張り出して、他人を見下す。これが世界各地で自然発生的に出現した奴隷制の始まり。ユーラシアのあっちとこっちに分かれたって考えることは同じ。悪人、という行動パターンに陥ったヤツが違う場所で同じことをしているというだけなんだ。


 もちろん今この場所でも、そういうヤツが出るかもしれない。むしろ、いない場所がない。構造的欠陥は、全員が持っているものだから、当たりが悪かったら生涯似たような悪人に付き合い続けないといけない、なんてこともなくはない。学校、会社、プライベート。場所が変わってツラが違えば、同じヤツを相手にしているなんて普通は思わない。そいつら大体、「おかしいのはお前だ」って言うんだよ。どこにでもいる、バカどもだ。そんな連中くだらねえよな、って思うヤツも、どこにでもいるんだけどな。

五、六人でやってるのかこいつらは。

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