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第2話:異世界図書館へようこそ

???「──こちらへ、どうぞ」


 白く奇妙な鳥の被り物をつけた姿のこの人、名札に(とり)と書かれている。

 

 れい(…声や体系的に女性なのかな?)


 とりは静かに僕を図書館の奥へと案内した。

 中に足を踏み入れた瞬間、僕は息を呑んだ。


 目の前に広がっていたのは──本の森だった。

 重厚な木の床を、靴の音がわずかに響かせる。

 膨大な数の書架が整然と並び、それがどこまでも続いていた。

 見上げれば、そこには月のような光をたたえた照明が、静かに瞬いていた。

 不思議な空間だが、なんだか落ち着く。

 まるで、時間の流れから切り取られているみたいだ。


れい「……ここ、本当に……図書館、なんだよね……?」


とり「ええ。ようこそ、異世界図書館へ」

 

 とりは振り返って、小さく頷いた。

 その声には機械のような冷たさはなく、どこか優しさがにじんでいた。

 僕は、手の中の貸出カードを見つめる。


れい「……これ、を……」


とり「はい。貸出カードをお持ちであれば、リライター(書き換える者)としての登録が可能です」


 リライター…。

 聞き慣れない言葉だ。

 でも、何となく、それがこの場所での“利用者”の意味なのだと、直感的に理解した。

 とりに案内されたのは、大きな柱が特徴的なカウンターのような場所。

 円形の台の上は自然と整っていて、でもどこか儀式めいた空気を帯びていた。


とり「では、登録を開始しますので貸出カードを」

 僕はカードを差し出した。


 とりがそれを受け取ると、貸出カードは小さく光り輝きだした。

 すると、カードの中央に、淡く金色の紋章が浮かび上がった。

 ──それは、“月”と“円盤”を重ねたような、見たこともない模様だった。


れい「……!」

 

 その瞬間、僕の中に、何かが流れ込んできた。

 熱くも冷たくもない、でも確かに“力”と呼べるものが、胸の奥にしみ込む。

 視界が、色を変える。

 ──とりが、光って見えた。

 いや、正確には、とりの周囲に"オーラ"みたいなものが色で見える。

 まるで赤と青が混ざったような、複雑な模様が、ゆらゆらと揺れていた。


れい「……これ、は……」


とり「《感情視エモーションサイト》あなたの精神と共鳴した異能です。」


れい「い、異能っ!?」


とり「はい。れい様のこの能力は、対象の感情や意思を、れい様の目を通して「色・模様・温度・揺らぎ」など視覚的なイメージとして認識できます」

 

 とりは静かに言った。


れい(…読心術みたいな能力なのかな…)


とり「以後、貸出カードを保持する限り、この力はあなたに宿ります。おめでとうございます。これで、あなたも正式なリライターです」

 

 ……本当に。

 現実じゃないみたいだ。


 とり「それでは、これからの事を説明をしますのでついてきてください」

 

 僕は、とりの背中を追って歩いた。

 その先に、扉がひとつ。

 重い扉が開かれると──


???「おお、やっと来たか!これで全員揃ったのお!」

 

 余りにも館内が静かだった事に加え、扉が開いてすぐの出来事だったのでビクッとした。

 先の書架から現れたのは、猿の被り物をかぶった男性。

 この男性、胸元の名札には"さる"と書かれている。

 執事のような服を着ているが、見た目のシルエットはごつく筋肉質。体型と服装にかなりギャップある。

 あと、声もやけに元気だ。


さる「わしはさる。リライターの案内やお世話、それ以外では司書みたいなことをしておる。まぁ、これからよろしくのぅ」


れい「……は、はい…よ、よろしく…おねがいします」


とり「───では、私はこれで失礼します」

 

 とりはれいに一礼し、受付の方へ歩いて行った。


れい「と、とりさん…あ、ありがとうございます」

 

 とりに聞こえていたのか聞こえていないのか、そのまま歩いて行った。


さる「──ではでは、れい様。ここからはわしについてくるのじゃ」

 

 気さくな声に導かれ、さるについて行く。

 ───少し歩くと、そこに大広間が現れた。

 この大広間もどこかただならぬ雰囲気がある。

 広い空間の真ん中に存在感を一際出しているのが、大きな円卓と七脚の椅子。その円卓の上部だけ他の場所よりも明るく感じる。

 さっきまで密集してた書架が、自らその円卓を避けるかのように周囲に空間を作って整然と並んでいる。

 そして、その円卓には既に、六人が椅子に座って待っていた。


さる「早速じゃが、れい様。そこの空いている椅子に座ってもらえるかの」

 

れい「は、はい…」

 

れい(この人達は…いったい…。ここでこれからなにがあ始まるんだろう…)

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