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第19話 Gコンビ


ある町に、少年が暮らしていた。


獣領域、多大山にある小さな小さな村だ。



獣族は基本的に、親から受け継いだ人種になる。だが、新しく別の動物をモデルにした人種に変化することも珍しくはないことだった。


しかし、体のベースは基本的に人間に近しいものだ。


耳が生えていたりしっぽが生えていたり、犬歯が鋭く、毛皮があったりなどは大抵はあるが、完璧な獣族になる、見た目が変化するというのは、獣人化、もしくは獣化をしてからだ。


だからこそ、獣人化をすることなく生まれてそのまま身体が変形されている異能型はその気味の悪さにより人族や魔族から忌み嫌われていたのだ。


しかし、獣族に嫌われているという訳ではなく、むしろ獣人化をせずとも獣人になれていることに期待し、尊敬された。



しかし、少年のモデルは蜚蠊であった。


動物ではなく、虫という変則型(イレーギュラー)は、同じ種族でさえも、そんな感想にさせた。


『気持ち悪い』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おまえなんて産まなければよかった」


じゃあかんぼうだったときにころしておけばよかったじゃないか


「痛い思いして産んだんだから、もっと普通になれよ」


”おまえ“がかってにうんだんだろ、つくるときはきもちよかったくせに


「おい、あれ見ろよ…異能型の蜚蠊だよあいつ…」

「ちょ、私、虫無理なんだけど!なんであんなの見せんのさ〜」

「声デケェよ、聞こえちまうよ〜」


きこえてんだよカス。ぶっころすぞブスども


「ママ〜なんであの人、あんな見た目してるの?」

「コラ!、あんなのは人じゃないのよ、見ちゃ駄目!」


おれだって幸せ(おまえら)なんか見たくもねーよ。


「やーい!ゴキブリーあっちいけー」

「顔キモー!ゴキブスだ!ゴキブス!ゴキブス!」

「キャハハ、ゴキブスだってよ、ゴキブスくーん!」


……だまれ…


「やっぱり怖いよー」

「いいから、おまえも投げてみろよ〜ほら!この石の形!絶対痛いぜ!」

「で、でも…」

「だーいじょぶだって、なんかあっても俺が守ってやっから!」

「う…うん、え、えい!」


……しゃべるな…。


「痛っ!」

「あ、だ、だいじょうぶ?」

「あんなやつの心配なんてすんなよ!それよりおまえ、しんぞうのとこに投げるとか、ひっでぇなー!」

「えっ、だ、だって…投げろって…」

「しんぞうのとことか、痛いに決まってんじゃん!ほら!ゴキブス過呼吸になってやがる!ギャハハハ!」


……もう、なにもかんがえるな……。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


家にいたら母親(あいつ)に追い出される。

外に出たら誰かに虐められ、外に出るなと追い返される。


じゃあ、どこに行けばいいの?俺の居場所はどこなんだよ。


「やーい!蛾だよ蛾ーあっちいけー!」

「痛イ!痛イヨ!」

「普通に喋れよ!きもいんだよ!」


最初、俺に言ってきたのかと思った。

似たようなもんか…虐められてるのは虫だ。話を聞くに蛾がベースの…。


俺と同じか。


「やめろよ」

「?なんだ、ゴキブスかよ、あっちいけよ!おまえも虐めるぞ!」


気づいたら、止めていた。

どこの誰かもわからない。

けど、ほっとけなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おまえ、覚えてろよ!絶対に言いつけるからなー!」

「泣きべそかきながらそんなこと言われてもな…」

「ア、アノ…」

「?」

「ア、アリガトウ…ゴザイマス」


は?こいつ…今なんて……なんで…………?


「あ、ありがとう…って?」

「?」


初めて、言われたことだ。ありがとう?


「あれ…あれ?」


制御できない。


俺は目から出て行く何かがなにか知らない。


ありがとう。


その言葉が、俺の頭で響き続け、目からこぼれるそれを止めることが出来なかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ヨウと出会って1ヶ月が経った。


相変わらず大人には無視されて、同年代(ガキ)には石を投げられたり、殴られたり蹴られたりしている。


辛いけど、孤独(ひとり)じゃない。


なんだかそう思えば、自ずと口角が上がっておかしな、でも嫌じゃない。そんな気分になった。


「今日ハ何シテ遊ビマスカ?」

「そうだな〜…ってか、おまえいい加減敬語やめろよ」

「…スイマセン、癖ヅイテマシテ…」


また敬語じゃん…。


「おいっ!」


声をかけてきた方を見る。まぁ、こういう時は大抵…


「まぁあたお前らかよ〜」

「言っただろ!やくそくどおりいじめにきてもらったぞ!」


この前ヨウを虐めてたやつだ。

後ろにはこの前俺の胸に石を投げてきた女もいる。

それと…だれだ?あのデブ…。


「おいガキ、あいつシバいたらこの子の事1日貸してくれんだよな?」


そう言ってデブは女を指さす。


「ちょっとだけだぞ!」

「年上には敬語使え」

「うっせぇばーか、さっさとしろよ、貸さないぞ!」

「わ、私そんなこと聞いてないよ!」


女の言葉を遮るように、「そんじゃさっさと終わらせるか」と言ってデブ野郎はこっちに向かってきた。


「臭ぇよデブ、来んな」

「あ?…てめぇクソガキ、ぶち殺すぞ…」

「ガキの言ったことでいちいちキレんなよ!浮腫(むくみ)!」

「ぶっ殺すぞ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


痛ってぇ…。

あれ?どうなんだったっけ?


あぁ、あのデブがトロくて最初は勝ってたんだけど、あのガキの投げ石で、足がよろけてそのまま…


負けたのか…あんなデブに…。


ヨウは?よかった、何もされてないみたいだな…


あいつらは?…なんか?言い争ってる…?


「じゃあまずはチューからだなぁ…」

「おい!聞いてないぞ!」

「言ってねぇもんなぁそんなこと!」


そう言ってガキは殴られる。


あぁ、そーゆー事か、この歳じゃ別に生理も来てないだろうし…まぁいいだろ…ほっとこ…。


「や、やだ…」

「ヤダヤダじゃねぇよガキ!、?あぁそう言うプレイね…確かに萌えるわぁ!」


上の服が破られた。

そう言う趣味があるやつがいるのは知ってる。

あのガキは…殴られて完全に延びてるな…。


「やだ!たすけて!」


だからそいつは延びてるんだって…。


「助けて!」


……。気がついたら、走り出してた。

どうやら俺はそういう性分らしい。


殴って殴って殴って。

蹴って蹴って蹴って。

噛んで噛んで噛んで。

男は動かなくなった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


男は動かなくなった。


死んだ?

血塗れでよくわからない。

口の中には噛み砕いたデブ野郎の腹が、脂肪があった。

気持ち悪い。


「あ、あの…」


女が喋る。


「ありがとう…」


こんな状況でよく平気にありがとうなんて言えるな…

でも、そっか… ありがとうか…。


「ん、ん…」


男の方のガキが起きた。


「ん?あ、あれ?…なんで?こいつ…おまえがやったのか?これ…」


まだ状況を理解してないみたいだ。


「そうだよ」


俺はこの時、同じように『ありがとう』って、言ってもらえると思っていた。

思ってたんだよ。


「ひ、人殺しだぁ!」


は?


「に、逃げるぞ!」

「え!…ち、ちょっと待って…!なんで?この人、助けてくれたんだよ?!」

「そんな訳ないだろ!こいつはゴキブリなんだよ!」


言って、2人は消えてった。


なんで?


ゴキブリだから?


なんで?


「フミ…」

「ヨウ?なんで?どういうこと?」


わからない。


「わからない、なんで、」


また目から何かが出てきた。

でもこれは、あの時のとは違う。

目から出てくるのも、止められないのもおんなじなのに。


なにかが、違う。

わからない。

どうして。


「なんで、なんでっ!」

「なんで、みんな俺のことを嫌いなの!初めてましてなのに、悪いことなんてしてないのに!

なんでみんなで俺を虐めるの!?どうして大人は見てくれないのっ!

お母さんも!俺はなんにもしてないのに!みんななんで俺のことが嫌いなんだよっ!

俺はただ!暖かい布団から起きて!温かい朝ごはんを食べて!友達(ヨウ)と遊んで!お母さんと仲良くご飯を食べながら、その事を話して!お風呂に入って!柔らかい布団で寝る!

そんなみんながしてる“当たり前”が欲しいだけっ!そんなに駄目な事なの?!そんなにいけない事なの?!俺には贅沢すぎるからっ?俺がゴキブリだからっ?じゃあせめて!」




「嘘でいいから…仲良くしてよ……。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そこから先は…どうなったか覚えていない。


デブは死んでて、母親が責任を取ることになって、周りはさらに冷たくなった。


本当にあんまり覚えてないから、ざっくりになってしまうけど、あの後、俺は獣人化に成功した。

そしてそのまま、ヨウ以外の村の住民を全員殺した。


そのまま、燃え盛る村の中で1人、ああヨウと2人か、座り込んでたんだ。


そしたら来たんだ。


あの方が…。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「可哀想に…」


……だれ?


「私は魔王軍に所属していた。幹部の1人の獣族さ…。」


…魔王軍って…もう既に壊滅してるはずだろ……。


「確かに初代の魔王軍は、魔聖である勇者スカーとその一派に敗れた…

しかし、生き残った幹部たちがまた新たに魔王軍を結成したのさ…。

まぁ私は入らなかったんだけどね…。」


別に聞いてねぇよ…


「そうだね。私の所在はどうでもいいかもしれない、けど君は今から私と同じ所在に来ることになるかもしれないよ…?」


………………どうゆうことだ?


「近々、世界をひっくり返そうと思っている。そのために人数(せんりょく)が欲しいんだ…。君には十分に資格がある。


私の手駒(なかま)にならないか…?」


……何を言ってるんだこいつ…?


「理解できなくても仕方ないさ…君は今まで、この(せかい)だけで生きてきたんだから…。

でも、私に着いてきてくれれば君の望んだものを全てあげよう…。温かいご飯も暖かい寝床も…」


………いらない…ヨウを、ヨウも連れて行っていいなら、それ以外の条件はいらない。


「…勿論…叶えてあげるさ…君は今日から全てを食い尽くす『パンパゴス』さ…!誰かの幸せを食って自分のものにするんだ!」


満面の笑み。

浮ついた声。

耳までたどり着きそうな口角。


この人は、笑顔で俺の人生を手に入れた。


〜5年後2月13日〜


「これが…俺の求めていた世界だ。」


家は燃え、子供も燃え、親も燃え。

血腥(ちなまぐさ)いこの世界は、俺が幸せを手に入れるためには必要なことだったんだ。


「終ワリマシタカ?」


ヨウだ。


「終わったよ…」


俺たちは、(クティノス)に入ってから、成果を上げ続けた。

獣族(せんりょく)を集めたり、

反対する獣族(じゃまもの)を消したり、

人族(てき)を削っていったり、


この5年間でカリメラ王国を落とすための下準備をしてきた。


時は来た。


明日、カリメラ王国に攻め込む。

獣人戦争が始まるんだ。


「ドウシマシタ…?」

「ヨウ。これが、本当に幸せなのかな?」

「……進ムシカ無イデスヨ…」

「…わかってるよ、別に…」


辞めたい訳じゃない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺たちの配置はカリメラ王国の東側だ。


北には、リーブ家などの王族たちが住む城が建っていて、魔術、剣術などの学校などの施設も隣接して建てられている。馬鹿みたいにでかい城壁と、堀もあって、渡るための橋が3つ掛けられている。


西には、農作物などが育てられている敷地があり、自然が広がっている。山が少しあり、魔術の演習場などにも使われている。


南には、商店街などの大通りがあり、冒険者ギルドなどのもここに建てられている。


そして東には━━━。


「ブルゴーゼ街…デスヨ、名ハ」

「結構いい匂いだな…ここ…」

「何処ガデスカ?腐敗シタ匂イ塗レデ理解が出来マセン」


鼻をつまんで有り得なーいみたいな顔をするヨウ。


「そりゃまぁ、いちよーゴキブリですから…」


俺たちのこの戦争での仕事はブルゴーゼ街に住むヤツらを留めること、戦闘不能にさせるというわけだ。


こいつらを街にはなって民間人を虐殺させるのもいいがそうすると後々めんどくさい。

かといって、これだけの戦力を消すのももったいない。

ということで俺たちの仕事は監視だ。


「オ、始マリマシタヨ…」


街の方に大爆発が起き、少し遅れて爆風もこっちまで届いてきた。


「そうだな…」


もう始まった…。止めることはできない。


カリメラ王国は中心地をやられた。この争いは獣族が勝つだろう。


「なんだ…?、!おい!お前ら!都市の方見ろよ!ヤバいぞ!」


ブルゴーゼ街の連中が気づき始めたみたいだ。


「仕事デスヨ…」

「…おう、」


俺たちは、都市に行こうとし始める奴らを止めるために、戦闘準備に着いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ブルゴーゼ街は、過酷だ。


食料もなく、水は下水。

寝床もろくな場所はなく、辺りの人間が寝ているのか死んでいるのかも分からない。

道端で寝れば男なら金を取られ殺させる。

女であれば、欲求をぶつけられたあと殺される。

犯罪と欲望が蔓延(はびこ)る街。


故に、ある者はブルゴーゼ街をこう説いた

『人領域の魔界』、『世界一のスラム街』

と…。


そして、その死線をくぐりぬけて生き残ってきた者達の生への執着は凄まじく、強さもある。


そんな世界(まち)を生き残れる者たちの頂点(てっぺん)


三人の帝王━━━━。


彼らはそれぞれが別の種族である。


獣族、人族、魔族の彼らが揃った時、それは剣聖ほどの強さを持つ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


その辺の雑魚は余裕だ。


これを機に、町の物たちの金品を盗もうとするやつらだ。


この街で勝てるような強さはない。


ただ、これは知らない……。


規格外だ……!


なんでこんなヤツらがいるんだよ…!


「まだまだァ!」


家を掴み投げ飛ばしてくる。こんな怪力、俺は知らない。


「"ミド"に気ぃ取られすぎだぜ!」


後ろから蹴りが飛んでくる。


強い……いや重いんだ、刺さるような蹴り…!


「今だ!"レラーソ"!」


なんだ?何を振りかぶっている?


ドゴッ!


鼻に激痛がぶつかり、その振りかぶった勢いで何かが何本か刺さる。

枝だ。

こいつ……木を引っこ抜いてそれを武器にしたのか……。


「フミ!」


その声と共に目の前に風が吹き起こる。


「ナイス、助かった…。」


あの3人、俺が今まで戦った中でいちばん強い……。まだガキなのに……。


「油断するなよ、ヨウ本気で行こう…。」

「了解デス」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


まぁ結局決着はつかずに終わったんだが……。あの時のアイツらが三帝になったのはだいぶ後か……。


そこで後の三帝を押えてたことにより俺たちはクティノスの正式なメンバーになり数字をもらった。





いつ、どんな時でも、言われた。思われた。


━━━「きっも!!」


うるせぇな…知ってるよ…。


━━━ 「きっも!いや無理無理無理無理無理!!戦うとか無理だって!!」


もう聞き飽きたんだよそれは……。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺は……死ぬ時まで……最後までみんなに嫌われてばっかりだったよ……。


ヨウは……駄目か…衝撃砲(インパクトロード)で新しく作られる卵も破壊されてるだろ……。



まぁ、お前と一緒に嫌われる人生も、悪くなかったよ……。



この作品、すぐ親殺すな……。

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