第0話 初日の出見れず異世界転移
西暦2025年1月1日地球生まれ日本育ちの俺"斉藤凧人"は今この瞬間、3年連続会社で年越しをした。
「年…明けたな……」
そんな言葉を口にした俺の周りには、時計すら見ず、パソコンを打ち込み続ける奴。聞こえるか聞こえないか分からないくらいの声量で「なんで残業代も出ないのに、こんな日にまで仕事してんだよ…」などの不満を漏らす奴、まるで去年と変わらない。
毎年の光景だった。
「一服吸いに行くかぁ…」
そして席を立ち上がった俺の目の前は、さっきと打って変わって一面荒野だった。
―は?いちめん…こうや?
「は…?いや…え…」
そうか、仕事の疲れのせいで幻覚が見え始めたのか…大丈夫これで記念すべき10回目だ。
ここまでしっかりとした幻覚が見えるのは初めてだな…10回目だからか?
ひとまずしっかりしよう。落ち着け、落ち着くんだ…。
目を擦り深呼吸をしてから目を開ける。
うん、荒野だ…。うん?…荒野のまんまじゃん…
「幻覚じゃないのか?…どうなったら職場の椅子から立ち上がった瞬間、荒野に来るんだよ…」
いやいやとりあえず落ち着け…とりあえず周りの状況を確認しよう。
周りはガンマンとかがいる西部劇のようなThe荒野だ。道っぽくなってるけど大勢の人間が歩いたような跡があるな。
グラウンド整備しすぎて地面が剥げてきたのか?
見える範囲にはそれくらいしかない。
日本っぽくないよな…。サバンナ?いや、サファリパーク?
マジでなにこれ…?テレビのドッキリ?モニタリングとかかな…いやそんなわけないな、意味わかんないし…。でもテレビだとしたらもっと面白い反応した方が良かったな…いや撮れ高なんて気にしてやる余裕なんてないけど。
「まじでなんなんだここ?瞬間移動しちまったとか?」
自分で口にしてみて、数秒考える。
……いやいや、ないないない。
今考えても仕方ないよな…何にも分からない訳だし。とりあえず砂埃えぐいし洞窟でも岩場でもなんでもいいから雨風凌げる場所を探そう。
俺は大人数で歩いたであろう足跡に沿って1人、歩き始めた。
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歩きながら色々考えてみたが、俺がオタクだからだろうか…1つの結論にたどり着いた。
俺異世界転移したんじゃね?
まじで異世界転移したんだとしたらどうする?普通だったら
「異世界キターー!!!」
「これ俺にも特殊能力とか出て魔法とか色々できるんじゃね!?やべーテンション上がってきたぁ!! 」
…とかなるんだろうか…本音は正直怖い…。
自分の雑魚さはいちばん分かっているし特技はご機嫌取りのこの俺が、そんなご都合のいい特殊能力をもらえるわけがない…。
恐らくそこら辺のスライムとかにも瞬殺されるだろう。
…まぁ本当にスライムが出てきてくれたらここが異世界と断定できるんだけどな…それに異世界だとしてもどうやったら帰れるんだろうか。
いや…そもそもあの会社に戻りたくもないし別に戻れなてもいいけど…。
そうなるとここで暮らしていくのか…?異世界…ってのはまぁ夢見話だとして、多分日本じゃないし…。
まぁ、会社もこの荒野も五十歩百歩だ。
心配してくれる人間なんていないし、無理に戻郎と考えなくてもいいだろ…。
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親父は俺がまだ3歳くらいの頃に車に轢かれて即死した。
母親は━━親父の死なんて関係なく元々クズだった。だからだろうな。
俺が5歳の頃に男を作って蒸発していった。まぁ2年もよく持ったなと逆に関心するべきだろう。
あいつは5歳の俺と、2歳の妹を残していった。
それからは万引きや食い逃げなどを繰り返し気がつけば2年ほど経っていて、普通に万引きがバレて、警察に通報され、そのまま流れるように施設に送られた…。
妹は"浮気を繰り返すヤリ〇ンガバガバマ〇コ女の血を引いてる"だけあって5歳の頃から施設のガキにモテ出していた。そこで男の使い方を学んだのだろう…。
無駄に高かった顔面偏差値を利用して、器用に生きていた。
俺は妹に使い回されるようになりながら、その頃から俺はあいつの奴隷みたいなものだった…。
それから施設の職員が2人ほど逮捕されたり小学校では妹が低学年の子を階段から突き落としたりと色々あったが今となってはいい思い出だ…。
まぁ結局その妹もホストにハマってしまい立〇んぼやらなんやらをして(俺もよく知らない)勝手に俺の前から消えてった。
しかも俺の金をありったけ取って行った。別にイラつきもしなかったが…むしろ感謝の方が大きかった。今となってはいい…いやよくないか…。
あいつ、生きてるかな…?
どんなにクズでも一緒に育った家族だ。
血は繋がっていないが、それでも家族だったんだ。
あいつは俺を金づるとしか思ってなかっただろうがな。
しかし昔を思い出してたら腹減ったなぁ…こんなことになんなら夜食のつゆだく牛丼食っときゃ良かった…。
ってかそもそも異世界転移だったとしても誰が俺を呼んだんだ…?
20分ほど歩き続けていた。
ようやくなにかの建造物の影が見えてきた。
一軒家でもなければすごく高い構造物がある訳でもない。そこそこの建造物がそこそこ建ててある。小さな集落っぽい。
The荒野の次はThe村って感じだ。
ってか今気付いたけどここが異世界でも外国でも言葉は通じんのか?義務教育なんてまともに受けてないし、英語なんて分からないぞ。
ただでさえ日本語も使いこなせていないのに。
そんなことを考えていたら。
電車が出発したのかと錯覚する程の大きな音が鼓膜まで響き、村に光が落下した。




