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第8章 新たな挑戦

第8章:新たな挑戦


藤村は、ヴァリオから新しい作業を任されるようになり、少しずつ責任感が芽生え始めていた。しかし、その任された仕事の内容は、これまでよりもはるかに難しく、何度も失敗を繰り返すことになった。


その日も、藤村は畑の隅で新たに植えるための土を耕していた。しかし、どうしても手際が悪く、何度もスコップを使って土を掘り直す羽目になった。


「うーん、やっぱり難しいな…」


藤村は独り言を呟きながら、またスコップを力強く地面に打ち込んだ。しかし、うまくいかず、土が散らばる。


その瞬間、ヴァリオが歩み寄り、藤村の作業を見ていた。


「なにをやっている?」


「す、すいません…土を耕しているんですが、うまくいかなくて…」


ヴァリオは無言で藤村を見下ろし、しばらく沈黙が続いた。藤村はそのまま土を掘りながら、どこか焦りを感じていた。


「お前、こんなに何度も同じことをしてどうする。見てろ」


ヴァリオは軽く手を振ると、藤村の作業を止め、代わりにスコップを手に取った。その手つきは非常にスムーズで、さっと土を耕していく。


「…こうだ。土は、ただ掘るだけじゃない。まずは少し掘って、土の質を確かめろ。それから、無駄に力を入れるな。軽く、リズムよく動かすんだ」


藤村は、ヴァリオの手際を見て、驚きと共にその動きを見守った。確かに、彼のやり方には無駄がなく、リズムよく作業を進めていた。


「このやり方だと、楽に進むんですね…」


「当然だ。力任せじゃなく、コツを覚えることだ」


ヴァリオは言い終わると、再び藤村にスコップを渡した。


「お前も、少しは考えて動け。力任せにやったって無駄だぞ」


藤村はそれを受け取ると、何度もその手つきを繰り返しながら試してみた。最初は上手くいかず、失敗を繰り返したが、だんだんとヴァリオの言っていた通りの感覚がつかめてきた。


「できる、できるぞ!」


藤村は少し興奮気味に声を上げた。その声を聞いたヴァリオは、ちらりと藤村を見たが、特に反応は示さなかった。


「見ろ、出来たろ?無駄な力を使わずにやれば、もっと早く終わる」


藤村はその言葉を噛みしめるように繰り返し、改めてヴァリオの言葉に感謝の気持ちを抱く。


「…ありがとうございます。おかげで、少しだけうまくできました」


ヴァリオはその言葉に軽く頷き、「お前も成長してきたな」とだけ言った。


藤村は、その一言に何とも言えない気持ちを抱きながらも、次第に自分の成長を実感していた。そして、少しずつ作業が進んでいく中で、彼は次第に自信を持ち始めていた。


夜が近づくにつれて、藤村は自分でも気づかないうちに、過去とは違った自分になりつつあることを感じていた。それは、ヴァリオの厳しさとともに、少しずつ確実に変わってきた証だった。


その夜、藤村は寝床に横になりながら、ふと思った。


「この場所に来て、少しずつ変わってる。でも、もっとできるんじゃないかな…」


その考えが胸に湧き上がり、藤村はそのまま静かに眠りについた。

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