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西園寺先生にカモミールを

ミステリー作家であり元脳科学者であり脳神経学の博士でもあり、物ぐさな男、西園寺聡真(そうま)

血のつながらない娘、西園寺純麗(すみれ)と暮らしている。

ある日から西園寺の書いた小説に準えて進む事件が起こる。その最終稿を担当編集者に渡すところから物語は始まる。


【登場人物】

◆西園寺聡真/そうま

元教授。脳科学者であり脳神経学の博士。今は物書き、引き籠もり、理屈っぽい、頭脳明晰

とある事情で少女を引き取り娘として育ててる。

彼女の呼び方は「純麗/すみれ」


◆西園寺純麗/すみれ

高校生。物腰が柔らかく古風。寡黙だが辛辣。

少し変わった力を持っているが本人は気にしていない、というか動じていない。

義父の呼び方は「先生、お父様」


◆椎名玲音/れお♀or れおん♂

捜査一課の刑事で西園寺作品のファン、賑やかな性格で社交的、事件の捜査は足に頼る派。


◆白地教士/しらち(♂あつし)または教子(♀のりこ)

西園寺の担当編集者。西園寺作品に憧れて担当編集になった。どこか大人びていて何を考えているのか分からない雰囲気もある。


※この作品は原則脚本として書いています。なのでセリフのみでお話が進行していきます。

なので恐らく読みにくかったりしますがどうぞご容赦ください。

※人物紹介で名前が男女両方ある人は、演じる場合性別はどちらでも構わないということです。

西園寺

さぁ、原稿チェックが済んだならとっとと帰ってくれたまえ

白地

ありがとうございます先生。これで最終回も何とか原稿を落とさずにすみます

西園寺

毎月毎月君もよくまぁ飽きずに同じセリフを繰り返してきたものだね

白地:

先生の方こそ、毎月毎月飽きずに原稿をギリギリまで待たせてきたじゃないですか

西園寺:

いいかい?創作というのはそう簡単に生み出せるものでは無いのだよ。脳内の無限の宇宙に散らばった言葉を拾い集めて物語に再構成し‥

白地:

印刷所に間に合わないのでこれで失礼します

西園寺:

な!待ちたまえ、まだ話は‥

純麗:

逃げられたようですね、先生

西園寺:

そのようだね。おはよう純麗

純麗:

おはようございます、先生。

コーヒーをお入れしますか?

西園寺:

ああ、頼むよ。創作のあとはカモミールティーで脳をリラックスさせたいところだが、このあと来客があるからね

純麗:

椎名さんですか?

西園寺:

うむ。どうも連続殺人の様相を呈した事件があるとかで話を聞きたいそうだ

純麗:

ニュースで見ましたわ。夜のお仕事をされている女性が残虐な殺され方をしたとか

西園寺:

そう、同じ方法で二人目なんだそうだ

純麗:

まぁ怖い

西園寺:

この場合、被害者に特徴があるから、その特徴に該当しない者はそう怖がる必要は無いよ

純麗:

あら、先生はリアリストだと思っていましたのに

西園寺:

それはどういう事だい?

純麗:

条件に関係なく、残虐な事件に恐れを感じるのはごく普通のことですよ

西園寺:

そうだね、これは失敬した

純麗:

コーヒーが入りました

西園寺:

ありがとう

(飲む)

ふぅ〜。

とっととカフェインがアデノシンを引き付けて、この眠気を取っ払ってくれないものかな

純麗:

脳に到達するには5分ほどお待ち下さい

西園寺:

そうだね。いくら吸収が早いと言っても数分は待たなければね。

純麗:

はい、先生


椎名:

先生!せんせーい!

西園寺:

もう来たのか

純麗:

ふふふ、相変わらず賑やかな方ですね

西園寺:

1キロ先でもあいつの居場所は分かる

椎名:

あ、いた!

西園寺:

この狭い屋敷でそう走り回らなくても声でわかるだろうに

椎名:

刑事は足ですよ!

西園寺:

それは靴を履いているときにしなさい

椎名:

むむむぅー

西園寺:

そして君は捜査一課のホープなんだから、子供のようにあからさまに拗ねるのはやめなさい

椎名:

これが可愛いって言ってくれる人も居ます!

西園寺:

因みにそれは誰のことかな?

椎名:

うっ!!

純麗:

先生、こんな可愛い椎名さんをからかわないで下さい

椎名:

純麗ちゃーーん!君のお父さんがイジメるんだよぉー!!

純麗:

ほら、椎名さんが幼児退行したじゃありませんか。よしよし

椎名:

純麗ちゃぁんバブ・・・スヤスヤ

西園寺:

(頭を叩く)税金を無駄に使うんじゃない。刑事の仕事はどうしたんだね?

椎名:

イテテテ。純麗ちゃんの魅力に負けて本題をすっかり忘れてました

純麗:

(笑う)

椎名:

先生!連続殺人です!

西園寺:

それは電話で聞いた。詳細を話し給え。

純麗:

では椎名さんの飲み物を入れてきますね

椎名:

お気になさらず!あ、ちなみに私はいつものブラックコーヒーで

西園寺:

これほど存在価値のない「お気になさらず」を聞いたのは初めてだよ

椎名:

先生、立ちんぼの女性が二人殺されたことはご存知ですよね?

西園寺:

ああ。それにしても立ちんぼか、、、いやに古い言い回しだか、夜の仕事ということでいいのかね?

椎名:

はい。最近は繁華街近くで若い女性が実際に道に立って客をとってるんです

西園寺:

すぐ取り締まれそうなのにかね?

椎名:

そうも行きません。明確に売春で引っ張るのは難しいんですよ

西園寺:

うむ

椎名:

今はそれは置いておいて、事件の話です!

西園寺:

もうあらかたは分かっているよ。私の作品になぞらえた連続殺人ではないかと言われているね

椎名:

さすが先生!

西園寺:

最初が安西にこさん、次に町屋杏さん

椎名:

そして三人目が出ました、水道橋エリザです、先生

西園寺:

やはりか、、、、

椎名:

そしてその事件の日付が8/8、8/31、9/29‥と、先生の小説と全く同じなんです

西園寺:

そこも同じか・・・。神経同期の偶発的交差にしては数が多すぎるね

椎名:

え、と、、、神経の偶然交差点??

純麗:(飲み物を出しながら)

神経同期の偶発的交差ですわ。つまり…友達の事を考えていたら、たまたまその友達からLINEが来た、みたいなことです

椎名:

なるほどわかりやすい!さすがスミレさん!

あ、コーヒー頂きます

純麗:

熱いうちにどうぞ

西園寺:

だからこれは偶然ではなく、仕組まれた事件だと言えるわけだね

椎名:

難しいことは分かりませんが、先生の作品のコアなファンである私だからこそ、この関連性に気がついたといえますよね!?

西園寺:

誰でも気がつくだろう

椎名:

いえいえ!2人目の被害者の捜査会議時点で、すぐこの関連性に気づき言及したのは私だけですよ!

西園寺:

バカバカしくて誰も言わなかっただけじゃないのかい?

純麗:

先生、椎名刑事は先生を溺愛するファンであり、有能な刑事さんなんですよ

椎名:

スミレさーん!ありがとうございます!ですよね!ですよねー!

西園寺:

分かった分かった。それで一つ気になったのだが…

椎名:

4人目の被害者ですね?

西園寺:

そうだ。なぞらえているなら9/29にもうひとりの被害者がいるはずだ

椎名:

そうなんです。でも該当する事件はまだ見つけられていないんです

西園寺:

不思議だね。ではこれは偶然の可能性も捨てきれないということか

椎名:

いえ、そんなはずはありません。必ずどこかに隠れているはずです

西園寺:

うむ

椎名:

なので先生が隠れた被害者について何かアイデアを閃かれないかなーっと参ったわけです

西園寺:

ずいぶん都合のいい頼られ方だね。足を使った捜査はどうしたのかね?

椎名:

闇雲に探しても見つからなかったから藁にすがりに来たんですよ!助けて下さい大先生様!

西園寺:

せめて葦にしてくれないか

椎名:

えっ?わら?

純麗:

そうですよ、椎名さん、だって考えるのですから(笑)

椎名:

この際、藁でも葦でもどっちでもいいので、何かに気がついて下さいよー

西園寺:

無茶振りが過ぎるね、君は

純麗:

意地悪しないで、助けて差し上げて下さい大大大先生!

西園寺:

暑苦しいねぇ、、、うーむ

純麗:

ではコーヒーを淹れ直しますわね。ナリーニョ産が無くなったのでウィラ産にいたします

椎名:

その、なりょーのさん、とか、うぃらさんって誰ですか?

純麗:

人じゃなくてコロンビアの中での豆の産地です。それぞれ味わいが違うんですよ

椎名:

へぇ‥。コロンビア産はみんな同じだと思ってました

西園寺:

日本の米も、北海道産と新潟県魚沼産ではだいぶ違うだろ?

椎名:

あ!確かに!

西園寺:

作った場所によって作られるものは違って‥‥あぁ

椎名:

どうかされましたか?

西園寺:

確かリッパーの4人目の被害者エドウッズの捜査は、管轄の関係でロンドン市警察が捜査に加わったんだったね

椎名:

そうですね、基本はロンドン警視庁が捜査をしていたんですが、彼女の殺害現場がロンドン市警管轄のシティ・オブ・ロンドンだったから…あっ!!!

西園寺:

その線で一度当たってみてはどうかね?

椎名:

ありがとうございます!!(コーヒーの残りを一気に流し込む) 早速、捜査に戻ります!!では!(走り去る)

西園寺:

全く落ち着きのない

純麗:

フットワークが軽いのが椎名さんの良いところですわ

西園寺:

まぁそのお陰でやっと眠れるのだから何も言わんよ

純麗:

(笑)そうですね、では先生、おやすみなさいませ


ひとまずここまでです。

読んで下さった方、ありがとうございます。

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