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トイレで泣いた春

作者: 出雲 寛人

春がトイレで泣いていた。


どうやら、夏と冬が春をいじめたらしい。


夏は人々から暑いと言われ、冬は人々から寒いと言われていた。


しかし春は温かくて気持ちがよく、新しいスタートを切れると評判である。


その春に対する人からの評価に嫉妬して、夏と冬は手を組んだ。


春がトイレで泣いているため、冬の次には夏が来た。


人々は春を待ち望んでいたが、春は来ず、夏が来た。


春はトイレで泣いていた。


夏と冬は春がトイレにいることを喜んだ。


長い夏がそろそろ終わるという頃、秋もトイレに篭っていた。


秋はどうやら便秘らしい。


秋もトイレに篭っていたため、夏の次には冬が来た。


人々は秋も捨てがたいと思っていた。


紅葉が綺麗で読書をしたり、さつまいもを焼いたりするのはやはり秋だと思っていた。


しかし夏と冬は愉快な気持ちになっていた。


これで自分たちの時代だ。と。


2つの季節の意思は同じだと思っていたが、冬が夏を裏切った。


冬は雪でかまくらを作り、夏をその中に閉じ込めた。


そして冬の時代となった。


人々は凍えていた。あの暑い夏さえも恋しくなっていた。


数年後、夏が閉じ込められていたかまくらから脱出し、トイレで泣いている春に状況を説明した。


春は人間が大好きだ。


ようやくトイレの外へ出た。


その瞬間、季節は冬から春へと変わった。


もうずっと泣いていたため、雨は降らなかった。


あたたかな日差しが人々を包み込んだ。


ピンク色の桜が満開で、人々の閉じていた心も次第に開いていった。


春は人間が喜んでいて嬉しかった。


春は満足して、時間のバトンを夏へと渡した。


夏は今回のことを反省して、ある程度時間が経つと、秋へとバトンを渡そうとした。


秋はいまだに便秘であった。

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― 新着の感想 ―
季節を擬人化するという発想が面白く、近年の気候の変化も裏でこんなふうなことが起きてるのかなと想像させられるところがすごく素敵で良かったです。 ただただずっと便秘な秋が好きです。
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