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2-2

「喧嘩でもした?」


自分の席につくと、肇くんは開口一番にそう言った。


「どうして?」

「いや、雰囲気がさ…。というか、今もあの二人こっちに来ないし」


肇くんは苦笑いをして、二人のことをチラリと見る。

確かに、いつもなら鞄を置いたらすぐに僕の席に来るのに、今日は来ない。


見る人によれば不自然に見えるだろう。


「笹原クンとは今日で三日目だけど、三日で飽きるなんて関係じゃないだろ、キミら」

「…うーん」


どうだろう。

僕はいつになっても飽きない自信がある。

だけど、あの二人はどうだろう。


中学からの仲だから、高校で新しい人間関係が出来れば飽きられてしまう可能性はある。


もしかしたら、昨日に新しい友人ができた可能性だってある。


新しい友人の方が良いとなってしまえば、僕に止めることはできない。


できれば、仲良くしている姿を見ていたいとは思うけれど。


「そんで、なんでそうなったの?」


肇くんはどこか楽しそうな様子で聞いてくる。

きっと、漫画のネタになるとでも思っているのだろう。


特に隠すようなことでもないので、今朝起こったことを簡単に話す。


最初の方こそ、興味深そうに聞いていた肇くんだったが、話が進むにつれて顔つきが暗くなっていく。


話し終えた頃には、気まずそうに俯いてしまった。


「…そんなわけで、今この状況なんだ」

「…」

「肇くん?」


声をかけると、深い溜め息が返ってくる。


「つまりあれか、うーん、そうか…うん、ごめん!」

「えっ」


何か唸っていると思ったら、急に謝られてしまう。


きっと、肇くんの中で何かを掴んだのだろうけど、僕には何も分からなかった。


「肇くん…」

「はーい、席に着いてください」


何か分かったのであれば教えてほしい、と思ったのだが、教室に入ってきた声によって阻止される。


周りの様子を見ると、皆が席に着いており、机の上には教科書が出ていた。


肇くんを見ると、彼もしれっと教科書を出している。

どうやら、僕が気づかないうちにチャイムが鳴っていたようだ。


入学早々怒られるのは本意では無いので、大人しく前を向く。

できれば、今日の放課後までには解決したい気持ちがある。


もしかしたら、明日から皆忙しくなってしまう可能性が高いから―

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