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2-5

その後、休み時間があともう少ししか無いことに気がついた僕達は、急いでそれぞれのご飯をかきこんで教室に戻った。


教室に入ったと同時に、掃除開始のチャイムが鳴ったので、それぞれの持ち場への離れていった。


そして今、僕は渡り廊下の掃除を肇くんと、出席番号が近い女子達と行っていた。


「仲直りできたみたいだね」


隣に並んできた肇くんにそう言われる。

手を動かしながら静かに頷くと、肇くんは満足そうに笑う。


しかし、すぐにバツが悪そうに表情を歪めて、頬をかく。


「それにしても、オレのことが原因なんてまー…」

「気にしないで良いよ」


そもそも、僕が名前で呼んでいるのは、彼からそう呼ぶようにと頼まれたからだった。


僕が彼のことを“榊くん”と呼ぶと、名字で呼ばれるのは好きではないと言われたのだ。


好きではないと言われて進んだ名字呼びを続けるとうな趣味はないので、その後は名前で呼んでいた。


なんの支障もないと思っていたけれど、二人は出会ったばかりなのに“肇くん”呼びをしていることが引っかかって、僕と気まずくなってしまった。


そこは僕の落ち度だ。


朝に話をした時点で、肇くんはそのこと気がついていた。


しかし、これは三人で話し合って解決するべきだと思い、原因までは僕に話さなかったようだ。


そのことについて謝られたけれど、きっと僕を肇くんの立場だたら同じことをするだろうから、気にする必要は無いと告げた。


「…」

「肇くん?」


急に黙り込んでしまった肇くんを見ると、口に手を当てて、何かを考えているようだった。

なんだか先程と違う雰囲気だ。


「あっ、何か言った?ごめんごめん」


声をかけると、すぐに調子が戻って、雰囲気が軽くなる。


「ううん。早く掃除終わらせようか」


なんとなく聞いてほしくなさそうだったので、追求しないようにする。

誰にでも聞いてほしくないことはあるだろうから。


それから、掃除を終えて授業が始まる。

放課後まで特段何事もなく、平和に今日の授業が終わった。


「笹原、かーえろ!」

「うん」


伊澄さんの明るい声に、笑顔で応える。

そのうち、奏汰くんもこちらにやってきて、一緒に帰宅する。


二人から、僕の呼び方を変えたいと打診は受けていた。

だけど僕はそれを固辞した。


名前が好きになれないだとか、名前で呼ばれるのが恥ずかしいだとか、そういった理由ではない。


理由は至って単純で、僕は好きな声で“笹原”と呼んでほしいのだ。


それ以上の理由は無い。


「部活が始まったら一緒に帰れなくなるな」

「朝練もあるから朝もね!」

「確かにそうだね。あ、でもテスト期間は部活がないから一緒に帰れるね」


僕がそう言うと、二人はとても嫌そうな顔をする。

そんな二人がおかしくて、ついつい笑ってしまうと、二人もつられて笑いだした。


楽しい時間。

少しずつ変わっていく時間。


そんな時間を大切に、思い切り楽しみたい。

そう強く願うような一日だった。

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