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第47話 新たなターゲット


「では、私たちはこれで」


「ああ、今日はありがとうな」


「またいつでも呼んでくれYo!」


「気が向いたらな」


 将来の進路として道を踏み外しかけていた静子ちゃんのために、知り合いを集めて行った職業説明会が終わったあと、俺は家に帰っていく宇井さんとキーヤンを見送る。


 他にタクシー役を頼める人がいなくて仕方なくと言っていた気がするが、宇井さんは何だかんだ毎回キーヤンの車に乗ってくるよな……。


「知らなかったんですか? あの二人、幼馴染で仲がいいんですよ?」


「え? マジで? 確かに仲がいいなとは思ってたけど」


佐藤 吉一郎(さとう きいちろう)さんが宇井 市代(うい いちよ)さんのことを委員長と言っているのも、あの二人が小学校入学から高校卒業までずっと同じクラスで、宇井 市代さんが毎回クラス委員長をやっていたかららしいです」


「小学校とかで毎回クラスが同じだったやつはいるけど、それが高校卒業まで続くってすごいな……いつもクラス委員長なんて役職についていた宇井さんもすごいけど」


 気づかないうちに零れていたらしい独り言を聞かれたようで、後ろで一緒に手を振って見送っていた美鈴ちゃんが、宇井さんとキーヤンの関係を教えてくれた。


 キーヤンが宇井さんの事を委員長と呼んでいたのも、宇井さんの雰囲気が委員長っぽいからってわけじゃなくて、本当にクラス委員長をやっていたからだったのか。


 もちろん、今は彼女はクラス委員長でもなんでもないので、そう呼ぶたびに毎回訂正されているわけだが、確かに、それだけ長いことその呼び名が定着していたら、役職ではなく愛称としてそう呼んでしまう気持ちも分からなくは無いな。


「あの、もしかして、宇井さんとキーヤンさんって……その……お付き合いなされていたりとか……?」


 そんな俺と美鈴ちゃんの会話を聞いて、どうやら静子ちゃんの恋愛センサーが反応したらしい。


 静子ちゃんは、恥ずかしがりながらも興味津々といった絶妙な表情で、目を輝かせながら、美鈴ちゃんにそんな問いかけを投げた。


「いや、それが、他者がそう勘違いするほど互いの距離も近く、仲もいいのですが、私が前に聞いてみたところ、どうやら恋人同士という関係ではなく、あくまでも幼馴染らしいです」


 だが、実際はそんな甘い関係では無いらしい。


「そうなんですね……なんだか、あのお二人の間には、それくらいの信頼関係があるような雰囲気が感じられたのですが」


 俺から見ても、何となくあの二人の間には、そういう関係であっても驚かないような信頼関係のようなものは感じるが、それは幼馴染ゆえの絆のようなものなんだろうか。


「どうなんでしょうね、でももしかしたら、実際お互いにそういう気持ちを持っていて、ただその先に進んでいないだけかもしれません……幼馴染という間柄には、そういうことがよくあると聞きますから」


 確かに、ゲームでも漫画でも、そういう展開はよくあるな。


 俺はあんまり詳しくないが、恋愛ゲームで、幼馴染キャラは、負けヒロインと呼ばれることもあるらしいし。


「礼二さん……これは、また私たちの出番では無いですか?」


 そして、そんな恋愛ゲームのような香りを、この女子高生も感じ取ったらしい……。


 最近の仲人イベントが楽しかったらしい静子ちゃんは、先ほどよりもさらに目を輝かせながら俺に話題を振ってきた。


「いや、別に本人から頼まれたりしては……」


「ニャニャ! また恋の宅急便の出番かニャ?」


 俺としては別に本人から頼まれたわけでは無いし、勝手に外野が騒ぎ立てても迷惑なだけだろうと思うのだが、ここにまた一人……というか一匹? 恋愛好きの猫がいたようだ。


「恋の宅急便ってなんだよ……っていうか、本人から依頼を受けずに荷物を届けるとか、ただの押し売り……」


「るあさん! よかったら、るあさんも一緒にどうですか? 恋のキューピット」


「えっ? 私?」


「はい、一緒に新たなラブラブカップル誕生の瞬間を目撃しましょう!」


 そして静子ちゃんは、さらに仲間を増やそうと、若干話について行きそびれていたグラビアアイドルに話を振る……しかも二人がラブラブになる前提らしい。


 少し内気気味な静子ちゃんが、幽霊だけでなく、同じ命あるものである彼女に対しても積極的に話しかけられていることは、大変喜ばしいことなんだが、幽霊と違ってこの世で本職が忙しいであろう彼女を巻き込むのは……。


「面白そうですね、是非参加させてくださいっ」


 ……いいらしい。


 俺は、多分、半分くらい話が分かっていないまま、とりあえず両手でガッツポーズを取っているのであろう、仕事を選べないグラビアアイドル、平井(ひらい) るあちゃんを見て、ため息をつきながら、天を仰いだ。


「恋のキューピット作戦、パート2、開始ですー!」


「「おおー!」」


 静子ちゃんの掛け声で、片手を天に突き上げる、ネコミミ少女と、グラビアアイドル。


 こうして、終わりかけの夏休みでおそらく最後になるだろうイベントが始まった……。


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