あなたが落としたのは金の石ですか?銀の石ですか?
「あなたが落としたのは 【 金の石 】ですか? 【 銀の石 】ですか?」
私の目の前には
見目麗しき女神らしい人物が姿を見せている。
職を失い行く当てもなく
深夜に意味もなく石を投げていた。
そんな矢先のことである。
何か神のお導きを感じられずにはいられない。
「いいえ、どちらでもありません。 わたしが落としたのは【 ただの石 】です。」
「あなたは正直者ですね・・・」
神々しいオーラを放つ女神の笑顔がまぶしい。
緊張が似合わしい場面と知りつつも、先の展開に期待を寄せる自分がいる。
「もしかして、あなたが落としたのは【 こんな石 】でしたか?」
そういって投球フォームで構える女神。
刹那、【 ただの石 】が背後の壁に突き刺さり、土煙をあげていた。
とんできたのは女神の方角。
何が起きているのかわからなかった。
――――――
「今度石を投げたら川にひきずりこ〇す」
満面の笑みで女神は帰っていった。