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「何だ、騒々しい。」
「おっ、お父様っ…!?」
「っ王よ、申し訳ありません…。」
まさかセレンディアスまで来るとはとファステナは驚いていたがこれはチャンスだと、痛みをこらえるフリをしてよろよろと立ち上がる。いつものファステナならこんな姉たちにも気を使い自分の不手際だと言うがそうはいかない。マリティシアも部屋の外で倒れているヒルデカルトもお付きの衛兵達も顔面蒼白で震えているがマリティシアにはまだ勝機があると思っているのか震える声で喚き散らした。
「こっ、この子が!わたくしの部屋を泥まみれにしていたのです!」
「本当か、ファステナ。」
「違います、王、証拠もあります。」
マリティシアが王に見えないのをいいことにこちらを般若を張り付けたような顔面で睨みつけてくるのを無視して箱を開ける。つまみを回してボタンを押すと空中にスクリーンのようなものが浮き浴びあがった。再生しようとする前に王が片手を上げる。
「それは何だ?」
「はい、これは隣国で普及している魔道具でございます。これは相手の姿を映す魔法の応用で、動きなどを保存し、映し出せるような道具です。」
マリティシアが汚らわしいと眉を顰めセレンディアスの横に逃げて行った。この国では魔道具自体禁止されているわけではないが国民全員が魔法を使える手前、それを使用する者は無能のレッテルを張られる、敬遠されているのはそのためだ。
実際使用するのにも魔力が必要だし、難しい仕組みのものであればあるほど大量の魔力が必要になるので、この映像を保存できるカメラの様な魔道具は無尽蔵の魔力を持つファステ、あとは高純度の大きな魔石でもない限りは扱えないガラクタ同然の道具だ。
「証拠がこれに残っているのです、見ていただけますでしょうか。」
「よかろう、見せてみよ。」
ボタンを押すと空中に浮かび上がった映像から、罵詈雑言の数々、「だから…、貴女にやったハズの泥やらがどうしてわたくしの部屋にあるのか聞いているのよ!」なんて自白の映像まで流れてくるものだからマリティシアもヒルデカルトも先ほどよりもさらに白くなった顔で震えていた。映像で皆がざわついているうちにヒルデカルトにかけた沈黙の魔法を解除し先ほどまで微量に流し続けていたしびれの魔法を解除する。
「こっ、これは、一体・・・。」
「説明せよ、マリティシア」
「これは!、実はわたくし、ヒルデカルトに命令されてこんなことを‥・、本当はこんなこと命じたくはありませんでしたの・・・」
名演だ、まだしゃべれなくなっていると勘違いしてマリティシアは責任のすべてを押し付けようとしていた、王族にここまでの不敬であればいくらファステナ相手でも極刑は免れない、いくら公爵令嬢といえどその事実は揺るがないだろう、それを一人にかぶせようとしているがそうはいかない、ヒルデカルトはすでに話せるようになっているのだから。
「ふざけないで!貴女がわたくしとほかのお付きの侍女に命じたのでしょう!?人のせいばかりにして、お忘れになったのかしら?!」
「何ですって!貴女が勝手にやったんでしょう!?」
「黙れ、二人には落ち着いた後に詳しく話を聞くとしよう、そちらで座り込んでいる第一王女についてきた兵士たちとともに連れていけ。そちらの兵士に関しては第二王女に対する不敬罪の審議を問わねばなるまい」
「待ってくださいお父様!そんな、あのよくわからない道具を信じるのですか!?」
「余は同じことを二度は言わない、連れていけ。」
「はっ。」
王が連れてきた兵士につかまり、金切り声を上げながら二人が連れていかれる。時期になにか罰が決まるだろう、確定とは言えないが破滅はほぼ確定と言っていい、ファステナは連れていかれる姉たちにお辞儀をしながら必死にやけ面を隠していた。
「顔を上げよ」
王から声がかかり顔を上げる、流石に表情をただしマリティシアたちが連れていかれたことに胸を痛めるような表情を作る。
「…傷は平気か。」
「・‥‥へ?あ、ええ、いや、大丈夫です、お気遣い痛み入ります。」
「そうか、ならばよい。」
短い応対を終え、王は残った兵士たちとともに部屋を去っていった。父親のようなことを言うセレンディアスはゲーム内でも見たことがない。
ああいうことを言えるのならばなぜ、ゲーム内で王妃の言うままファステナを処刑したり幽閉したりできたのか、頭を悩ませる要素が増えたことにファステナは嘆息した。
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ざまあ回です!少々長くなってしまいました。
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