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「毎回毎回やりすぎだ‥‥。」


「申し訳ない。」


「普段押さえているぶん、訓練としてなら力をふるってくれて構わないとは言っているが…。」


訓練後、王宮近くにある第一軍宿舎内でファステナは毎度の如くこってり絞られていた。戦闘訓練のたびにああいうことが起こり、第一軍救護班が後処理に追われている。

眼前の見目麗しいアルテモンは未だに小言をぐちぐちと言っていた。短く刈り上げた金髪に父親譲りの切れ長の目。その瞳は魔力量が多いことがはっきりとわかる深海の様な深い碧。低くて穏やかな声。

セレネリア王国の人気キャラでもあるアルテモンは二年後の厄災で死ぬ可能性がある。ファステナほどではないので救済ルートもちゃんとあるにはあるのだが、そもそもセレネリア王国の人間だけ死亡フラグが多すぎるのだ。


「聞いているのか?ファステナ。」


「ん?あ、ああ、すまない。気が付かなかった。」


「まったく‥‥。ファナは本当に仕方のない子だ。」


何とも懐かしい名前で呼ばれてものだ、とファステナはアルテモンの方を見直した。ファナは愛称みたいなもので、本当に小さい頃母親に呼ばれていた名前でもある。

前世の記憶のおかげではっきりと覚えている。アルテモンの母もファステナの母も、第一王妃に呪い殺されて死んだ。

アビゲイリア・ド・セレネリア。後々に呪いの魔女と言われる化け物。その本質は王の愛を独り占めしたい嫉妬から来るものだ。

王の寵愛を受けた者を彼女は絶対に許さない、はた迷惑なヤンデレだった。


「すまない、次はできるだけ手を抜こう、兄上。」


「ああ。そうしてくれ。」


冗談めかしてファステナが昔のようにアルテモンを呼ぶと、いつくしむような眼をしてほほ笑む。

宿舎内の会議室。異母兄妹が思い出話に花を咲かせながら夜が更けていく。


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「はぁっ‥‥、っあ…。」


消し飛ばされた右腕から、赤黒い血液がぼたぼたとこぼれ、白く積もった灰に赤い花が広がった。死が近いこと、城も町も森も燃えていて、ここはおそらく城下町だった場所のはずだ。美しい石造りの街にはところどころに血の跡、燃え尽きた灰があちらこちらに舞う。ああ、そろそろこの国も終わりだ。


眼前には自分が見捨ててきた美しい半魔の異母妹が、汚れ一つつけないまま自分の血の付いた刃を汚いものでも払うように振り落とした。冷たい鋼と同じ色をした銀髪はそこら中から上がる炎を反射してもなお冷たく輝いている。

深い青だったはずの瞳は血赤に染まり、なんの感情のない目でこちらを見てそれから少しだけ笑った。


「さようなら。アルテモン兄上」


ああ、この子を見捨てた自分には。これくらいの最期で十分だ。



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ここまでお読みいただいてありがとうございます!

別口でファステナの死亡ルート闇落ちルートの内容もちらちら書けたらと思います!







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