*ある二人の男性の廊下での会話
(作者注)真相はもはや知的快楽犯たちによってレイプされるかのように明るみになることでしょう。
「おい、宮前。」
後ろから声を掛けられ、彼は立ち止まった。
「なんだよ。」
彼の同僚は少し心配して顔を覗き込むようにして尋ねた。
「お前さ、最近大丈夫か? いやなんか、変な噂を聞いたもんだからさ。まぁ、あんまり信じてないんだけどよ。」
「え?」
「俺はなんとも思ってないから、お前に言うのもちょっと嫌なんだけど。…なんか患者と揉めてるらしいな。それも毎週のように。」
「あぁ、まあ嘘じゃないかもしれない。噂ってのはつくづく怖いな。」
彼は諦めるように、あるいは同情を求めるようにふっと笑った。
「それヤバくないか? もう横原グループ長の耳にまで入ってる。横原さんは高々噂程度では問題を表面化するつもりはないみたいだからまだアレだけどよ、もし現場抑えられたらお前人生終わるぞ…!」
「大丈夫だ。上手いことやる。」
「ならいいけどさぁ。そうだ、今日久しぶりに飲みに行かないか?」
「いや、誘ってくれて悪いけど、○○さんのことについてまだ仕事が。」
「なあ。」
「ん?」
「ちょっとは休め。お前が無理してるのは正直見て明らかだ。大学時代からお前を見てる俺ならなおさら分かる。事情までは聞かねぇから、少し休んでくれよ。」
その言葉の直後、彼は激昂した。
「うるせぇ、何も知らないお前は黙ってろ! …あぁ、いや、すまん。いきなり怒鳴って。」
「あ、いや…。」
「でも、俺は一人で何とかやってみたいんだ。…………。気遣いありがとうな…。」
そう言い残して、彼は今まで歩いてきた方向に早足で逆戻りしていった。