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チーム・イリスの事件譚  作者: 髙橋貴一
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第33話「危険なペット!?」前編

 その頃。太陽系のとある星域に、DOE社の宇宙船の姿があった。

「おい、逃げ出した実験体は、まだ見つからないのか?」

「今の所、二匹確保しました。残る三匹も、早々に・・・」

 多くの科学者や職員が、その宇宙船の中を駆けまわっている。彼らの表情は皆ひきつっており、捜し物の捜索に文字通り血眼になっている。

「お・・・レン・ザブール部門長がいらっしゃったぞ。全員、捜索中断!」

 その時、施設に一人の男が姿を見せた。それは先日より、DOE社の利益保護部門のトップに就任した、エージェントのファルコであった。

「ご苦労様です。実験体の捜索状況は?」

「はっ。逃げ出した実験体は五匹、そのうち二匹を近隣の惑星で発見し、捕獲しました。残る三匹も早々に・・・」

 捜索チームの責任者が、緊張した様子で早口でファルコに報告する。するとその時、職員の一人がある報告をもたらした。

「隊長、もう二匹確保に成功したようです!・・・しかし、残る一匹の行方が不明で・・・」

「全力で捜し出してください。実験体には、まだ十分な調教もできていない。もしかしたら、移植した兵器を本能的に使ってしまう恐れもある。それだけが気がかりです」

「はっ、必ず数日以内には。・・・ほら、捜索を再開しろ!時間がないぞ、時間が!」

 隊長の男が声を張り上げ、部下達に命令する。それを横目に見ながら、ファルコは額に手を置いてうめくように呟いた。

「やれやれ、毎日様々なことが起きる・・・利益保護部門も楽ではないな・・・・・・」



 数十分後。虹崎家に帰宅したキリアは、誠人達に連れ帰ったレンバクを見せていた。

「こ・・・これがその、レンバク・・・か?」

「うん!ミュウの話だとなかなか人に懐かないみたいなんだけど、ほら!キリアのこと全然怖がらないの!」

 キリアの手の上で、レンバクはあくびをするかのように大きく口を開けた。そして足を曲げてその場に座り込み、程無く眠りにつき始めた。

「ね・・・寝ちゃいましたよ、この子・・・」

「確かに珍しい・・・レンバクは、人をとても怖がるはずなのに・・・」

 キリアを怖がるどころかその手の上で眠り始めたレンバクに、ミナミとレイが驚いたような表情を浮かべた。キリアはその体を優しく撫でると、誠人に視線を向けて懇願した。

「お兄ちゃん、一生のお願い!この子、うちで飼わせてくれない!?」

「え、うちで!?・・・でも、大丈夫なのか?そりゃ見た目は可愛らしいけど、宇宙から来た生き物なんだろ?」

「左様でございますよ。・・・キリア様、お気持ちは分かりますが、ここはガイルトン長官に連絡を取り、引き取っていただきましょう」

 あまりに突然なキリアの頼みに、誠人とシルフィは苦言を呈した。キリアについて虹崎家までやってきたミュウも、キリアの肩に手を置いて言った。

「シルフィさん達の言う通りだよ。キリアちゃん、その子は長官に引き取ってもらって、宇宙に帰してあげよ?」

 それが一番安全で、レンバクのためにもなるとミュウは確信していた。だが、すっかりレンバクの可愛さに魅了されたキリアは、むきになって叫ぶように言った。

「大丈夫!キリアがしっかり面倒見て、責任を持って育てるもん!・・・ねえお兄ちゃん、この子、うちで飼わせて!お願い!」

 潤んだ瞳で誠人を見つめながら、キリアが再度懇願した。窮した誠人がミナミに視線を向けると、ミナミは肩をすくめながら小さく首を横に振った。

「ふぅ・・・分かった。その子、うちで飼おう」

「誠人君!?」

「お坊ちゃま!」

 ミュウとシルフィが相次いで声を上げたが、誠人には分かっていた。今のキリアに何を言ったところで、きっと聞き入れはしないだろう。

「本当に・・・いいの?」

「ああ。ただし、さっきの言葉は忘れるなよ、キリア。その子はお前が面倒を見て、責任を持って育てるんだぞ。いいな?」

 釘を刺すような誠人の言葉に、キリアは満面の笑みと共に大きくうなずいた。

「うん!ありがとう、お兄ちゃん!」


☆☆☆


 それから、キリアの奮闘が始まった。

「『レンバクは雑食性、主な好物は魚や鶏肉、リンゴなどの果物』だって」

「ありがとう、ミュウ。・・・そうだ、この子に名前つけてあげよっと」

 GPブレスで調べたレンバクの情報を読み上げるミュウに礼を言うと、キリアは目の前でふよふよと浮くレンバクの呼び名を考えた。

「なんでもパクパクと食べるから・・・パク!そうだ、パクって呼ぼう!」

 キリアによって、レンバクはパクと名付けられた。キリアの言葉が通じたのか、パクは嬉しそうに小さく鳴いた。

 そして彼女はパクのために、苦手な料理作りにもチャレンジし始めた。料理といっても、野菜や果物、肉や魚をパクが食べやすいように小さくスライスし、簡単な味付けを施しただけであったが、お嬢様育ちでこれまで包丁すらろくに握ったことのないキリアにとっては、一種の冒険のような体験であった。

「美味しい?もっといっぱい食べていいよ」

 そんなキリアの努力が通じたのか、パクは何でも美味しそうにぺろりと平らげてみせた。そして時間が経過するうちに、次第にパクはキリア以外の周囲の人間にも懐き始めた。最初はキリア以外の者が触ろうとすると、全身の毛を針のように逆立てて警戒していたが、飼い始めて10日ほどが経つ頃にはすっかり人間に慣れ、誠人やミナミ、さらには同居していないカグラやミュウ達にも、その体を触らせるようになっていた。

「へえ、全く人を怖がらないじゃないか。珍しいね、レンバクにしちゃ」

 キリアに連れられて家にやってきたパクを、カグラは優しく撫でてやった。パクはまったく怖がることなく、呑気に口を開いてあくびした。

「うん!それに、初めて見つけた時より大きくなったの。最初は片手に乗るくらいしかなかったのに、今じゃ両手に乗るくらいになったんだよ!」

 自慢げにそう口にしたキリアの言葉通り、パクはこの10日ほどで見違えるほど大きくなっていた。キリアはそれを無邪気に喜んでいたが、それを見つめるミュウの表情は暗かった。

(おかしい・・・普通のレンバクなら、あれくらい大きくなるには1、2年かかるはずなのに・・・・・・)

 誰よりもレンバクを知っているからこそ、ミュウにはパクの異常さが分かっていた。だが、それをキリアに告げることはできなかった。パクの成長を心から喜ぶ彼女の顔を見ると、どうしても言葉が出ない。

「悩んでるようね、ミュウ」

 その時、彼女の背後から声が聞こえた。振り返ってみると、そこにはいつの間に来たのかソフィアの姿があった。

「ソ、ソフィアさん!ごめんなさい、今お茶を・・・」

「いいえ、結構よ。・・・あなたの悩みの種は、あのパクっていうレンバクでしょ?」

 見透かしたようなソフィアの言葉に、ミュウは小さくうなずいた。それを見て小さく笑うと、ソフィアはミュウの肩に手を置いた。

「大丈夫。キリアは責任を持つって言ったんでしょ?だったら、あなたが心配するようなことじゃないわ」

「は、はい・・・そうですよね・・・・・・」



 事件が起きたのは、その日の夜のことであった。

「むにゃ・・・・・・パク、だーい好き・・・・・・」

 パクの体を抱きしめながら、キリアはおだやかな眠りについていた。だがパクはその手から抜け出すと、ふよふよと宙を浮いて窓の近くに移動し、足を使って窓を開けて家の外に出た。

 パクはそのまま風に吹かれ、夜の通りをさまよっていた。するとその目の前に、へべれけに酔っぱらった一組のカップルが姿を見せた。

「あっ・・・ねえねえ、あれ何!?」

 月夜に突如として現れた、宙を浮く毛むくじゃらの小動物。初めて見た生き物の姿に、女が興味津々で声を上げた。

「よーし、捕まえちゃうぞー!それ!それ!」

 男は着ていたスーツを脱ぐと、それを振り回してパクを捕まえようとした。パクは必死に逃れていたが、ついに男のスーツがその体を包み込んだ。

「あはは、捕まえた捕まえた!」

「ねえ、早く見せて!はや・・・く・・・?」

 男がスーツをずらしてパクの姿を見せると、女が怪訝そうな声を上げた。パクの両目が赤く輝き、その口からは煙のようなものが立ち上り始めている。

「な・・・何これ・・・?」

 女が不気味そうに声を上げた、次の瞬間。パクの口から白いガスが放たれ、カップルの顔を包み込んだ。

「うっ・・・ごほっごほっ!がはっ!」

「けほっ、こほっ・・・・・・息が・・・息ができな・・・い・・・・・・」

 カップルは呼吸困難に陥り、やがて意識を失って倒れこんだ。するとパクの目が元の色に戻り、帰巣本能に従って虹崎家に戻り始める。

「あ・・・隊長!兵器の反応がありました!」

 それと時を同じくして、DOE社の実験体捜索チームがある反応を捉えていた。10日ほど何の成果もなく、焦燥していたチームの隊長は、その情報に喰いついた。

「どこだ!?どこの星からだ!?」

「現在確認中・・・・・・場所特定!テラです!惑星テラから、移植した兵器の反応が!」

「ほう・・・テラから、ですか・・・」

 隊長の背後から現れたファルコが、表情を曇らせながら言った。隊長はファルコの存在に気づき、慌てて頭を下げる。

「お、遅れて申し訳ございません!ですが、ご覧のようにたった今情報が!」

「ええ、承知しています。しかし・・・また、あの星に行かねばいらないか・・・・・・」


☆☆☆


「パク?パク?・・・どうしたんだろう?全然食べてくれない・・・」

 翌朝。いつになくぐったりした様子のパクに、キリアが怪訝そうな声を上げた。

「どこか具合悪いんじゃないのか?あまり無理して食べさせない方がいいぞ」

「うん・・・そうする」

 誠人の言葉にうなずくと、キリアはパクの体を優しくさすった。パクは伏せていた目を上げると、キリアを見て小さく鳴いた。

「よし・・・じゃあ、行ってきます」

「私も同じく、行ってきます!」

「行ってらっしゃいませ、お坊ちゃま、ミナミ様」

 シルフィ達の見送りを受けながら、誠人とミナミは学校に向かった。するとその道中で、小さな人だかりと、何かを調べる数人の警官の姿が目に入った。

「あれ?何でしょうね?」

「気になるな。・・・あの、何かあったんですか?」

 誠人は人だかりに近づくと、近くにいた中年の女性に声をかけた。

「いや、それがね、ついさっきまで、ここに二人倒れてたらしいんですよ。どっちも意識不明の状態だったとか」

「意識不明・・・?それで、その二人は?」

「さっき、救急車が来て病院に運んでいきましたよ。・・・ああ、でも、なんか変な臭いしません?この辺。やだわあ、ガス漏れか何かかしら」

 鼻を抑えながら、女性が顔をしかめて呟く。そう言われてみると、確かに刺激臭のような臭いがしないでもない。

「ミナミ、何か臭うか?」

「ええ、少し。・・・本当に、ただのガス漏れか何かならいいですけど」

「ああ・・・でも、一応警戒だけはしておこう。もしかしたら、また面倒ごとが舞い込んできたのかもしれない・・・・・・」



 それから、数時間後。キリアはシルフィと共に、食材の買い出しに出向いていた。

「良かった。パク、少しは元気が戻ったみたい」

 肩にちょこんと乗ったパクに、キリアは安堵の声を上げた。それに応えるかのように、パクが可愛らしい鳴き声を上げる。

「ふふっ。本当に仲良しなのですね、キリア様とパク様は」

「うん!もう、パクがいない生活なんて考えられないもん。・・・もし、この地球での任務が終わったとしても、必ず一緒に連れてってあげるからね、パク!」

 パクの頭を撫でながら、キリアがそう約束したその時。彼女とシルフィの前に、一人の男が姿を現した。

「ようやく見つけた。実験体ナンバー5、まさか君達に拾われていたとは」

 どこかため息混じりに声をかけたその男は、シャドウブラスターを手にしたファルコであった。彼から漂う不穏な空気に、キリア達は身構える。

「実験体って・・・何の話?」

「君の肩に乗っている、そのレンバクのことさ。こちらに渡してくれたまえ、それは我が社の所有物だ」

 左手を差し出しながら、ファルコがキリアに声をかけた。だが、キリアはそれを真っ向から拒否した。

「パクのこと、物扱いしないでよ!この子はキリアの大事なお友達なの。あんたみたいな奴になんか渡さないから!」

 自分を睨みながらそう言い放ったキリアに、ファルコは小さくため息をついた。

「やれやれ・・・ゴルドスタインのお嬢様は、手荒な方がお好きらしい」

 ファルコは手にした黒いカードを、シャドウブラスターに読み込ませた。待機音が鳴り始めると、ファルコは銃の引き金を引く。

「アーマー・オン」

『インストール、シャドウアーマー』

 銃口から放出された煙が漆黒の鎧となり、ファルコの体を覆いつくした。エージェント・シャドウと化したファルコは、銃を手にキリア達に迫る。

「実験体を渡せ。君達の手に負えるものではない」

『シルフィ、オレにやらせろ。あいつただものじゃねえ』

「ええ、分かったわ」

 以前目にしたシャドウの戦いぶりから、シルフィもディアナも一筋縄ではいかない相手だと十分わかっていた。ディアナはシルフィから体の主導権を譲り受けると、シャドウの前に立ちはだかった。

「キリア、逃げろ。ここはオレが引き受ける」

「うん・・・お願い、ディアナ!」

 キリアはパクの体を抱くと、猛スピードでその場から走り去った。それを見届けると、ディアナはGPドライバーV2を腰に装着する。

「ってわけで、あんたの相手はオレがする。構わねえよな?」

「やれやれ・・・君達には事の重大さが分かっていないようだ。・・・まあいい。相手になってあげようじゃないか」

 そう言うが早いか、シャドウは銃をディアナに向けて連射した。その攻撃をかわしながら、ディアナは手にしたカードをドライバーに挿し込む。

「アーマー・オン!」

『Read Complete.アーマーインライトニング!ライトニング!』

 ディアナは降り注ぐ紫の雷で銃弾を弾き飛ばし、その雷が変化した鎧を纏ってライトニングアーマーのデュアルとなった。そしてハンマーモードのプラモデライザーを手に、シャドウに挑みかかる。

「お前ら、何企んでやがんだ・・・?あのレンバクが実験体って、どういうことだよ!?」

 放たれる銃弾をしのぎながら、デュアルはシャドウを問い詰めた。シャドウは銃口の下から剣を伸ばし、ハンマーの攻撃を受け止める。

「知りたければ私の邪魔をするな。これは、君達のためにも言っている」

 銃を押し出してデュアルの体勢を崩すと、シャドウは剣で相手の体を斬り裂いた。その攻撃に吹き飛ばされながらも、デュアルは再び立ち上がる。

「その言い草、上から目線で気に喰わねえなあ・・・!」

 デュアルは武器を握り直し、再びシャドウに襲い掛かった。その攻撃も難なくかわすと、シャドウは一枚のカードをシャドウブラスターに読み込ませた。

『マガ・ユナイト、ダーククロウ』

 現れたカラス型ロボット・ダーククロウが、巨大な翼のようなパーツと化してシャドウの背中に合体した。シャドウはその翼を使って空を自在に飛び回り、シャドウブラスターの銃弾をデュアルの上空から浴びせかけた。

「うわっ!・・・くっそ・・・!」

「さて、そろそろ行くとするか。一度兵器が使われた以上、あの実験体の位置は常に把握している」

 そう呟くように言うと、シャドウは空を飛びながらその場から去った。その目的は当然、逃げたキリア達の追撃である。

「くっ・・・逃がすかよ!」

Dual(デュアル)-speeder(スピーダー)、come closer.』

『Switch to flying-mode』

 デュアルがカードをドライバーに挿し込むと、その場にデュアルスピーダーが転送されてきた。デュアルはバイクをフライングモードにすると、それに飛び乗って猛スピードでシャドウを追い始めた。



「はあっ、はあっ・・・・・・ここまで来れば、安全かな・・・」

 一方。シャドウから逃げたキリアは、虹崎家の近くの住宅街に辿り着いていた。

「パク、怖かったね。よしよし・・・」

 緊張のせいか全身の毛を逆立てたパクに、キリアは優しい声をかけて体を撫でてやった。だが、その時――

「逃げられるとでも思ったのかな?お嬢様」

 頭上から、先ほど聞いたばかりの嫌な声が聞こえてきた。はっとキリアが視線を上に向けると、そこには巨大な機械の翼を羽ばたかせるシャドウの姿があった。

「し・・・しつこいよ!それに、キリアのこと『お嬢様』って呼ばないで!」

 先ほどの全力疾走で力を大分使ってしまい、再度逃げることは不可能だった。キリアは肚を決めると、武器の手斧を握りしめて地面に降り立ったシャドウと対峙する。

「君も聞き分けのない子供だね。その実験体さえ渡してくれれば、私は君の前から消えるのだが」

「実験体実験体って・・・あんた達、この子に何したの!?」

「ふむ・・・無知は時として罪になる。ならば・・・見せてやろう!」

 シャドウはダーククロウとの合体を解除し、キリアの肩に乗るパクを指さした。するとダーククロウは一瞬でシャドウの命令を理解し、パクを目掛けて猛スピードで滑空した。

「パク!」

 キリアが咄嗟にパクを庇おうとした、まさにその時。パクの目が赤く輝くと、その口から白いガスを吐き出した。

「パ・・・パク・・・?うっ、げほっ、ごほっ!」

 ガスはダーククロウの体を包み込み、同時にその機能に狂いを生じさせた。ダーククロウは真っ逆さまに地面に落下したが、わずかながらガスを吸い込んでしまったキリアも、激しく咳き込み始める。

「見たかね、お嬢様。これこそがその実験体の力だ。私達はレンバクの体に小型の毒ガス噴霧装置を埋め込み、いずれ生物兵器として市場に売り出すつもりだった。だが実験の途中で数匹に逃げられてしまってね。君の肩にいるそいつも、その一匹だ」

「そんな・・・パクが・・・生物兵器の・・・?」

 ガスの効果で意識が朦朧とする中、キリアは必死にパクに視線を向けた。パクの目の色は元に戻り、怯えたようにキリアに頬ずりをしている。

「分かっただろう。そいつはまだ調教も十分ではない、危険な存在だ。私に返してくれれば、全て丸く収まるのだがね」

 そう言うと、シャドウはキリアに向けて歩みをすすめようとした。だがその時、その上空から数本の光の矢が飛んできた。

「キリア様、お乗りください!」

 そう声をかけたのは、フライングモードのデュアルスピーダーに乗った、ハリケーンスタイルのデュアルであった。キリアは必死に体を動かし、デュアルの手を借りてマシンに飛び乗った。

「待て!」

 慌てて銃を向けたシャドウだったが、デュアルが操るウィンドペガサスとサンダーティラノが襲い掛かり、照準を狂わせる。その間にデュアルはマシンを急発進させ、その場から退避することに成功した。

「逃がしたか・・・まあいい。ガスを使用した以上、反応は当分消せない。・・・それに」

 シャドウの鎧を解除しながら、ファルコは無機質な表情で言った。

「あの様子から見て、もうナンバー5は長くないだろう。焦ることはない・・・・・・」

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