第30話「トリニティ・ユナイト」アバン
第30話です!タイトル通り、今回は誠人が新たな力に目覚めるパワーアップ回となっております
「銀河警察の諸君、私はネビュラカンパニー社長、バラム・リーベルト。我が社の新商品・ユナイトガントレットの性能テストに付き合ってくれたこと、心から感謝する」
DOE社と並ぶ巨大軍事企業・ネビュラカンパニー。その社長であるバラムは腹心の女忍者・リヤ・ソンブラーにイリスバックルを奪わせ、そのデータを盗むことで新商品・ユナイトガントレットを完成させた。
そしてユナイトガントレットを使用したリヤは、その強さでイリスとデュアルを圧倒。イリスV2とライトニングハリケーンのデュアルの共闘をものともせず、逆に両者を打ち倒すことに成功した。
「銀河警察最強の戦士に匹敵する力を得た以上、もう我らが銀河警察の下風に立つ必要はない。たった今より、我が社は銀河警察と決別し、以後二度とその命に従わぬことをここに宣言する!」
リヤから戦闘データを受け取ったバラムは、銀河警察からの離反を宣言した。それは、宇宙で辛うじて保たれていた軍事バランスの均衡が、大きく崩れることを意味していた。
「さて、ソンブラー。ユナイト血清をより強力なものとするために、手に入れておきたい人材がいる。・・・分かるな?」
バラムが声をかけると、リヤは頭部を包む仮面の下で笑みを浮かべた。彼女はその視線を、ようやく立ち上がったイリスV2に向ける。
「ええ・・・お任せください、社長」
「β、逃げて!」
リヤとバラムの意図を悟ったレイが叫びかけるが、もう遅すぎた。リヤは目にもとまらぬ速さで駆け出すと、両手の刀でイリスV2に斬りかかった。
「・・・!ほう・・・まだ戦う力がありますか」
振り下ろされたリヤの刀は、イリスV2が振り上げたライズガンセイバーの刃に受け止められていた。必死に相手の攻撃を防ぎながら、イリスV2が言葉を返す。
「あんたらの会社の方針に、ケチつけるってわけじゃないけど・・・!」
イリスV2は剣を力いっぱい押し出し、リヤを後方へと追いやった。
「もし、あんた達が宇宙の平和を乱そうとするのなら、僕はそれを放っておけない!うああああああああああああっ!!」
体を反らせながら叫んだ瞬間、イリスV2の体が真紅の光に包まれた。光の眩さにリヤが手で目を覆い、その隙にイリスV2はライズガンセイバーにフィニッシュカードを読み込ませる。
『Read Complete.Be prepared for shining impact.』
太陽の力が充填され、ライズガンセイバーの刃が真紅の光に包まれる。イリスV2はリヤに向かって駆け出すと、武器のトリガーを引いて一気に振り払った。
『シャイニングサンライズ!』
繰り出された一撃が、リヤの体を斬り裂く・・・かと思われた。だがリヤは体勢を立て直し、両手の刀でその剣を受け止めていた。
「ふふ・・・やります、ね!」
リヤは笑みすら浮かべながら、二刀を押し上げてイリスV2の剣を弾き飛ばした。そしてがら空きになったイリスV2の体を斬り裂こうとしたが、それを読んでいた誠人はリヤの攻撃をバク宙でかわし、着地すると同時にドライバーにフィニッシュカードを読み込ませた。
『Read Complete.Be prepared for maximum impact.』
『パワーチャージ、スタート』
大技が来ると悟り、リヤがユナイトガントレットのボタンを押す。そしてイリスV2がドライバーを展開して飛び蹴りを放つのと、リヤが再度ボタンを押したのがほぼ同時だった。
『サンライズフィニッシュ!』
『コンクルージョンアタック』
イリスV2の飛び蹴りと、黒い光に包まれたリヤの二刀がぶつかり合い、激しく火花が散る。両者の力は拮抗していたが、やがてリヤが両手の刀を押し上げ、イリスV2の体を斬り裂いた。
「うわああああああっ!」
その一撃が決め手となり、イリスV2の体は地面に叩きつけられ、誠人の姿に戻った。
「少年!」
「誠人君!」
カグラとミュウが悲痛な声を上げながら、誠人に駆け寄ろうとする。だがその二人の眼前に、リヤの配下の死神忍団が立ちはだかる。
「ほう・・・GPドライバーV2と相性がいい虹崎誠人の力でも、ユナイトガントレットには敵わないか・・・」
その戦いを機械越しに見ていたバラムが、満足げに声を上げる。一方、その言葉を耳にしたレイが、心の中で疑問の声を上げた。
(βとV2ドライバーの相性を知ってる・・・あいつ、一体どこまで知ってるの・・・?)
だが、その疑問に囚われている暇はなかった。なんとか立ち上がろうとする誠人に、リヤが少しずつ歩みを
進めていく。と、その時――
「ッ!?誰です!?」
誠人に向けて伸ばされたリヤの手に、一発の光線が命中した。リヤは手を引っこめると同時に、光線の飛んできた方向へ数本の苦無を投げつける。
その苦無を前転宙返りでかわしながら、一人の男が光線銃を手に誠人の方へ近寄ってきた。その男の顔に、誠人は見覚えがあった。
「あなたは・・・あの時の!」
「まったく、相変わらず世話が焼ける子供だ。ひとまず、ここは退散といこうじゃないか、刑事諸君」
『スチームモード』
男――ファルコは手にした銃のダイヤルを回して機能を切り替え、銃を手前に構えてトリガーを引いた。すると銃口から煙が放射されて彼と誠人、そして刑事達の体を包み込み、その煙が晴れる頃には、誠人達の姿はかき消えていた。
「くっ・・・消えた!?」
「ソンブラー、そこまでにせよ。今回の目的は、あくまでもユナイトガントレット完成のためのデータ採取。あの少年の確保は、いつでもできる」
「はっ・・・ご命令に、従います・・・」
言葉に無念さをにじませながらも、リヤはガントレットからカードを抜き取った。同時に彼女の身を覆っていた鎧が部下の姿に戻り、地面に座り込んで荒い呼吸を始める。
「さて、忙しくなるぞ。我が社は銀河警察の敵となった。顧客も、扱う商品も、これまでとは大きく変わる。まさに、我らは時代の転換点を作ったのだ・・・」




